子どものこころの発達を知るシリーズ10 ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち: 子どもが社会から孤立しないために (子どものこころの発達を知るシリーズ 10)

著者 :
  • 合同出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772611534

作品紹介・あらすじ

■大人から子どもの世界に近づいてみる
■発達障害のある子どものゲーム、ネットとのつき合い方を知る
■機器ではなく、内容から子どもが何をしたいか考える
■ICTから遠ざかる支援よりも、利用してリテラシーを身につける
■「やめさせる」「取り上げる」はさらに反感を強める対応
■ネットやゲームの約束は子どもには守れない
■ゲームとお金の関係を理解する

感想・レビュー・書評

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  • 本の内容よりもまずは、我が家の状況から説明することをお許しいただきたい。
    現在8歳6歳4歳といて、順にADHD、ASD、未確定グレー。上2人は診断が付いていて児発にも通っている。第二子は支援級に通う。
    父親の私もADHDで、母親は同グレー。2人とも定期的に心療内科を受診中。つまりは、一家揃って当事者ど真ん中となっている。一応断っておくと、それなりに幸せ。たぶん普通の家庭と同じようには。ただ、毎日常に誰かが誰かに怒り散らしてはいるが。

    私も妻も元々はゲーム好き。ハンドルネームの通り、私は特にオールドゲームが趣味で、子どもが年中になった頃に我慢しきれずファミコンから始めさせてみた。それは自分の好き、を共有したいという気持ちもあったし、自分の人生をトレースさせたいという多分にエゴイスティックな発想からだったのだが、事件が始まったのはNintendoSwitchを買ってから。妻と妻の祖母の共同出資により、それは実現してしまった。

    Switchはタイマーとオートオフを備えており、さらにスマホアプリから管理、監視が容易にできる。1年生になって友だちとも話が合うし、良かったと思える点は多い。タイマーは設定時間になると強制シャットダウンができるため、親は楽だが、反面子どもの自主性が育ちにくい。たぶん、深々と降り積もるように紫根が残っていくんだと思う。著者の推奨していない、罰によるコントロール、という運用に限りなく近い。
    ただ、繰り返すが親は楽だ。

    そこに輪をかける事件が起きたのは、Fortniteという基本無料のサバイバルゲームをダウンロードしてしまってから。本書の中でも、発達障害児にとっては最も禁忌とされている刺激が強くて中毒性の高いゲームだ。そもそもゲーム耐性が養われていない子どもに、結果的に麻薬のような渇きを与えてしまったのに等しかった。これは失敗した。

    いまだにゲームを挟んで、親子の軋轢は続いている。
    お互い嫌な気持ちになる。次第に親はゲームをやる我が子を倦むようになるし、反対に子どもは目を盗んででもやろうとする。表面上の均衡を保っているのが、Switchのタイマー機能というのはもはや皮肉でしかない。

    子どもの自主性。

    その言葉に尽きる。著者の言うように、それを支えるのは信頼関係しかない。分かっている。当たり前だと思っているのに、あまりに日常に溶けてしまって、簡単に快楽や怒りの感情に取って代わられてしまう繊細な絆。

    残念ながらこの本に結論というものは用意されていない。ゲームやICT環境の方が遥かに変化が早いからだという。その通りだと思う。
    だからと言ってガッカリしたわけではない。根源的なところでは解決の道筋は一つ。その繊細な絆の糸を、切らさないようにしながら、子どもを愛し続けること。
    その通りだと思う。言うは易しだが。

    情報リテラシーなんて小学生に身につけさせられるような親は、ぶっちゃけ1000人に1人くらいなんじゃないかとか思う。最初から100点満点の状態でゲームを与えられる親など、いるわけない。お互いに伴走しながら変わっていかなくてはならない。そのためのデータが豊富にあるし、そのための愛情がたっぷり詰まっている。少なくともそう見えた。ものすごく親の味方で、子どもの味方である良著。
    とにかく良著。
    ただし、本は良くても実践するのは親だ。
    言うは易し、なのだ。

  • 自分がもっといろいろなことに
    興味をもたんといかんなあって思った。
    魅力的な大人になりたい。
    コロナ禍でもできる趣味、、

    ①ゲームのルールは守れない、が前提。
    だから、気持ちよく「おしまい」ができるようにする。
    ⭐︎出来なかったら罰を与えるのは逆効果。
    できたら〜にする。
    たとえば、時間までに終われたら、明日10分延長してゲームできるよ、のように。

    ②ICTを使った活動は、時間がかかるものがある。
    長いストーリーなど、根気の必要なものは時間がかかる。短すぎるのも考えもの。
    ⭐︎わかるなあ、これ。
    短キャいいってもんじゃないんだよねえ。
    根気よく作業を続けないと完成しないことも。だから、子どもの考えなしに、勝手に時間設定するとかは、よくない。考える時間を奪っているのかも。

    ③他に好きなことを作る。
    ⭐︎その通りだよねえ。楽しいことが他にないから、ゲームばっかりになっちゃうって、一理ある。親もらくだしね。
    身につまされまくりでした。

  • 説得力ありーの、即戦力になりーの
    買いーの

  • 吉川先生は自身も相当なゲーマーだけあって?その内容は非常に現実味がある。臨床家だけに読ませるにはもったいない内容で一般の人々にも広く読んでほしい書。

  • 493.937||Y89

  • 結局、子どもとの信頼関係を普段から築いておく。そのために時間も気力も要るけれど、そこは省かない努力が必要。ということなんだろうなと理解した。

    「ICTリテラシー教育と性教育は似ている」
    …確かに!親がただダメと拒絶したり取り上げたりするのではなく、気軽に相談してもらえる信頼関係を作るのが目標。そのためには子供の好きなゲームを話題に出したり、時には一緒に遊ぶくらい大人から歩み寄る努力が要る。

    アディクションの反対はコネクション。
    ゲーム・ネットへの依存はそれ自体が問題の根本ではない場合が多く、取り上げても無意味どころか信頼関係を傷つけ、暴力・家出など更なる問題に発展しかねない。
    他に楽しめる時間や人間関係・信頼関係を築いていけば結果的にゲームの時間が減るという考え方で接した方が良い。

    ゲーム・ネットの状況を把握するときには、時間や場所だけでなく、課金やネットで稼ぎがあるか、どんな人と関わっているかまで把握する。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00630808

    ■大人から子どもの世界に近づいてみる
    ■発達障害のある子どものゲーム、ネットとのつき合い方を知る
    ■機器ではなく、内容から子どもが何をしたいか考える
    ■ICTから遠ざかる支援よりも、利用してリテラシーを身につける
    ■「やめさせる」「取り上げる」はさらに反感を強める対応
    ■ネットやゲームの約束は子どもには守れない
    ■ゲームとお金の関係を理解する(出版社HPより)

  • なんとなく、ネット・ゲームのやりすぎはよくないと思っていたけれど、メリットもデメリットもあること、一人ひとりに合わせて付き合い方を考えていかなければならないこと、あまり深刻な問題でない場合も多いこと。つい、ひとまとめに否定しがちだったことを反省。自分だってネットを楽しんで、家庭内でのルールを無視してきた一人なのに。
    まだはっきりとした根拠のある研究結果も支援方法もないような分野で、手探りな部分もあるけれど、手詰まりな感じは解消された。

  • 個人的にはゲーム好きなので子どもにゲーム禁止は無理だと思ってる。でも、なんとなくやりすぎを心配しちゃう。
    この本は、そんな不安を解消してもらった。
    子どもとの約束を作ることで、一番大事なこと「子どもは約束を守れないもの」という言葉にハッとする。
    大人でも三日坊主って言うくらいだから、子どもにだってむずかしよね。
    子ども任せにしないことも大切。

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著者プロフィール

大阪大学大学院人間科学研究科教授

「2021年 『少子高齢社会の階層構造2 人生中期の階層構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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