デンマークという国自然エネルギー先進国 増補版: 風のがっこうからのレポート

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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772603614

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  • 再読だったが、発見することが多数あり。当然のことであるが、エネルギーシステムの議論は国のあり方そのものである。理想主義と利他主義へ。

  • <結論>
    風力は自然任せのためベース電源にはなりえない。農業廃棄物(木材・廃材・麦わら・家畜の糞尿)などのバイオマスを自治体・コミュニティレベルでベース電源として利用している。風力や太陽光だけ推進するのは間違いであることが分かった。農村の農業廃棄物の再利用が不可欠である。

    <目次>
    はじめに
    第1章 デンマークという国
    第2章 「オイルショック」から転換した環境・エネルギー政策
    第3章 なぜ、デンマークで風力発電か
    第4章 バイオガスで電気と温水を供給する
    第5章 廃棄物をエネルギーに換えるシステムを作る
    第6章 メタンガス・麦わら・木材をエネルギーに換える
    第7章 国民を育てる教育・起業家を育てる社会
    第8章 デンマークという国の政治
    第9章 今、日本の抱える問題は何か?
    第10章 日本はデンマークから学ぶものがあるか
    第11章 日本への私の提案
    増補版のあとがき

    <メモ>
    デンマークの農業戸数、農業人口、耕地面積(24)
    1971年 135588人 203800人 29150km2
    2000年  54540人  79616人 26460km2
    食料自給率300%(25)
    戦争は食料とエネルギーに対して国境を境にして行う争奪戦だと彼らが理解しているからでしょう。(26)

    デンマークのエネルギー資源(単位:ペタジュール) ペタ=10の15乗(65)
        原油 天然ガス 再生可能エネルギー 自給率
    1972年  3.8  -    14.3        2%
    2000年 765.0 310.0   89.0        139%
    2004年 828.0 356.0  120.0        155%

    再生可能エネルギーの内訳
    風力発電  16.0
    廃棄物   30.3
    木材・廃材 22.6
    麦わら   13.1
    バイオガス  2.9
    その他    4.2

    風力発電の歴史:1891年、ポール・ラ・クアー(71)

    風力発電の売電価格 1kwhあたり(91)
    デンマーク 4.2円
    ドイツ   6.2〜8.5円
    フランス  8.4円
    イギリス  10.1円
    イタリア  15.5円

    GDPと一次エネルギー消費量の伸び率(1973年〜1996年)
         GDP 一次エネルギー消費量
    日本   106.5%  57.4%
    アメリカ 67.1%  23.0%
    イギリス 51.4%  6.3%
    ドイツ  60.7%  3.5%

    生産性のある国民の生活レベルをこのままに維持して、生産性のない層の生活レベルを下げないと、今の日本では借金を削減することは困難だと私は考えています。(189)
    デンマークの大卒初任給は50〜60万円(190)
    「私個人」「私的グループ」を守るための社会システムは、社会全体の問題の解決策に対して、「私的利益」がないあるいは明らかに不利益があるばあい、「前例がない」ことを理由にその解決策の社会的検討を抑制してしまい、公的に議論される前につぶされてきたのが実状ではないでしょうか。(201)

    家畜の糞尿に起因する窒素負荷の欧州連合での上限目標:170キロ/Ha(212)
    19の県で超えている。宮崎県は3倍に達している。

    背番号制の導入
    民主国家日本において、現在の財政危機を産み出した責任は自分たちにあることを確認し、財政危機はとりもなおさず、自分たちと時代にもろもろの被害を与えることを直視して、この財政危機から抜け出すまで、プライバシー問題は棚上げしておくことではないでしょうか。国家があって初めてその国に住む国民の生活が保障されるということを忘れてはいけないと思うからです。(226)

    2014.04.13 2014年1月のPD講座で、デンマークが大企業資本による大規模発電システムから、地域経済による地域分散発電システムへ移行したという話を聞いた。そのカラクリは何だろうか?日本人も真似できることなのだろうか。
    2014.04.30 読了

  • エネルギー自給率が1972年時点では2%だったデンマーク。
    それが2004年には155%となる。
    様々な工夫の中でも、バイオガスと風力発電がポイントらしい。

    デンマークの風力発電に対する政策は、地元還元であり投資家を寄せ付けないものだという。

    エネルギー問題をテーマにしながら、国民と国家の乖離を指摘しつつ、個人の意識にまで迫る。

  • 国民の自主性や教育制度の重要性を伝える, 2004/7/30


    デンマークの環境教育施設「風のがっこう」の主催者ステファンスズキさんの本。デンマークは環境行政・新エネルギーの先進国であり、同時に福祉先進国と言われていますが、その理由について語られています。大きな要素は国民の自主性と教育制度にあると感じました。国民の意識が日本とかなり違うという印象です。
    今後の日本のあり方を考える上でも参考になる本だと思います

  • 分類=デンマーク。06年2月増補版(03年6月初出)。

  • デンマークの政治のあり方、特にエネルギー政策について解説し、日本に対しての提言を行っている本。デンマーク国民の政治に対する意識の高さと信頼には感服します。

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著者プロフィール

1944年岩手県生まれ。1967年にデンマークに渡り、79年にデンマーク国籍を取得。1990年、S.R.A.デンマークを設立、風力発電機、バイオマスプラントを日本に普及させる事業を手がける。1997年、環境政策などの視察でデンマークを訪れる日本人のための研修施設「風のがっこう」を設立。現在は、日本とデンマークを往復し、多岐に渡るテーマで精力的に講演をおこなっている。著書:『増補版デンマークという国 自然エネルギー先進国』『なぜ、デンマーク人は幸福な国を作ることに成功したのか どうして日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか』『デンマークが超福祉大国になったこれだけの理由(合同出版)、『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』(角川SSS新書)など。

「2014年 『デンマークという国を創った人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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