- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784772417471
作品紹介・あらすじ
ここ10年間で物質使用障害の臨床は大きく変わってきた。海外のさまざまな治療法が国内に紹介され,そうした海外のプログラムを参考にして,わが国の状況にマッチしたプログラムが開発され,普及してきた。
雑誌『精神療法』に連載の「物質使用障害治療の最前線」をまとめた本書は,最近10年間に登場し,すでに依存症分野で一定のポジションを確立したと思われる心理療法プログラムや,依存症に関連した重要なトピックを集めたものである。いずれの章も,そのテーマ,プログラムの第一人者である第一線級の臨床家・研究者が執筆しており,通読すれば,現在,わが国の医療機関でスタンダードとなっている治療プログラムや治療理念を一望することができる。
これらのプログラムは,物質使用障害という領域が,多くの援助者から忌避され,結果的に多くの当事者と家族を治療・支援から疎外してきたといえる状況を緩和し,依存症臨床への入り口を広げる効果があるだろう。
しかし,さまざまな治療プログラムはツールにすぎないので,患者の多様なニーズに応えるべきテーラーメイドの治療として,本書で取り上げたプログラムを複数用いたり,構造化されていない個別的なかかわりを行うことは不可欠である。
すでに物質使用障害臨床に従事している人だけでなく,これから取り組もうとする人にも役立つ一冊。
感想・レビュー・書評
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この10年程で依存症臨床は変わってきた。つまり「底つき」療法から、治療継続、科学的根拠のある治療、そして連携である。諸外国で利用されている治療パッケージが本邦に邦訳され改変され誰でも使いやすくなり広がっているのは好ましいことだが、一方では自助グループの意味についても再考されることは重要である。本書も、この10年の変化をパッケージされた書籍であり、本書を読んだうえで類書に進んでいく必要があるだろう。