- Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
- / ISBN・EAN: 9784772190565
作品紹介・あらすじ
20世紀を代表するイギリスの絵本作家、挿絵画家のエドワード・アーディゾーニの、幼少期から青春の日々を描いた自伝です。ベトナムのハイフォンで5人きょうだいの長男として生まれ、5歳のときにイギリスの片田舎の村に母や妹たちと移ってきたところから、代表作『チムとゆうかんなせんちょうさん』が出版され、成功を収めるまでの前半生が、ふんだんなペン画の挿絵入りで語られます。母方の曾祖父が絵の達者な船長だったこと、母が外国にいる父と暮らすために何年も家を留守にし、祖母と妹たちと暮らした日々、寄宿学校でいじめられっ子だったこと、港で遊んで船員たちに船に乗せてもらったことなど、後の作品とも繋がる少年時代の日々がリアルに描かれていて、興味が尽きません。また、100年前のイギリス社会の日常が挿絵付きで見られるという意味でも、貴重な資料となることでしょう。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
文字通り、アーディゾーニが物心ついた頃、5歳くらいからの若い日々を記憶を辿って克明に描いたイラストともに振り返る自伝。驚くのは彼の記憶力の良さで、6歳の頃に住んでいたイースト・バーゴルドの散歩道に日々草やゼラニウム、スミレやセンノウが咲いていたことを覚えていたり、小学生の時期に過ごしたイプスウィッチの町中で目撃した夫婦喧嘩の様子、とくに肉厚な女性のむき出しの二の腕まで覚えているのです。18歳で軍隊への入隊を志望するものの入隊できず、それまで絵を描くことを慰めとしていたアーディゾーニが本格的に絵を学んで行く様子など、『チムとゆうかんなせんちょうさん』が世に出るまでの前半生は読み物としても、画集としても興味深いです。特に1900年生まれのアーディゾーニの幼少期の家の中の設えや服装など、100年前のイギリスの暮らしを垣間見ることが出来ます。なお「人生を織りなすのは「懐しさ」。アーディゾーニこそ「懐しさ」の巨匠だった。」という帯の言葉はこの5月に亡くなられた長田弘さんのものです。
-
子どものころから絵本作家になるまでの自伝。
たくさんの挿絵が、すごい。アーティゾーニは、思い出をすべて映像として記憶しているようだ。それぞれのシーンが、しっかり再現されていている。当時の服装や、学校・町の雰囲気が写真を見るようだ。