ハンナ・アーレントと共生の〈場所〉論 パレスチナ・ユダヤのバイナショナリズムを再考する
- 晃洋書房 (2025年2月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784771038981
作品紹介・あらすじ
アーレントはパレスチナ/イスラエル問題を
どう語ったのか?
先住民問題,紛争,難民・移民,領土,民主主義――
分断の時代に問いかける,共生の可能性.アーレントが照らした未来への道筋を今,読み解く.
1940年代,アーレントは何を思いパレスチナ人とユダヤ人の共存国家論を論じたのか.初期論考が収められた『ユダヤ論集』から『革命について』『エルサレムのアイヒマン』までを分析.シオニズムへの批判から連邦制の理論が紡がれるまでの洞察を読み直す.〈場所〉を失い難民となった一人の思想家による,他者と共生する〈場所〉の未来像を示す.
感想・レビュー・書評
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【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/731643 -
パレスティナ、シオニズムとアーレントの関係という具体的な政治問題へのアーレントの思想を読み解く本。
アーレントの「ユダヤ軍」創設の議論はなかなかわかりにくいものであった。アーレントの政治思想として、非暴力とまでは行かなくても違う価値観の人が共生することを重視するスタンスとの関係がわからず、なんとなく時事的発言かと思っていた。が、著者は「ユダヤ軍」の議論を丁寧に読み解き、アーレントとシオニズムとの緊張感のある関係性も浮かびあがあらせる。そこから、アーレントの彼女のパレスティナのバイナショナリズム提案の意味を構築していく。
そこまででも、快挙なのだが、著者はそこで留まらず、後年の主著の再解釈に挑み、そこからアーレントの主要著作とのリンクを丁寧に読み解いていき、最終的にはアーレントの政治思想全体の解釈が変化するような本だった。
読み終えてみれば、なるほど、それはそうだよな、ある意味、当たり前だと思えてしまうのだが、読み始める前にはそれは全く当たり前ではなかった議論。それだけ、著者の議論の説得力があったということだと思う。 -
はじめに
- 本書は、ユダヤ人問題とシオニズムに関するアーレントの思想を中心に、彼女の考え方や議論を深く掘り下げることを目的としている。
- アーレントは、シオニズムやユダヤ軍創設論を通じて、ユダヤ人の政治的主体性を主張している。
アーレントとシオニズム
- アーレントは、ナチス・ドイツによる迫害を受けて、ユダヤ人の権利を訴える必要性を強調している。
- 彼女は「ユダヤ軍創設論」を提唱し、ユダヤ人が武装して自己防衛を行うべきであると主張した。
- シオニズムに関して、アーレントは主流派シオニズムを批判し、非暴力的な解決策を模索することが重要だと考えていた。
ユダヤ軍創設論
- アーレントのユダヤ軍創設論は、ユダヤ人が自己防衛のために組織的に武装する必要があるという立場に基づいている。
- 彼女は、武装闘争がユダヤ人の解放に向けた重要なステップであると認識していた。
- この理論は、彼女の権力概念と密接に関連しており、暴力が政治的自由を実現するための手段として機能することを示している。
シオニズムの再考
- アーレントは、「ポスト・シオニズム」という概念を提唱し、イスラエルとパレスチナの共存を模索する重要性を強調している。
- 彼女は、シオニズムを再考することで、より包括的な政治的解決策を見出すことができると考える。
政治的自由と共生
- アーレントは、政治的自由の実現には多様な民族が共生することが不可欠であると主張した。
- 彼女は、シオニズムを単なる国家建設運動としてではなく、複数の民族が共存するための「バイナショナリズム」として理解することを提唱している。
- 彼女の「共生」の概念は、さまざまな民族が平等に政治に参加し、互いの権利を尊重することに基づいている。
結論
- 本書は、アーレントのシオニズムに関する考え方を深く分析し、彼女の政治思想がどのように形成され、発展していったのかを示している。
- アーレントの思想は、ユダヤ人問題に対する理解を深め、現代におけるシオニズムや民族問題の解決に向けた示唆を提供している。
