イラク―米軍脱走兵、真実の告発

制作 : Joshua Key  Lawrence Hill  井手 真也 
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772604239

感想・レビュー・書評

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  • 貧しい人びとをだまして戦地におくる、アメリカ格差社会の現実。この本を読んでアメリカはベトナム戦争で犯した過ちを性懲りもなくイラクで繰り返しているなと痛感します。

    ねがわくは、この本を映画化してほしい本です。何十年かかるかわかりませんが。まず無理だろうけれど、希望は捨てません。著者はアメリカの典型的な下層階級出身の人間で、リクルーターの口車に乗せられて、アメリカ軍に入隊します。ここに描かれている訓練の様子はスタンリー・キューブリックの『フルメタル・ジャケット』の前半部分そのものです。兵士同士がするリンチもあの映画に描かれている方法そのまんまです。ここには書きませんがどうしても知りたい方は自分の目で確認してください。その後の責任は負えませんが。

    つくづくこの本を読んで、キューブリックは人間の『真実』を描いているんだなぁと思いました。戦っている相手がベトコンがイラク兵に代わっただけです。後は何も変わりません。そして、イラクの最前線で著者は地獄を見ます。凄惨な描写のオンパレードで書きたくないので具体的な事は書きませんが、人間一皮向くとケモノ同然だということがよーく判りますね。これを『正義』の名のもとにやってるってんだから、まったく、どうしようもありません。

    一時帰国で本土に帰ってきた著者は、『脱走兵』としてカナダに亡命します。その綱渡りの日々は、読んでいて空恐ろしささえ覚えました。彼の声にはぜひ、耳を傾けてほしいと思います。

  • 元米国陸軍兵士、ジョシュア・キー約6ヶ月のイラク従軍体験を、ライターのローレンス・ヒルが取材して構成。手記のような体裁で書かれたノンフィクション。
    ブライアン・デ・パルマ監督のフェイクドキュメンタリー映画『リダクテッド 真実の価値』を観た劇場のカウンターで売られていた。原作ではないけれども、多大なインスピレーションソースになったことは間違いない。読めばわかる。
    たとえば検問所での惨殺のくだりや、家宅捜索での暴行や窃盗、若く貧しく、無教養な兵士たちが善悪の判断を失い狂っていくさま…。イラクで何が行われているのか、隠されて(リダクテッド)いるのか、真実が重く衝撃的。

    わたしがこの本に対して、少しセンチメンタルな感情を抱いてしまう理由は、アメリカの青春小説のような、率直な語り口にほかならない。オクラホマ州の小さな町に生まれ、トレーラーハウスで育ったキー。DVを受け続ける母、銃が周りにあふれ、キリスト教福音派の保守的な土地柄。そんな彼に、無抵抗な相手を殴るのは悪いと教えたのは、朝鮮戦争に出征したことのある祖父だったという。アジア人に酷い差別意識を持つが曲がったことの嫌いなこの老人、まるで『グラン・トリノ』のイーストウッドみたいだ。
    翻訳を手がけたのはTV番組の取材でキーに出会った、NHKディレクターの井手真也。本職はだしに訳文がこなれていて素晴らしい。

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