- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784772612517
感想・レビュー・書評
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1994年以来の右翼系雑誌の新聞広告を収録して、批評している。
進歩はないが、それほどひどいブレもないみたい。
一日千秋じゃなくって、千年一日
よく集めたと評価するべき。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近はたまに「週刊文春」か「文藝春秋」を買う程度。でも、新聞に
掲載されている雑誌広告は必ず目を通す。
女性週刊誌の芸能ゴシップや実話週刊誌のヤクザネタの見出しを
読んで、妄想を膨らませるのは楽しい。
そして、最大の楽しみは本書が取り上げている右派論壇誌の広告
である。「広告は煽ってナンボ」。広告業界の片隅に身を置いたこと
があるので、それは十分に分かっている。
それにして、煽り過ぎなのである。日本はとことん大変なようだ。包囲
されたり、北朝鮮の核兵器に狙われたり、中国・韓国からのみならず、
アメリカからも歴史認識を責められたり。
外国からのバッシングだけじゃない。国内には朝日新聞や日教組と
いう敵が存在し、歴史を捻じ曲げて自虐史観を広めているのだ。
だから、そんな「敵」は徹底的に叩かなくてはいけない。つけ上がらせ
たら、取り返しのつかいないことになるのだっ!
本書は1994年から2014年にかけて、全国紙に掲載された『諸君』
『正論』『SAPIO』の右派論壇誌3誌の広告を分析している。
3誌それぞれ、月に1回の割合で広告に目を通すのはいいのだけれ
ど、本書のようにまとめて掲載されるとお腹いっぱいになるのである。
常に何かと戦ってるんだな、右派は。それは戦時のプロパガンダと
大差ないのだよね。それに簡単に焚きつけられちゃう人たちもいる。
疲れないのかな。敵と味方しかいない世界って。きっと曖昧という
は存在しないんだろうな。
同じ広告が別ページに登場するのは各章のテーマが違うか仕方
ないのかな。そこがちょっと残念。ただし、広告を分析する本文は
皮肉も効いていて時折にんまりとしてしまった。
存在しない危機を煽るのは日本国首相の常とう手段だけど、右派
論壇誌も似たようなものだな。
著者も書いている「被害者意識をこじらせた人」って表現がツボ
だったわ。