陸軍潜水艦: 潜航輸送艇マルゆの記録 (光人社ノンフィクション文庫 662)

著者 :
  • 潮書房光人新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784769826620

作品紹介・あらすじ

正式名称「陸軍潜航輸送艇」秘匿名マルゆ。設計は陸軍技術士官、建造は機関車・ボイラー工場、そして乗員は元戦車兵。海にはシロウトの陸軍が、計画決定後わずか10ヵ月で1号艇を完成、終戦までに40隻を竣工させ、制空権なき海を遥かフィリピンへも派遣させたマルゆ-日本軍ロジスティクスの欠陥が生んだ決戦兵器を関係者の証言で綴る話題作。

感想・レビュー・書評

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  • 同著者の『決戦兵器マルゆ陸軍潜水艦ー陸軍潜航輸送艇マルゆの記録』(2002年:光人社)の文庫版。太平洋戦争中~後期にかけて陸軍によって建造・運用された輸送用潜水艦「陸軍潜航輸送艇」(「まるゆ」)を紹介した書。海には素人の陸軍が生み出したこの潜水艦の姿を、当時の資料や関係者の証言から浮かび上がらせる。
    本書は「陸軍が開発した潜水艦」まるゆを取り上げたものである。海軍に頼らない陸軍独自の輸送手段の確保の為、機関車・ボイラー工場で建造され、陸軍各部隊から召集された兵士によって運用されたまるゆ。海上護衛戦の軽視からくる南方の兵站問題、そして陸海軍の対立の中で生み出されたこの「決戦兵器」は、まさに当時の日本軍の問題を表すかのような存在であった。混乱する建造現場、一から始める数カ月間の潜水艦教育、そして欠陥を抱えたまま前線に送られるまるゆ各部隊――。関係者が語る悲喜こもごものエピソードは、斜陽を迎えつつある日本軍と、その中で戦わざるを得なかった兵士たちの悲哀を如実に示している。
    関係者への綿密な取材に裏打ちされた本書は、彼らの貴重で興味深い話を多く紹介している。時系列が入れ替わる場面が多々あるが、全体としても楽しく読めるだろう。

  • 旧日本軍の歪のしわ寄せによって誕生した○ゆ。悲劇でもあり喜劇でもあり。

  • このような兵器を造らなければならなかったところに、この前の戦争が、見た目はともかく、その実、無理に無理を重ねた戦争だったことがよく現れている。
    書き口は読みやすかったが、もう少し、時系列を追って記述してもらったほうがわかりやすかったかもしれない。

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