多文化時代の市民権: マイノリティの権利と自由主義

  • 晃洋書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784771010628

作品紹介・あらすじ

本書は、移民や民族的マイノリティが有する固有の文化への様々な要求を、自由主義の立場に立ちつつ、「多文化市民権」として正当化するという、野心的な理論的試みである。そして、その理論が、マイノリティがもたらす多文化をめぐる豊富な実践的知見に裏づけられているところに、キムリッカ理論の特徴があるとともに、最大の魅力の1つが存在する。

感想・レビュー・書評

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  • 個人は他者(学校・地域・国)から承認されることで、自分の個性やアイデンティティを確立させる。個人は単独で自分の個性・アイデンティティを確立させることはできない。マイノリティの文化的な差異を認めて、異なる文化を承認することではじめて、マイノリティは自分たちの個性・アイデンティティを発展・確立できる。チャールズ・テイラーTaylor『Multiculturalism』1994

    私たちにはアイデンティティの拠り所になる文化がある。この文化が選択肢を提供してくれる。文化への所属は自由で自律した人間になるための条件だ。▼先住民には自分たちの文化を自由に発展させるための政治的な自治と領域の支配権が認められるべき。分離独立の権利もある。▼一方、自分で選んで移住してきた移民には自治権はない。自分たちの文化の独自性や誇りを表明することを援助することはできる。公的扶助や特定の法律の適用免除など。ウィル・キムリッカKymlicka『Multicultural citizenship』1995

    カナダ。英系はカナダをネーションでありかつステートだと考えている。仏系ケベック人はケベックをネーション、カナダをステートと考えている。ケベックナショナリズムは排他的な民族主義。イグナティエフ『民族はなぜ殺し合うのか』1993
    ※キムリッカ「排他的でも民族主義でもない。ケベック人が求めているのは地域の独自性を確保すること。カナダの言語や歴史を学びさえすれば、ネーションの構成員と受け入れることができる」

    移民をフランスへの同化を強要するのはダメだが、移民の自コミュニティ中心主義もダメ。トゥレーヌ1997

    豪。多文化主義とはいえ、結局は、多数派の白人が少数派の非白人に対してどの程度、寛容するか、不寛容かを決めている。あくまで多数派が管理する側であり、少数派は管理される側。力関係を対等にするつもりはない。多文化主義は多数派である白人たちのナショナリズムが生み出した管理の論理だ。ハージ、2003

    マイノリティの権利を主張すれば、普遍主義を放棄することになり、左翼を分裂させてしまう。T・ギトリン

    配分の政治、承認の政治、両者の折衷を目指すべき。N.フレイザー

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  • 多文化社会=移民・難民を包含する社会で,彼らと共生するための理論.自発性の有無はひとつの鍵.もう少し広く,マイノリティと社会という観点に広がるかと思ったが,まだまだ理解が必要.

  • オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。
    http://books-officehiguchi.com/archives/4410049.html

    多文化主義を知るきっかけは大学院時代で、当時研究していたときのことを思い出した。今後の研究だけでなく、予備校での授業のネタでも使えるかもしれないので、何らかの形でこの本の話題を出したい。

  • 多文化社会における民族的マイノリティの権利に関するカナダの理論家、キムリッカ(Will Kymlicka)の本です。世界中の民主主義国が直面している問題や民族対立の出現パターン、その構造の解明が試みられています。2005年度の教育行財政特論の教科書でした。

    少数派の権利は多数派の権利といかに公正に共存しうるか。うーん、正直難しくていまだ内容をしっかりつかみきれていません。ウープス。

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著者プロフィール

(Will Kymlicka)
カナダの政治哲学者。クイーンズ大学で哲学と政治学を学び、1987年、G. A. コーエンの指導の下、哲学博士号を取得。1998年からは母校であるクイーンズ大学哲学学部で教鞭をとるとともに、ハンガリーの中央ヨーロッパ大学のナショナリズム研究プログラムの客員教授も務める。英米圏を代表する政治理論家であり、日本でも『多文化時代の市民権――マイノリティの権利と自由主義』(晃洋書房、1998年)、『現代政治理論』(日本経済評論社、2002年)、『新版 現代政治理論』(日本経済評論社、2005年)、『土着語の政治――ナショナリズム・多文化主義、シティズンシップ』(法政大学出版局、2012年)、『人と動物の政治共同体――「動物の権利」の政治理論』(尚学社、2016年)が翻訳されている。

「2018年 『多文化主義のゆくえ 国際化をめぐる苦闘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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