ポール・ワクテルの心理療法講義―心理療法において実際は何が起こっているのか?

  • 金剛出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772414739

作品紹介・あらすじ

心理療法について論じた本は多くあるが,心理療法のセッションをありのままに記述した本は稀にしか存在しない。ポール・ワクテル自身による3セッションの逐語録を詳細な解説とともに収録した本書は,ワクテルがリードしてきた統合的心理療法をケースで学べる理論書であり,「心理療法において本当は何が起こっているのか?」を具体的ケースに即して検証する臨床実践書でもある。
精神分析と行動療法を基礎として,他のさまざまな学派との接触を糧に改訂を繰り返し,認知行動療法,システミック・アプローチ,ヒューマニスティック・アプローチの要素を併せ持つに至ったワクテルの統合的心理療法は,『心理療法の統合を求めて――精神分析・行動療法・家族療法』『心理療法家の言葉の技術[第2版]――治療的コミュニケーションをひらく』(いずれも金剛出版)の理論的考察を経て,ついに本書においてその具体的な実践スタイルを明らかにする。ページをめくるたびに,セラピストの耳の傾け方,言葉の使い方,表現のニュアンス,共感の示し方,クライエントへの注目,治療関係の築き方がワクテル自身のコメントとともに披露され,単純にマニュアル化することができない心理療法のより深い理解に読者を誘う。
統合的心理療法をリードしてきたワクテルが自らのセッションを披露した,一歩上を行く心理臨床をマスターするための必読書。

感想・レビュー・書評

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  • まずワクテルの提唱する循環的心理力動論の解説があり、3つのセッションとそれらの振り返りが収録されている。ワクテルがどのように感じ、考えながらセラピーを進めているかがよくわかるので、心理療法を学ぶ者には有益な一冊といえる。セッションが丸々紹介されているだけでも大変貴重である。
    この道のベテランであるワクテルでさえ、セッションではかなり苦戦している。いかにセラピーが難しいものであるかを体現してくれている。

  • p91 本書に示された理論的・治療的アプローチの中心的な特徴は、患者の体験と人格に一貫して敬意を払いながら、そして、患者の強さに依拠したうえで共感的かつ率直に患者の痛みと機能不全を見ていくようにしながら、患者の問題と向き合うことにある。

    p184 同じままの人間でありつづけることは必ずしも悪いことではない。精神分析、あるいはあらゆる良き心理療法の結果として期待されることのひとつは、ありのままの自分自身をよりよく感じられるようになることである。誰か別の人になひたいと切望する代わりに、自分自身であることをうれしく思うようになるのである。

    p225 治療者が教育的になることに伴う問題は、治療者の態度に傲慢なところがあるのではないかということ、つまり、「私は人生における対処の仕方を知っている、あなたは知らない、だから教えてあげましょう」という雰囲気やメッセージがあるのではないかということにある。そうならないように保証する有用な手段のひとつは、帰属的コメントを用いることである。

    p328 a.不安、罪悪感、恥といった感情に注目する。b.患者がその不安を克服するのを助ける。c.患者が受け容れられないと感じてきた体験を承認し、妥当なものとして認める。d.危険だとか不愉快だとかということで排除されてきた感情を、患者が感じるための余地をつくりだし、それを再び自分のものとして体験できるよう促進する。

    p365 ジェロームフランク 心理療法の比較研究、アーヴィンヤーロム 実存的心理療法、ポールワクテル 統合的心理療法

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