有坂銃―日露戦争の本当の勝因 (光人社NF文庫)

著者 :
  • 光人社
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本棚登録 : 25
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784769826224

感想・レビュー・書評

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  • 個人的な感想から先に言えば、正直ちょっとなぁ…感が否めませんでした。

    理由は三つ。

    まず一つは、書名が「有坂銃」となっているのに、肝心の「アリサカ・ライフル」、すなわち三十年式歩兵銃、三八式歩兵銃、九九式小銃の話題がほとんどないこと。
    触れられているのは三十年式小銃のことのみなので、タイトルだけ見て買うと期待外れに終わります。

    二つ目の理由は、上記にも少し関わってくるのですが、「筆者が何について書きたいのかがよく分からない」という点です。

    タイトル通り「アリサカ・ライフル」のことなのか、それとも「有坂成章」についてなのか、はたまた「三十一年式野砲」のことなのか、明治陸軍についてなのか…
    話題が二転三転し、迷走感が否めません。

    そして三つ目は、「日露戦争は三十年式歩兵銃による勝利」という結論はいささか強引ではないか…という点です。

    というのも、「三十一年式山砲が駄目だった理由」については長々と論じているのに対し、上記の論拠が、「6.5mm弾を使用したことによる弾道の低伸性」という1点だけで結論付けられてしまっています。
    「兵器」という視点で見れば間違いではないのかもしれませんが、論拠としては説得力に欠けると感じました。

    長文失礼しました。

  • 有坂という技師が開発した傑作小銃(ライフル)の射撃性能、扱いやすさ、省資源性が日露戦争の重要な勝因だったという本。

    日露戦争といえば大砲や機関銃のイメージが強いが、そういった兵器の配備数は小銃に比べれば微かな量でしかなく、戦いの大勢に強く影響したのは小銃だったらしい。

    しかし小銃に関する記述は少なく、大半が有坂野山砲の苦労話だった。そして、大半が開発系の話で、戦闘に関する記述はごく短いまとめ程度。

    本書は、旧日本軍の兵器の実力を不当に低く評価した司馬遼太郎を痛烈批判している。その割に、二〇三高地の件は坂の上の雲的な史観だったのにはちょっと違和感。

    二〇三高地攻防戦は、日本軍が旅順港内の敵艦隊に対して観測砲撃を実施するための観測点の確保がその目的だった、というのが坂の上の雲の史観。

    しかし近年になってわかったことによると、実際にはそれ以前から日本軍は観測点を確保して港内の敵艦に砲撃しており、二〇三高地には観測点としての価値は無かったとか。

    で、二〇三高地の戦いの意義というのは、要塞内に篭る敵兵力を叩くよりも、二〇三高地を防衛するために要塞から出てきた敵兵力を叩いたほうがやりやすかった、という点にあるらしい。そして二〇三高地の戦いでロシアが予備兵力を使い果たしたために、旅順要塞の陥落に繋がったとか。

    この新説こそが正しい歴史かどうかは知らないが、個人的には納得できる説だと感じている。

    そういう史観が本書には欠けているが、かなり近年になってわかってきたことらしいし、やむを得ないか。文庫版は2009年だが、ハードカバー版は1998年だったらしいし。

  •  日露戦争と言ったら『坂の上の雲』がテキストと云うことになっている。そして、日露戦争の成功体験が日本を呪縛して云々、乃木の白兵主義が云々、といった「定説」がそこから生まれ、定着している。
     しかし「坂の上の雲」は小説であって事実ではない。日露戦争の勝因として陸軍の使用したライフルに注目、開発者に迫ったのが本書である。「村田銃」は有名だが、未だに「アリサカ・ライフル」を呼ばれる名銃があの悪評紛々たる「三八式」であるとは如何なることか。視点がひっくり返るおもしろさがある。

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プロフィール

1960年長野市生まれ。函館市在住。陸上自衛隊北部方面隊に2年間勤務した後、神奈川大学英語英文科、東京工業大学社会工学専攻博士前期課程(江頭淳夫研究室)、月刊『戦車マガジン』編集部などを経て、現在は著述業。著書に、『「日本国憲法」廃棄論』『日本人が知らない軍事学の常識』『兵頭二十八の農業安保論』『兵頭二十八の防衛白書2016』(以上、草思社)、『新訳 孫子』『[新訳]フロンティヌス戦術書』『「日本陸海軍」失敗の本質』(以上、PHP研究所)、『有坂銃』『たんたんたたた』(以上、光人社NF文庫)、『AI戦争論』(飛鳥新社)、『東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる』(講談社+α新書)、『日本史の謎は地政学で解ける』(祥伝社)、『「地政学」は殺傷力のある武器である。』『日本の兵器が世界を救う』(以上、徳間書店)など。

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