デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる

  • インターシフト (合同出版)
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772695671

作品紹介・あらすじ

◎かけがえのない「読書脳」が失われる前に、
 新たな「バイリテラシー脳」をいかに育てるかーー
「読む脳」科学の世界的リーダーによる画期的な提唱!◎

・文字を読むとき、脳はどれほど複雑な仕事をしているか
・紙の本が、創造力や共感力、記憶力、分析力を高めるわけ
・脳がデジタル・モードになると、読み方はどう変わる?
・熟達した「深い読み」ができる脳のしくみとは?
・脳の発達段階に応じた「読み書き力」「デジタル力」の育て方
・ゆっくり急ぐ「喜びの時間」とは?

デジタルの波及によって人類が大きな転換点を迎えているいま、
「読み書き力」「デジタル力」ともに強いバイリテラシー脳こそ、
次代を生きる新たなベースとなる。

★ 立花隆・養老孟司・松岡正剛・竹内薫・山形浩生・池谷裕二・瀬名秀明・佐倉統・山本貴光 氏ら絶賛の
名著『プルーストとイカ: 読書は脳をどのように変えるのか?』、待望の続編!

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::目次::
第一の手紙・・・デジタル文化は「読む脳」をどう変える?
第二の手紙・・・文字を読む脳の驚くべき光景
第三の手紙・・・「深い読み」は、絶滅寸前?
第四の手紙・・・これまでの読み手はどうなるか
第五の手紙・・・デジタル時代の子育て
第六の手紙・・・紙とデジタルをどう両立させるか
第七の手紙・・・読み方を教える
第八の手紙・・・バイリテラシーの脳を育てる
第九の手紙・・・読み手よ、わが家に帰りましょう

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::著者:: メアリアン・ウルフ
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の教育情報学研究科のディスレクシア(読字障害)・多様な学習者・社会的公正センター所長。
専門は認知神経科学、発達心理学、ディスレクシア研究。その優れた業績により、多数の賞を受賞。
著作は『プルーストとイカ: 読書は脳をどのように変えるのか?』など

::訳者:: 大田直子
翻訳家。訳書は、エリエザー・スタンバーグ『〈わたし〉は脳に操られているのか』、デイヴィッド・イーグルマン『あなたの脳のはなし』、オリヴァー・サックス『意識の川をゆく』など、多数。

感想・レビュー・書評

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  • サブタイトルに「『深い読み』ができるバイリテラシー脳を育てる」とある。
    一方的なアンチデジタルではなく、どっちも上手いこと取り入れるために、そもそも「深い読み」ってどういうものか、画面での読書はどんな点で弊害になるのか知りましょうよ、という内容。

    私たちはデジタルデバイスを通じて、実は以前より多くの文字数には触れているらしい。

    ただし、めまぐるしくタスクを切り替え、刺激を取り入れ続けた結果、「恒常的注意力分散」の状態にあるのだという。

    「本媒体で読んだ学生のほうが画面で読んだ仲間より、筋を時系列順に正しく再現できることがわかりました。言い換えれば、フィクションで見落とされがちな細部の順序づけが、デジタル画面を読む学生にはわからなくなるようだったのです」

    「同じ物語を印刷か画面のどちらで読むかによって、読解にかなりの差があることを見つけたのです。ほとんどの子どもはデジタルで読むほうが好きだと言ったにもかかわらず、読んだものの理解は印刷で読んだほうがうまくできました」

    「まず私は意識して文章をゆっくり読もうとしましたが、無駄でした。毎日、ギガバイト単位の資料を読むうちにスピードに慣れてしまったせいで、ヘッセが伝えていることを理解できるほど減速することができません」

    どれも面白い指摘だと思う。

    現代は「速さ」が一つの指標になっている。
    一つのボタンで、タイムラグなく情報にアクセス出来ることは、一方で覚えておく必要や、自分の中に蓄積したものを改めて考える間がない。

    そして、ここでの「深い読み」とは、自分の中に溜めている知識と関連付けながら、静かに思考とテキストを往還して生み出していくことなのだろう。

    この静けさとは、物理的に集中出来る環境でもあるし、思考の冷静さ、時間的余裕も同時に指していると思う。

    私は文書を書くのも打ち込むのもそれぞれに好きだが、出来上がった文書を確認する際には印刷物にすることが多い。
    また、Kindleは絶版になった本を読める所に魅力を感じるのだけど、そうしたのっぴきならない事情以外、〝小説〟を電子書籍で読もうと思わない。

    自分ではビジネス書の類はある種、情報処理の対象だから、電子書籍として読むことに違和感がないのかと思っていたのだけど。

    この本にあるように、集中の度合いや、物語世界への共感、入り込み方の違い、時間のかけ方、俯瞰図といった点でも敬遠しているのかもしれない。
    また、この本では脳との関連を書いているけれど、身体性としてはどうなんだろうか。

    「紙の本がいい!」を単なるノスタルジックな意見として捉えるのではなく、こういう角度から知ることが出来たのは、とても面白かった!

  • 新井紀子さんの”読解力の危機”というのは、けっこうこの本で触れられている「デジタル読み」(デジタル媒体で習慣化されてしまう斜め読み・飛ばし読み・キーワード拾い読みかつ行ったり来たり読みによる因果関係把握の弱さ・気を散らされることの多さによる注意不足、など)によるものが多いのでは、という気がした。
    原文によるものか翻訳に由来するものかわからないけど、ちょっと読みにくかった。

  • スマホを持つようになって、私をふくめて多くの人がたくさんのデジタル文字を読むようなった。読むという行為はスマホでも本でも同じようだが、実際には違いがある。本はある程度の長さとまとまりをもっているが、スマホで読むものは新聞記事やコラムのように短いものが多く、その最たるものがツイッターの140文字だ。
    次から次へと画面を追うデジタルでの読み方は、いかに速く読めるかが重要で、書き手もそのことを意識するため、さらに短いセンテンスで書くようになっていく。読み手がそれに慣れると、長い文章や込み入った構文や難解な言葉(語彙)を読むことができなくなる。こうした変化は、私たちの思考力や忍耐などに大きな影響を及ぼす。そんな危機感を抱く作者が、こうしたデジタルと従来の本との付き合い方を読者への手紙という形式で書いている。
    紙媒体にしろデジタル画面にしろ、大切なことは内容を吟味する力をどのようにつけるかということ。情報や知識をえるためであれ、楽しみのためであれ、良い読み手であるためには書かれた内容について内省的思考が大切である。ついつい読了することが目的のようになってしまいがちな私にとって、もう一度読書について考える機会になった。
    「プルーストとイカ」と同様にとてもためになる本。

  • 「デジタル本」と「紙の本」を読む際、記憶力・分析力・創造力・共感力に関して、双方にどれくらいの差が生まれるかの研究結果を元に、「読書脳」をいかに育てるかを論じた一冊(全編手紙形式で語られる)。研究の結果「紙の本>>>デジタル本」であり、デジタルの場合移ろいやすい傾向が生まれ、注意散漫になり読書に集中できず、結果本の理解力にも差がでてくるそうだ。といいつつも現代~未来になるほどデジタル化は避けられず、脳の発達に応じて幼少時代からのデジタル本(オーディオブックも含む)と紙の本とのうまい共存方法も模索する。

  • ふむ

  • [目次]

    ■第一の手紙・・・デジタル文化は「読む脳」をどう変える?

    ■第二の手紙・・・文字を読む脳の驚くべき光景
    脳の可塑性・専門化・音速の自動性
    三つの円形舞台サーカス:巨大なテントの下で/注意のスポットライト/視覚のリング/言語のリング/認知リング・感情リング

    ■第三の手紙・・・「深い読み」は、絶滅寸前?
    文中には何がある?:注意の質
    深い読みの喚起プロセス:心象の力
    共感--他人の視点になる
    背景知識
    深い読みの分析プロセス:類推と推論/批判的分析

    ■第四の手紙・・・これまでの読み手はどうなるか
    読みのすべてをつなぐデジタル・チェーン:どれだけ読むか/どう読むか/何を読むか/どう書かれるか
    自分を実験台にして:最後の環--なぜ読むのか

    ■第五の手紙・・・デジタル時代の子育て
    注意散漫な子どもたち:バッタの心/記憶への影響
    外部の知識源への依存
    読み方は考え方を変え、考え方は読み方を変える

    ■第六の手紙・・・紙とデジタルをどう両立させるか
    ひざのすき間で--最初の二年間:読んでいるとき、からだはどう反応するか
    二歳から五歳まで--言語と思考がともに飛び立つとき
    ガマノコシカケと物語の秘密の言葉
    画面モードに設定されてしまう前に
    つなぐべきか、つながざるべきか--問題は、どれを、いつ
    将来の準備
    急ぎすぎないで

    ■第七の手紙・・・読み方を教える
    どこから始めるか:子どもたちに何が必要かを見つける/教師が知っておくべきこと/あらゆる学年で、あらゆる分野で

    ■第八の手紙・・・バイリテラシーの脳を育てる
    子どもの発達へ向けた提案:印刷媒体のたいせつな役割/デジタルの知恵
    三つの大問題:
    第一のハードル--媒体がおよぼす影響の調査
    第二のハードル--専門家の研修・育成
    第三のハードル--利用機会と関与の格差
    注意、記憶、接続、推論、分析、そして跳べ!

    ■第九の手紙・・・読み手よ、わが家に帰りましょう
    観想・熟考の生活:喜びの時間/社会的利益のための時間/知恵の時間
    読書と良い読み手の未来

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著者プロフィール

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) 教育・情報学大学院の「ディスレクシア・多様な学習者・社会的公正センター」所長。
専門は認知神経科学、発達心理学、ディスレクシア(読字障害)研究。その優れた業績により、多数の賞を受賞。
著作は『プルーストとイカ: 読書は脳をどのように変えるのか?』など。

「2020年 『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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