デンマークという国を創った人びと: ”信頼”の国はどのようにして生まれたのか
- 合同出版 (2014年6月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
- / ISBN・EAN: 9784772612067
作品紹介・あらすじ
充実した社会保障制度、不況にも屈しない安定した国民経済。
「世界でもっとも幸せな国民」だと呼ばれるデンマークの人びと。
理想的な社会が成り立つその背景には、国民間における強い”信頼”がある。
今日のデンマークを創りあげた先人たちの業績をたどり、超福祉大国形成の奇跡を解き明かした注目の書。
感想・レビュー・書評
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デンマークの歴史をさらった160ページあまりの本です。
昔、コペンハーゲンにトランジットで1泊したコトはあったのですが、あまりの物価の高さに辟易しつつ、なんかビールだけは安かったなぁというしょうもないコトを覚えています。(あと、謎の名所クリスチャニアに行きそびれたのが残念です…)
なんとなく図書館で見かけて借りてみたのですが、歴史の教科書を思い出すような事実の羅列が続いていくので正直読んでいてしんどかった部分はあります。
そんな中での現実逃避?的な読み方として、大量の「クリスチャンさん」が登場すんなというどうでもいい事実にフォーカスしてみたいと思います(笑
クリスチャン7世がクーデターで倒れた後、国王を補佐したのはクリスチャン・レエベントロウ。彼が農政改革を進め、クリスチャン・コルビヨーンセンの協力を得て農政改革法を起草しています。
あと、童話作家アンデルセン、ビールのカールスバーグ創業者、日本への原爆投下を進言した科学者のミドルネームもクリスチャン。
王様の名前を…というのからのスタートだと思うんですが、随分流行したなぁと。
本著のサブタイトルである「”信頼”の国はどのようにして生まれたのか」なのですが、あんまりその"信頼"の国への道筋は正直見えなかったというのが読んだ上での感想です。
コペンハーゲン大学政治学部の必須科目に、哲学が週2回ある…とか、1985年に原子力発電に依存しない再生可能エネルギー政策を選択する、という所は多少のストーリー感がありましたが、あんまりその国づくり?には繋がらないと言うか…。
面白いと思ったのは、ナチス侵攻を受けて当時アメリカに全権公使だったヘンリック・カウフマンが取った行動。
本国(まぁ乗っ取られてますが)の認可を得ずにグリーンランドへの米軍基地建設を提案して、それが実現してしまう、というのはなかなか政治家としての胆力を感じます。
さて、「”信頼”の国」というワードはありつつ、デンマークって結構幸せに暮らせる国、というイメージが日本では定着しているように思います。
何となく本著を読みながら考えたコトとしては(本著の内容かと言うとそうではない部分も多いですが…)、税金の使い道が、弱者の引き上げに多く使われているから国民の総幸福的なモノが上がっているのではないかと。
デンマークはジニ係数が比較的低い国家の1つで、↓によると2018年時点のデータで0.26。日本は0.33、アメリカは0.40。数字の並びだけ見るとデンマークと日本は大差ないと思うかもしれませんが、グラフで見ると間にかなりの国が挟まってますね。。
https://data.oecd.org/inequality/income-inequality.htm
結局本著の内容とあまり関係のない話になってしまったような…。まぁあまりオススメはできないかなと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示