火星からの侵略―パニックの心理学的研究

  • 金剛出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772415859

作品紹介・あらすじ

一九三八年のハロウィーンの晩に、名優オーソン・ウェルズはマーキュリー劇場というラジオ番組で、H・G・ウェルズの空想小説『宇宙戦争』を基にラジオドラマを実にありありと、いかにも現実の出来事のように放送した。その結果、少なくとも百万人の米国人が恐怖に駆られ、数千人がパニックに陥った。本書で報告する研究は、この放送直後に開始されて、何が集団行動の主な心理的理由と考えられるかを探るために、人々の反応について調査した。……(本書序文より)
 地震,テロ事件など大規模災害では,流言飛語をどのようにコントロールするかがつねに大きな課題となる。パニック発生時のコミュニケーションや集団行動に興味のある人々にとって、本書は今も価値がある。
現在は,核弾頭を積んだ大陸間ミサイルが存在し,その巨大な破壊力に対して,火星人の侵略よりも遙かに強い妄想が人々に生じる可能性がある。またヨーロッパへの難民流入への極端な報道により,人々に行き過ぎた不安とパニックを引き起こす下地は今なお存在している。
 80年前の歴史上有名なこの事件について書かれた本書は,現代にも起こりうる,パニック状況における伝染性のある恐怖の人間心理を詳細に分析したものといえよう。

感想・レビュー・書評

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  • 1938年10月31日、アメリカで流れたラジオドラマから端を発したパニック騒動。H・G・ウェルズ『宇宙戦争』を基にしたラジオ劇を聞き、火星人の侵略によって大きな被害、多数の死者が出たという話を信じた人が少なからずたくさんいたという。
    ・放送がラジオ劇であると判断するカギは「批判力」。
    ・批判力が高い=教育レベルが高いという一定の相関はあるものの、今回のパニック騒動では完全に相関するわけではない。同じ教育レベルであっても、信じた人/信じない人が同じく存在した。
    ・その場で批判力が発揮されるか否かは、その人のパーソナリティも大きく関係する。パーソナリティ=危険な状況に直面した際の暗示への感受性。被暗示性の指標:不安定、恐怖症、心配の量、自信の欠如、運命論、信仰心、教会への出席の頻度。
    ・その被暗示性の強弱は、当然ラジオの聴取状況にもよる。信頼できる誰かから聴くように言われたのでラジオを付けた人、完全に信じ切って興奮している人と一緒に聴いた人などは、より暗示にかかりやすい。
    ・批判力の発揮に関わる事項としてパーソナリティ、聴取状況、そして社会的背景も大きい。1938年は1939年に第二次世界大戦が起こる1年前。第一次世界大戦の記憶と忍び寄る新たな戦争の影がある生活の中で、突然の臨時ニュース(=隕石の衝突)が入り込むというシチュエーションは至って自然だったのだろう。また、火星人の侵略と報じられているそれは、ドイツ軍や日本軍の侵略なのではないか、と思い恐怖した人たちもいた。

  •  1938年のオーソン・ウェルズのラジオ『宇宙戦争』によるパニックを40年に調査したものを近年になって再書籍化。

     放送時のほぼそのままの脚本が載ってるのはすごい。これだと確かに途中から聞くと一瞬臨時ニュースと間違える。最後には後日談も放送されてラジオドラマと完全に分かるのだが、パニックになった人は最後まで聞かないだろう。。。
     この本では大規模な調査からどのような人々がどの様に感じ行動したかが調べられている。
     『宇宙戦争』パニックはラジオを聞く習慣ができ始めた頃でなおかつ社会が不安定だったという背景が大きかった。さらにパニックになった人とそうでない人の違いにはその人自身が生活や心が安定しているかどうかも大きかった。ということは、今現在のネットなどで同様のことが起きる可能性は決して低くはないのだ。この本が再書籍化された意味が分かった気がした。。。

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