まともな日本語を教えない勘違いだらけの国語教育

著者 :
  • 合同出版
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772610933

作品紹介・あらすじ

日本人ぐらい国語教育に時間とエネルギーを注いでいる国民はいない。しかも、その効果は最悪と言わざるを得ない。文科省がピラミッド構造で全国を支配し続ける限り、日本の国民は成長しないだろう。現状の国語教育に疑問を持ち、変えようという意志のある方は、本書で提案する国語教育の再建策を読んでいただきたい。

感想・レビュー・書評

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  • 著者は、戦争を題材として扱うことに否定的であったが、よい作品には何が題材であれ出会ってほしいと思う。
    ブッククラブの方法はなるほどと思った。

  • 国語教育について長く研究・実践を重ねてきた著者による、現行の国語教育の課題と改善、新しい授業実践モデルは非常に勉強になった。ただ、公教育の政治的中立の言及はあったものの、「原発や9条は関係ねーだろ(笑)」と思う時がしばしばあった(笑)

  • 前半は、国語教育、文部科学省、今の教員、とりわけ部活指導を学習指導より優先させる中学校、国語教科書、教科書会社、全国学力テスト、遅くまで非効率的にだらだら学校に残る教員などなど、児童生徒以外をすべてバサバサ切り捨てる痛快活劇に大爆笑してしまった。特に、教員が「仕事」にかまけて、本を読まない、すなわち学び成長しようとしない矛盾した存在であることをくり返し非難していること、そして、4時に帰るオーストラリアや海外の教員にこそ日本人教員がアシスタントとして学ぶべきだという指摘は、的を射てていると実感する。
    文部科学省にも勤めた当事者として、ここまで「行政、指導要領、教員、差別的な物語文、被害者意識を刷り込む戦争教材、国語教育の全てを一掃せよ!」と言い切れる人は少ないだろう。敬意を感じずにはいられない。

    その上で、では、実践としてどうあればいいのかに入ると、書いているように、教師がずっとしゃべり、児童や生徒がその話をずっときいている授業は「教師中心型」で❌、反対に教師は教えずに子どもに考え「させる」「子ども中心型」であるべきと言う。

    しかし、自分の視点からは、著者は教授学習過程において教師中心をとことん批判しているのだが、結局は、その批判対象と同じ土俵に立ったままだといわざろうえない。「スキャッフォルディング」や「主題は複数ある」というような構成主義的、または、社会的構成主義的なものいいをするのだが、0か1の「正しい読み」がなされなければ、何も始まらないようにも断言している。

    文章を読む時の「問い」の重要性を高らかに謳いながら、その問いは常に教員が子どもに与えるものとしてしか描かれない。これでは、プリントの代わりにどんな子どもでも導く質問であふれかえる、くもんのようだ。その大切な質問を、子どもが発するように支援していくことこそが、本当の読み手に育てる事になるのではないか。学び手になっていない教員を批判しながら、子どもと教員の間に、固定した役割という壁を打ち立てている。

    残念ながら、「児童中心主義」の看板が濡れないように頭の上で掲げながら、教師中心主義の川に反して留まり、しかし、対岸にはあがらない旅人のようだと思った。

    私自身、批判的に聞こえるかもしれないが、この本を読んで目覚めてほしい国語教員が身の回りにたくさんいる。

  • クリティカルリーディングとは?改めて考えさせられました。この本そのものも、読む私たちがクリティカルリーディングすればいいと思います。共感できるところ、そうでないところ。

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著者プロフィール

日本ブッククラブ協会理事長。1971年、早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、東京都立新宿高等学校国語科教諭。1986年、文化庁文化部国語課国語調査官に就任。文部省国立教育研究所教科教育研究部主任研究官、文部科学省国立教育政策研究所教育課程研究センター基礎研究部総括研究官等を経て、2012年、退官。同省在籍時に、OECDによる国際的な学力調査PISAの調査結果を分析、国際的に通用する国語力を育てる指導法を提案し、普及させた。同時に、国際基督教大学語学科非常勤講師、東京大学教育学部非常勤講師も務めた。さらに、アメリカで開発された読書による国語の指導法「ブッククラブ」を初めて現地調査し、改良して普及させた。退官後、NPO法人日本ブッククラブ協会を設立。

「2018年 『学力をグングン伸ばす 親の「質問力」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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