摂食障害の精神分析的アプローチ―病理の理解と心理療法の実際 (精神分析臨床シリーズ)
- 金剛出版 (2006年7月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784772409247
作品紹介・あらすじ
摂食障害は、同じ症状に見えてもクライエントの深いこころの世界にまで踏み込まなければ鑑別診断が難しく、安易な取り組みがゆるされない死の可能性すらある重い疾患である。本書は、そんな中核的な摂食障害の治療を続けている編者らによる、あまたあるガイドライン的書物とは一線を画した、本格的な摂食障害のための臨床書である。
感想・レビュー・書評
-
実際の症例の紹介の部分が中々良かった。ただ看護の症例は綺麗すぎて異和感が・・・
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
実際に生きる人間と対峙するときに、大変役に立ち示唆に富む良書。体験しないと言葉にならないものがある。
-
非常に実用的な摂食障害についての本。対象関係論の考え方を下敷きに、とても細やかに書かれていると感じた。良書だと思う。
摂食障害は入院治療じゃないと治らない、との考えに基づき、収められている論文もさることながらナースとの連携体制についても書かれていてかなりいい。
個人的に心に残ったのは、介入が治すのではなく(まぁ最終的には抑うつポジションの分析にかかっているわけだけども)、枠が患者を守る、治療枠を守ることがTh,Clを守るのだ、という点。 -
第1部 視 点
第1章 対象関係論から理解する摂食障害の病態とパーソナリティ――そして,それに基づく分析的臨床:松木邦裕
第2部 治療の実際
第2章 未分化な情緒に触れ続けること――他者への迎合を続ける過食症女性との入院精神療法過程:渡邉真里子
第3章 拒食症における不安の源泉:鈴木智美
第4章 こころの真実に触れることの難しさ:一木仁美
第5章 自己愛的世界から抜け出した過食症の一例――8年半の治療経過から:調 恵子
第6章 母親の身体に閉じこもること――過食症者の「閉所」恐怖心性をめぐって:山田 信
第3部 コンテイニング
第7章 摂食障害患者の看護の実際――自殺を果たそうとし続ける患者への対応における受け持ちナースの役割と看護チームの役割:荘野悦子
第8章 摂食障害治療でのマネージメント――Creating, Containing, Functioning, and Tolerating:松木邦裕
補 遺:鈴木智美
摂食障害の治療は本当に難しい。内面の問題とは思ってないことも多くてただ過食が治ればいいとか、症状だけに会話が固執しやすい。
たぶんどう治療契約が結ぶかが勝負だ。その時に悲惨な予後を告げて危機感を煽ることも必要かもしれない。 -
痒いところに手が届く、良書。マネジメントと心理療法のそれぞれに割かれたバランスが良かった。