コミュニティ・デザインによる賃貸住宅のブランディング: 人気シェアハウスの経験価値創造
- 晃洋書房 (2015年4月3日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784771026308
作品紹介・あらすじ
「100組の入居待ちが続く大人気の賃貸住宅」を生み出すことも不可能ではない!?国内の賃貸住宅市場では近年、シェアハウスを中心とする新たな運営形態の住宅「コミュニティ型賃貸住宅」に熱視線が集まっている。若者から火がつき、今や大人世代まで支持を広げつつあるこの新しい住まい方とは一体どのようなもので、一般的な賃貸住宅とは何が異なっているのか?その人気の理由と独自のブランド力が生み出される要因を、7つの物件の事例を通して、経営者らへのインタビューと「経験価値」の理論から解き明かした一冊。
感想・レビュー・書評
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シェアハウスを中心とするコミュニティ型賃貸住宅に内在する付加価値を分析・抽出し、体系化している。
マーケティング手法である4P(Product, Price, Place, Promotion)だけでなく、経験価値分析という「SENSE, FEEL, THINK, ACT, RELATE」といった項目で分析しているところも興味深い。
人から選ばれるには「価値」が必要であるが、住という生活に密着しているものが日本ほど画一的な状況も一種異様であり、選ぶという考えもなかったように思う。今はようやく生き方の多様性が建築に反映してきており、選びようも出てきた。そこを体系付けようという本書は、より一般化する点でも意義のあるものと思う。
一方で、修士論文を書籍化しているところに汚さ雑さを感じる。特に8章。ある仮説を設定し、それの検証をすることが研究であるが、その検証というのは他者から客観的に再検証できなければならない。それが数字であり統計という手法を用いるのであるが、文系はこんなもんなのだろうか?
『仮説①……、同物件は●●である。仮説①は同物件に非常によく当てはまると言える。』
こんな自作自演を見せられるのは苦痛である。研究論文ならば当たり前のことを当たり前ということはとても大事であり、これにも意義はあるが、一般の本でこれをやっても白けるだけである。この部分はあっさり書き直せるだろう。
このような推敲されてないものを見ると、特に論文からの転用は、単なる教授の金儲けにしか感じない。中身はいいのにもったいない。詳細をみるコメント0件をすべて表示