史論児玉源太郎: 明治日本を背負った男 (光人社ノンフィクション文庫 987)

著者 :
  • 潮書房光人新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784769829874

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  • 児玉氏の最大の功績は、やはり台湾統治時代の優れた手腕でしょう。

    風紀が乱れ驕ぶる現地の日本人を諫め、台湾人を日本人と同等に扱い、氏素性ではなく能力によって評価した公平さは、今の台湾の人たちの日本人への親しみの根源であることは間違いありません。

    そもそも、占領された民族が占領自体を感謝するような事例が、植民地政策を主導していた戦勝国に1つでもあったのか?という視点も大事です。

    まあ日韓併合の時点で、もしまだ児玉氏が存命だったなら、韓国統治にもこうした成功例を踏襲したであろうことを考えれば残念でなりませんが、結局は上に立つ一人の指導者の覚悟や先見性を含めた人間力というものが歴史を大きく左右するということのようです。

    ところで本書で、日本軍兵士の行動が勇敢で規律正しいことが世界で絶賛されたという記述が散見されますが、こうした事例をもっと具体的に掘り起こして、日本人の記録として残すべきだと思います。

    戦後の日本人は一方的に戦勝国から戦犯として悪行の限りを尽くしたというレッテルを貼られていますが、戦争という殺し合いの中でさえも様々な良心的な行為があり、どちらかといえば、そちらが本来の日本人の姿であることは、戦後の日本の善意の塊のような行動の数々や大震災での規律ある助け合いなどから、他民族も薄々感づいているような気がします。

    言語道断の無差別テロである大空襲や原爆投下を大きな愛で許し、未来志向で向き合える大人の国である日本が、戦中の他国よりも愚劣な行為をしたとはとても考えられない、という風に。

    もちろん、個人や小規模な集団での跳ね返りや戦中の異常心理での犯罪行為などはあったのでしょうが、軍主導だったという誤解は解いていかなければなりません。

    その一方で、日本を非難している国は、他国を非難できるほど清廉潔白であったのか、という点も同時に問わなければなりません。

    賛否両論のある本書ですが、当時からロシアは抜け駆けや協定違反など当たり前な国だったことがわかり、過去の歴史から学ぶという点でも、現在行われている北方領土返還交渉は安倍&プーチンのトップダウンでしか実現しえないような気がしました。

  • 私の故郷の偉人。この人に焦点を当てて、歴史資料を読み解いている点が面白い。また、単なる賞賛だけではなく、残せなかったものへの言及がある点も興味深い。

  • 軍という組織においても、人事は大事。能力のある将校(管理職)をどれだけ適正に配置できるか。政治家(ステークホルダー)とも連携して、国を守ろうとした彼の危機察知能力と行動力をまねたい。ただ、坂の上の雲と内容が結構かぶっていた。

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