高学歴貧困女子が読み解くピケティ: サクラムック (SAKURA・MOOK 2)

  • 笠倉出版社
3.70
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (111ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773056099

感想・レビュー・書評

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  • 2017/10/09 初観測

  • 高学歴貧困女子が読み解くピケティ。田嶋智太郎先生の著書。内容的には難解なはずのピケティ博士の理論がとてもわかりやすく解説されている良書。格差社会が生まれる背景が理解できました。日本においても格差社会が深刻化しているけれど、そのせいか才能があって努力して高学歴を得た人たちですら報われていないのがこの国の現状なのかも。高学歴貧困女子なんて言葉が違和感なく普通に使われていること自体が現在の日本社会が歪んでいることの証明のように感じました。

  • 読了日:2018/05/05

  • 内容は良い本ですが、貧困女子のカットが各3パターン×2人=6パターンしかなくてウケました。反転させて12パターンに増やしたところは涙なしには読めない。

  • 初心者向けにわかりやすく書いてある。

  •  世界十数カ国で翻訳され、累計で100万部を超すベストセラーとなった『21世紀の資本』(トマ・ピケティ著、みすず書房)を、日本の現状に即してわかりやすく解説した一冊。同書がこれほどまでに広く読まれたのは、我々がこれまで何となく感じていたことを「r>g」という簡潔な不等式で表し、それを、膨大なデータという根拠を示して、感覚的にではなく科学的に論証して見せたからだろう。
     では、「r>g」とは何か。これはつまり、「コツコツ働いて年収を増やしていくよりも、たくさんのお金を持って利子や配当で増やした方が、はるかにお金が貯まる」ということだ。同書でピケティは、このままでは資本の偏在(格差)は広がる一方であり、「資本主義はヤバイ」と断じる。それでは、格差をなくすためにはどうしたらいいのか。彼はその1つの答えとして、税の重要性に言及する。
     本書の後半では、これを受けて、格差問題を考えるための基礎知識を紹介。我々がみずからの税金についてもっと関心を持つことが、格差問題をなくす一歩になると説く。ピケティの全体像を紹介・参照しつつ、広く経済を考えるための要素が詰まった、本書は良質な参考書だ。

  • 分かりやすかったー。コレ、良い。

    ピケティの『21世紀の資本』を、日本の現実の問題に即してイラスト入りで説明してるのでとっても分かりやすい。
    ピケティ人気に便乗した本の中では一番分かりやすかった。
    しかも、図書館で予約して、待たずに借りれた。

    「経済成長は万人に利益をもたらす」ワケではない。
    ピケティは、クズネッツの理論をひっくり返した。
    p.12

    経済成長の最初の頃は所得格差は広がるが、工業化と経済発展により格差はなくなっていくという「クズネッツ曲線」。
    ピケティの結論は、その逆になる。
    1980年以降は、所得トップ10%のシェアが急上昇し、やがて50%に達する。
    p.13

    21世紀末には、全世界GDPの約7年分の資本が蓄積される。また、アジアの占める割合が拡大する。
    p.33

    第1次世界大戦前までは、大企業や富裕層から累進的に税金をとって、社会保障や福祉、公共事業の形で経済的弱者に富を再分配する仕組みがなかった。したがって、大きな格差があっても仕方なかったとしても……
    それから100年以上も経ったのに、なぜ現在も、当時と同じくらいの格差があるの?
    20世紀前半中期いは格差が縮まったのに、なぜ20世紀後半からまた格差が広がってきたの?
    というのが、ピケティの問題意識だ。
    p.35

    トップ10%の上流階級が、全所得の35~50%を占める現代。
    p.39

    異常なまでの高額報酬を得る大企業重役の出現が、所得格差拡大の要因のひとつ。
    p.41

    サッチャリズム、レーガノミクスの登場を機に、所得税の最高税率引き下げが始まった。
    そこから、異常なまでの高収入を得る大企業重役たちが出現するようになった。
    p.45

    タックス・ヘイブンが大企業や富裕層を囲い込んでいる。
    モナコやカリブ海の小島、ケイマン諸島、あるいは、アメリカのある州や、ロンドンの金融特区。そこに金持ちや優良企業が資産を動かしてしまう。

    世界のGDPの10%がタックス・ヘイブンに流れているという説もある。
    p.47

    相続税は、国と時代で、まちまち。

    国際的な累進資本税が実現困難なことはピケティも言及しているが、それでも、租税回避を食い止める国際的な協調は必要。
    p.51

    世界の超大金持ちは、1987年~2015年の間で10倍以上に増加してる。
    p.53

    日本でも1990年代末から、ジニ係数が拡大しているという指摘があり、経済学者の間でも論争がおきた。
    2006年には、内閣府も同じ見解を発表した。

    今、日本では7~8割の人が格差を感じている。

    失業率とインフレーションの関係は、フィリップス曲線で示される。
    失業率が下がれば、インフレーション率が高くなる。
    失業率が上がれば、インフレーション率は低くなる。

    同様に
    経済効率を重視してインセンティヴをあげれば、公正性は低くなり
    社会の公正性を重視すれば、インセンティヴが働かず、経済効率が下がる。
    経済効率重視か、社会の公正性を重視するかのトレードオフが問題になる。
    p.67

    2011年のウォールストリート占領のデモで、格差是正を訴える運動が全米に広がった。
    これはネオリベラリズム(新自由主義)への異議申し立ての運動である。
    リバタリアンは自由競争を重視し、リベラルは公正性を重視する。
    p.69

    サラリーマンは源泉徴収で税金は90%の補足率
    自営業者は、必要経費を産出して収入-経費=所得して申告するため60%の補足率。
    農林水産業の従事者は40%の補足率。

    これが2015年10月から個人番号が通知され、マイナンバー制度が開始すれば、取得の課税への不公平が是正される????
    p.77

    相続税をこの10年で廃止した国々
    ・香港
    ・シンガポール
    ・オーストラリア
    ・スウェーデン
    富裕層の海外逃避を防ぐため。
    p.81

    日本のジニ係数は1980年代から徐々に拡大した。
    小泉政権の構造改革によって新自由主義への傾斜を高めたことは、格差を拡大させた可能性がある。
    日本も1990年代後半から格差社会になった。
    p.89

    日本の相対的貧困率は約15%で、OECD加盟国30カ国中、2000年代半ばの時点で、4位。
    日本は貧困大国だ。
    p.91

    21世紀、日本経済は、ジニ係数も悪化し、相対的貧困率も悪化を続けている。
    一億総中流社会は、格差社会へと変貌を遂げた。
    その一番の原因は、非正規雇用労働者の増大により、正規雇用労働者との賃金格差が広がったこと。
    p.93

    東大生の親の所得は、日本国内の大学では、最も高い水準である。昔はそうではなかった。ここ20年くらいで、そうなった。
    医者の親は40%が医者。

    日本の教育費支出は、先進国の中では低い。
    結果として、階層の固定化が進んでいる。
    p.101

  • これでいいのかしら。概要は理解したような気分になれました。もう一度違う本でも読んでみると全概要がわかったのかわかるかしら。

    去年くらいからはやっているようで時々テレビで見ていました。実感を論理で説明してくれる経済学者なのですね。

  • 高学歴貧困女子のキャラ二人は別にいらなかったと思うが、客寄せパンダなのだろう。

    ピケティ解説書としてはわかりやすく、反論についても紹介している。とくに愁眉を開かれるのは、税知識について。富裕層の資産に資本税をかけるのは構わないが、庶民も自分の所得からの税知識ぐらい持ちなさいよ、という教えに共感。

    高額所得者や資産持ちでもかなりの税金を取られていて、むしろ、わざと住民税非課税や国保年金逃れをしている、低額所得者への不公平感があるのはたしか。ただの左翼的な見解でないのがいい。

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