武士道 (講談社バイリンガル・ブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784770024022

作品紹介・あらすじ

本書は、国際連盟事務次長として、「ジューネーブの星」と謳われた著者が、日本人の道徳観を支えている「武士道」を、神道、仏教、儒教の中に探りつつ、キリスト教、騎士道、西洋哲学と対比し、世界の人々に「日本の魂」を説き明かしたものである。

感想・レビュー・書評

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  • この本の背景:日本という新しい国が世界にその雄姿を示す、日清・日露戦争の合間に出版された。
    その思想が西洋思想に比肩する点を強調した。

    仏教は武士道に、運命を穏やかに受け入れ、常に心を平静に保ち、性に執着せず、死と親しむ心をあたえた。

    知識というものは、これを学ぶものが心に同化させ、その人の品性に表れて初めて真の知識になる。ゆえに、武士道は知識を重んじるものではなく、重んずるは行動であった。

    「義」は「自分の身の処し方」を道理に従ってためらわずに決断する力であり、死すべき時は死に、討つべきときには討つことである。しかし、いたずらに死ぬことは、身分の卑しきものでもできる。生きるべき時には生き、死ぬべき時には死ぬことが真の勇気だ。
    また、不正や卑劣な行動をみずから近似、死をも恐れない正義を遂行する精神のこと。

    「勇」は、「ただしき事をなすこと」。
    勇気の精神的側面は、平静さにあり、その精神の均衡を乱されないことである。

    「仁」は、愛、寛容、他者への情愛として、人間の魂でもっとも気高きもの。
    「礼」は、他を思いやる心が外に表れたものでなければならない。社会的地位に対する正当な尊敬。
    この礼には真実と誠実、すなわち「誠」が伴う必要あり。
    「名誉」は境遇から生まれるものでは無く、個人個人が役割をまっとうに果たすこと。
    「忠義」「克己(己に勝つこと)」

    武士道では、個人より国家が先にあり、国家のために生きて死なねばならぬと考えた。よって、一族や家族の利害は一体不可分。

    武士の教育において重んじられたのは「品格」。知的才能はあくまで副次的なもの。

    日本人にとっては、感情を表に出さず、心が乱された時であっても、微笑みで心の平穏を取り戻そうとする。

    真の名誉とは、天の命じることをやり遂げることであり、それを遂行するために招いた切腹は名誉であるが、天が与えようとしているものを避けるための死は、まさに卑怯だ。
    武士道は生来の常識に支えられ、道徳的均衡を維持するための「道徳法廷」として、仇討の制度を作らしめた。

    夫が国のために身を捨てることとと同じように、妻は夫と家族のために身を犠牲にすることがあるが、当然、それは大変な名誉とされた。自己犠牲の精神は男性と女性の両方に見られた。

    女性は男性の奴隷ではなく、妻たちが果たした役割は、「内助」すなわち「内側からの助け」として尊ばれた。

    日本人が西洋近代化を成し遂げたその行動力の源泉は、内なる力、すなわち武士道であった。列島国として見下されることに耐えられない名誉心、これが日本人の最大の動機であった。

    武士道の終焉は、1871年に封建制を正式に廃止する廃藩置県と、その5年後の廃刀令。

  • 課題図書、読了。ほぼ1日で読み終えました。

    新渡戸稲造が1900年に書いた武士道。

    明治という新しい時代に移り、失われつつあった武士道。
    海外に対し日本というものを伝えるために書かれたこの本は、100年以上経過した私に、当時の日本人の在り方、価値観を伝えてくれました。

    脈々と育まれた武士道という日本の価値観は、1世代経ってもなお、無意識の中で、今も生きているように思います。

    良くも悪くも武士道は変わり、私たちの一部になっています。

    改めて、私たちはどうあるべきなのか、問われている気がします。

    私も、以下の点において武士道をもっと取り入れたい、自分の在り方を高めたいと思いました。

    <要点>
    ①義
     自分の正義に基づいて判断、行動する。
     卑劣、卑怯なことをしない。フェアに。

    ②勇気・敢為堅忍の精神
     忍耐。困難を乗り越えやり通す。
     落ち着いた心の状態

    ③仁・惻隠の心
     愛情、情け。思いやり、他者への寛容。

    ④礼
     相手を思いやることで生まれる作法。礼儀。
     心身ともに行われてこそ意味がある。

    ⑤誠
     武士に二言なし。
     口約束で十分。契約や誓いは侮辱。

    ⑥名誉
     名を尊び、恥を知らない生き方をすること、
     恥を避けようとすること。

    ⑦忠義
     主君や師に忠義を尽くすこと。

    ⑧武士の教育
     全ては武士の行動につなげるための学び。
     必要なのは知識ではなく知恵。品性。
     品格の形成が第一
     富は智恵を妨げる。質素。

    ⑨克己
    不平不満を言わない。
    自分の苦しみや悲しみを面に出さない。自制。
    常に冷静でいる。

    ⑩自殺
     死生観。誇りを大切にする。

    11.婦人の教育
     女性の役割。家庭を守る。内助の功。

    12.武士道の感化
     武士の在り方は規範となり庶民にも電波。
     大和魂。


    P.S, NPOの時に、人の行動変容、文化作りをしようとしていましたが、数年単位ではなく、数十年、数世代かけて育まれていくものなんですね。

  • 時代背景から、信じられない(がんじがらめすぎるルールにのっとって生かされている感)部分もあったが、それも自分が身を置けばそうなるのだろうと思った。。。

    【1章】
    ・武士道は明白な形態をとらないが、道徳的雰囲気を有している。武士道は武士の道徳的な掟であって、武士はこれを守り、行うことを教えられ、かつ要求されるものである。
    ・(武士道は)「ケンカを堂々とやれ」というフェア・プレイの精神、この野蛮と子供らしさにみちた原始的な感覚の中に、極めて豊かな道徳の芽生えを垣間見れる。

    [2章]
    ・仏教が武士道に与えることができなかったものを、神道が充たしてくれた。
    ①主君に対する礼節、②祖先に対する崇拝、③親に対する孝行
    ⇒武士の陥りやすい傲慢な性格は抑制されて、服従性が加えられた。

    【3章:義】
    ・武士道の中で最も厳しい教訓。卑劣な行動や不正な行為ほど忌むべきものはない。「義とは、勇気を伴ってなされる決断力である。道理に任せて決断をし、いささかもためらうことをしない心。死ぬべき場合には死に、打つべき場合には打つこと」
    ・義と勇の2つは双生児であり、武士の徳。
    ・義理とは本来は「正義の道理」。厳格な教師のようなものであって、鞭を手にして怠け者を打ち据え、その役目を果たさせる。

    【4章;勇】
    ・勇気は義のために行われるものでなければ、徳としての価値はない。
    ・死に値しないことのために死ぬのを、犬死といって卑しめてきた。
    ・真の勇気とは、生きるべき時に生き、死ぬべき時に死ぬこと。

    【5章;仁】
    ・愛情、寛容、同情、憐憫(れんびん)は、昔から最高の徳とされた。
    ・仁は、やさしくなごやかな徳。伊達政宗の「義に過ぎれば固くなる。仁に過ぎれば弱くなる」
    ・思いやりの心は、仁という大道の始まり
    ・音楽や詩歌(しいか)により感情を養うと、他人の苦痛を察する思いやりを生む。他人の感情を尊敬することから生まれた、謙譲、丁寧の心は、礼儀の根本を成す。

    【6章:礼】
    ・礼儀は、他人の感情察する同情的な思いやりが外にあらわれたもので、正当なるものに対する尊敬、ひいては社会的地位に対する公正な尊敬を意味する。
    ・礼儀の最高の形はほとんど愛に近い。
    ・絶えず正しい礼法を修めることで、人の身体のすべての部分と昨日は完全に整えられ、身体とそれをとりまく外部の環境とが全く調和し、肉体に対する精神の支配を表現するに至る。
    ・茶の湯の道の第一義は、心の平静と感情の明澄、立居振舞いの静穏であって、それは正しい思索と感情を生み出す第一の要件。
    ・礼儀は仁愛と謙譲の動機より発して、他人の感情を洞察するやさしい感情によって働く。悲しむものと共に悲しみ、喜ぶものと共に喜ぶ。

    【7章:誠実】
    ・礼儀を行うのに、真実と誠実の心が欠けていたならば、それは茶番になりお芝居となってしまう。
    ・正常な両親は要求された高さまで上がり、期待される標準の限界にまで、たやすく下がる。

    【8章:名誉】
    ・名誉の感覚は、人格の尊厳とその価値にかかわる明確な自覚から生まれる。
    ・名誉はしばしば虚栄、あるいは俗世間的な評判にすぎなかったとしても、人生における最高の善として貴ばれた。
    ・多くの少年の目標は、富でもなければ知識でもなく、名誉であった。恥を免れ、名を立てるためには、どんな不自由な暮らしもいとわず、肉体的あるいは精神的な苦痛にも耐えた。

    【9章:忠義】
    ・忠義が徳として最も重んじられたのは、武士の名誉にかかわる規範においてのみだった。
    ・武士の妻も我が子の忠義のために捧げることに、少しもためらわなかった。
    ・国家は個人に先んじて存在し、個人は国家の部分および分子として生まれたものであるから、個人は、国家のためあるいは正当な権威の掌握者のために生き、また死ぬべきであるとした。

    【10章:武士の教育】
    ・武士の教育において重んじられたのは品性。
    ・黄金と生命を惜しむ者はいyしめられ、それを捨てる者が称えられた。経済のことを口にすることは悪趣味とされ、貨幣の価値を知らないことは、良い教育を受けた印だとされた。
    ・ぜいたくは、人間にとって最もおそるべきものであり、武士は常に質素な生活をしなければならぬと考えられていた。
    ・国の公史が腐敗や汚職から遠ざけることができたのは、この背景があるから。

    【11章:克己】
    ・武士が、感情を顔に表すのは男らしくないと考えられ、「喜怒を色に現わさず」とは、強い性格を評価する言葉であって、最も自然な愛情をも抑制されてきた。
    ・克己の収容は、ややもすれば度が過ぎ、霊魂のはつらつとした流れをさえぎることもあるし、また素直な天性をゆがめて偏狭な、奇形な人とすることもある。頑固な性格を生み、偽善者をつくり、愛情をにぶらすこともある。克己の理想とするところは心の平静を保つこと。

    【12章:切腹】
    ・名誉が失われたときには、死こそ救いなれ
    氏は恥辱よりの唯一の安らかな隠家
    ・自然の死を、むしろ意気地のないものとして、男子の望む最期のものではないと考えてきた。
    ・真の名誉とは、点の命ずることを果たすことであって、このために死を招くことは、決して不名誉なことではなかった。これに反して、天が与えようとするものを避けるための死は、まったく卑怯なことなのである。

    【13章:刀】
    ・負けるが勝ち。真の勝利は乱暴な敵に抵抗しない。武士道の究極の理想は、結局平和。

    【14章:婦人】
    ・彼女らの一生は従属的な奉仕の障害。男子の内助者として彼女の存在が役に立てば、夫と共に晴れの舞台に立ち、もし役にたたなければ彼女は幕のかげに退く。
    ・女性は男性の奴隷ではない。内助、すなわち内側からの助けであった。

  • 日本人の道徳的価値観の本。日本人にとって キリスト国の聖書に値する本

    何回か読んだら 英語でも理解したい。1つで2度楽しめる本

  • 請求記号:156/N88
    選書コメント:
    原書は1899年に英語で出版。宗教がないと言われる日本において善悪を見極め、徳性を高める哲学としてあったのが武士道であり、それが武士階級のみならず庶民全体に広がっていたことが、日本がアジアにおいて唯一の一等国となった一因でもあった。武士道における、知識よりも品性を、知性よりも霊魂を磨くことを目的とした教育というのは、今でも十分通じる内容であるし、孔子や孟子などの格言に触れることもできる。
    (環境創造学部環境創造学科 大杉由香 教授)

  • 対訳であるが最も読みやすいように思える。また、これほどキリスト教やローマやイギリスを例に引いて武士道を説明していたことにあらためて気づかされた。

  • 日本の文化を様々な国の哲人の言葉と比較しながら説いていく。
    国際人としての新渡戸稲造の博学ぶりに驚くとともに、西洋文化との対比が説得力を増すことに気がつく。

  • 2013年73冊目。

    海外の文学や歴史から言葉を引用しながら武士道を紹介するところに、
    「海外に日本を発信しよう」という新渡戸さんの強い想いが見える。
    共感・反発問わず、日本人の中に深く根付いている精神を勉強できてよかった。

  • 昔に読みすぎて忘れちゃったなあ。

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著者プロフィール

1862年南部藩士の子として生まれる。札幌農学校(現在の北海道大学)に学び、その後、アメリカ、ドイツで農政学等を研究。1899年、アメリカで静養中に本書を執筆。帰国後、第一高等学校校長などを歴任。1920年から26年まで国際連盟事務局次長を務め、国際平和に尽力した。辞任後は貴族院議員などを務め、33年逝去。

「2017年 『1分間武士道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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