ロシアから見た北方領土: 日本から見れば不法でも、ロシアにとっては合法 (光人社ノンフィクション文庫 741)
- 潮書房光人新社 (2012年6月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784769827412
感想・レビュー・書評
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北方領土を中心とする日露外交史。
日本はソ連の中立条約破棄や終戦時の北方領土占領を批判するが、日本もポーツマス講和会議の最中の樺太侵攻や、内政干渉というべきシベリア出兵など、相手の信用を損ねることを行ってきた過去がある。そうした相互不信の歴史を乗り越えて、両国間の関係を構築し北方領土問題を解決していくか。
それを考えるための基本知識としておすすめ。
末尾に関連資料として、日露が締結した条約等を掲載しているのも高評価。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
北方領土問題は、幼い頃から何度もニュースで聞かされてきた話題だけども、実際どういうことなのかはよく知らない。
近くて遠い隣国ロシアとの関係を知ることが今後の日ロ関係にも大きく影響するだろう。
そんな日ロ関係を時系列に沿って紹介してくれるのが本書。
ゆっくりとかみしめよう。 -
【日本は侵略好きな油断のならない隣国】
序文にいきなり刺激的な文字が並び、「はぁ?何言ってるの?」となるが、読み進めていくと「あ、そちらから見れば確かにそうですよね、すみません」となり、本書にしてやられる。
実際ほとんどの日本人は、1945年の敗戦を境に「今後日本が侵略戦争を行うなどあり得ない」と認識しているだろうが、攻め込まれた側がムカつく歴史を水に流すのは殆ど無理であり、冒頭のように思われるのは致し方のない事ですな。だって事実だし。
歴史は続く。戦前は日本がロシア側に攻め込んでいたターンであったが、戦後は日本が北方領土に攻め込まれているターンであり、この負の連鎖を断ち切るためにも、なんとか解決したいものだが、、、。当面無理そうな世界情勢で色々と残念極まりない。
冷静なスタンスで書かれた本書は、控えめに言って良書かと。 -
日本人が北方領土問題について考える場合、絶対に読んだ方がいい良書です。
領土問題は、自国の視点だけで考えていては、解決の糸口すら掴めません。
なぜ、ソ連が第二次世界大戦末期に北方領土に侵攻し、終戦直後に占領したのか、本書を読むと、その意味がすんなりわかります。
要するにロシアは、アメリカやイギリスの指示を守り、あのタイミングで日本へ攻め込んだのです。
その後、アメリカがソ連のことを蔑ろにしたことが、米ソ冷戦に発展し、日本との間には領土問題が残りました。
決して、ロシアだけが悪いのではなく、日本にも問題がありましたし、アメリカも絡んだ問題です。
こういう本を日本人が書き、出版されているというのが、日本の出版文化の素晴らしさだと思います。
一人でも多くの日本人に読んでほしいです。