月一滴 (クロスノベルス)

  • 笠倉出版社
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本棚登録 : 230
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773085945

作品紹介・あらすじ

-誰かの一番になりたい。ドアマンの橋本は、ゲイでいつも男運が悪かった。二股、暴力…普通の恋がしたいだけなのに、付きあうのはみな酷い男。最近も傲慢で橋本を馬鹿にしてばかりの飯島という男に言い寄られていた。ある日、橋本は飯島と口論になり殴られてしまう。その時偶然居合わせたバーの常連の嵯上に助けられる。嵯上の柔らかな優しさに癒され、嵯上もまた橋本の純粋さに惹かれ、二人は少しずつ距離を縮めていくが…。

感想・レビュー・書評

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  • 「上海金魚」と「透過性恋愛装置」の続編。
    オテル・ド・エンピールのドアマンでゲイの橋本が本編の主人公。制服が似合う美形で性格もいいのに、恋愛にはまったく恵まれていません。飯島という最低男に纏わりつかれ、あげく大怪我まで負わされてしまいます。窮地の橋本を助けたのは、バーの常連の嵯上。10歳年上で聞き上手なオトナの男です。
    互いにゲイで好意は持っているのに、深い関係になることを避けている二人。嵯上は橋本のことを噂ほど軽くないし、いい子だと思っているのですが、飯島と付き合っていて自分に気がないと勘違いしています。橋本は橋本で、軽い男と思われるのが嫌だし、ちゃんとした恋がしたいので、嵯上とも誰とも距離を置いた付き合いに徹してます。
    そんなある日、淡い恋心を寄せる上司の牧田に恋人ができたという噂を耳にして、橋本は多大なショックを受けてしまいます。

    もちろん、牧田の恋人といえばあの男、北嶋です。
    前作読んでないと何コイツ!?って思っちゃうぶっ飛びキャラ。今回もいろいろやらかしてくれてます。詳しくは「透過性恋愛装置」参照ですね。牧田と晴れて恋人同士になって、少しはトーンダウンして大人しい子羊ちゃんになってるかと思ったら、人間の性根なんてそんなに簡単に変わるもんじゃないのね。相変わらずというか、ますます困ったちゃんぶりが際立ってきましたよ。いきなり、橋本をアンタ呼ばわりするところにも失速することのない不遜さが、むしろ彼らしくて安心させられたりもしたのでした。

    橋本と嵯上は、過去に恋人との関係で似たような苦い経験があって、そのことがより二人の気持ちを引きつけ合っていきます。素直に相手を受け入れ寄り添っていくというのは、簡単に見えてなかなか上手くいかないもの。手探りでささやかな幸せを見つけていく二人に暖かい気持ちになります。

    でも、何といっても今回の目玉は、主役を食ってしまうほどにインパクト大だった「北嶋の近況報告」でしょう。むしろ、彼の健在振りを描くための本作であったと言っても過言ではありません。そんな彼が牧田の一言でカワイクなっちゃうところなんか、何度読んでもおかしくてたまらなくなります。鼻持ちならないんだけど、いいところもあって何だか憎めない最強キャラ。
    そんな困ったちゃんの北嶋が、牧田にお仕置きHされてしまう「星の滴」は、独特なエロが素晴らしいSSでした。ドSな牧田とドMな北嶋のHに、淫らさとそこはかとない品性の両方を感じることができるのです。

    それから忘れていけないのが登。辛らつで鋭い視点を持つ登が、いい立ち回りで持ち味を発揮しています。今回もキツい言葉の裏側に気遣いを感じられて、ますます好きになりました。

    久々に北嶋困ったちゃん王子を堪能できて、大満足。シリーズ通して、イラストがちょっと苦手な絵柄なのですが…

  • ホテルドアマンが憧れる上司が透過性恋愛装置の、美丈夫牧田だっていう仕掛けにニヤニヤ。牧田のことが好きでたまらないやきもちの北嶋が嗅ぎつけて出張りけん制したり、呼び出したり相変わらずの衝動キャラ。
    メインカップルより、牧田と北嶋の続きを楽しく読ませてもらった。

  • 前作『透過性恋愛装置』の牧田の勤める
    ホテルのドアマンと北嶋に若干絡みのあるデザイナーの話。
    牧田×北嶋は結構出てきて、
    ちらっと『上海金魚』の滝乃×佑希も出てきます。

    牧田に密かな片思いをしていた橋本。
    真面目で仕事熱心でとてもいい人なんですが、
    変な男に絡まれていてもちゃんと嫌だと言えず
    優柔不断でイライラするところもあります。

    でも、これは『上海金魚』の佑季にもあった部分で、
    パートナーが見つけにくいゲイの悲哀でもあるな、と思いました。
    幸せになった佑季は今作では言うべきところは言えるようになっていて、良かったなぁと思います。

    事なかれ主義で人と深い付き合いをしてこなかった
    嵯上が橋本のもめ事に出くわして、
    面倒に感じながらも橋本をほっとけなくなっていきます。
    途中まで嵯上が結構冷たいので橋本が可哀想です。

    …なので、滝乃といるところを嫉妬して
    割り込んできたところでおおっとなりました。
    ここから急に恋愛モードになるので
    若干の唐突感があったのですが、多分嵯上には
    きっかけが必要だっただけで、
    最初から橋本が気になってたんだよな、と思います。

    酷い抱かれ方しかして来なかった橋本が
    嵯上に優しく抱かれてよかったな~と思う反面
    思ったよりにエロいな、なんて思ってしまったw
    結構快楽に素直なタイプだったな…。

    ああ、私が苦手とする『透過性恋愛装置』の北嶋は
    相変わらず嫌な男でしたが、
    みんながみんなそろって悪口言ってたから、
    それに相槌うって楽しく読めましたw

    でも人に無礼を働いた北嶋の所業を
    単にセックスのスパイスとして使った
    牧田さんには好感を持てません。何がお仕置きだ!

  • 良かったです。受がひどい目にあう話は苦手なんですが、トラウマには感じない良い意味で辛さを流してしまう受だったので、嫌な気持ちにならず読み進めることができました。だからこそ、手の届かない憧れの人に失恋したときだけは流せずに自棄になってしまう受が可哀想で。でもそんな消化しにくい悲しみがあったからこそ、自分にとってのただひとりの人に巡り合えたのかな。現実の容赦のなさとお伽話の甘さが混在した物語。そしてそれを彩るのが前作、前々作のカプたち。カメオ出演どころじゃない登場に、この本を最初に読んじゃった人は随分損したのではないかと。前作・前々作を知ってるファンには嬉しい誤算です。読んでいて良かった。

  • えーと、正直かわいさんの本の評価がこんなに低くなるとは・・・。と自分でも思うんだけど、なんかなにこれー?って感じがしてしまいました。
    なんかお互いいつ好きになった???って感じでした。だって橋本は牧田さんらぶだったはずだし、嵯上さんも別にそんなんもういいです。って感じだったじゃん!!みたいな。いや、流れとしてそうなるのはわかるエピソードはあると思うんだけど、そこらへんの心理描写がスッポ抜けてたような印象がなんかあって・・・。
    ストーリーはホテルのドアマン橋本がゲイバーでなんか彼氏面してくる男とトラブルになってるところを嵯上さんが助けてくれて、でも別にお互い意識とかしてなくて・・・でも最後はくっつくから・・・んー?です。
    北嶋くんがちょこちょこ出てきては嫉妬丸出しでかわいいですけど。それ以外は橋本は自己評価低い素朴な幸せを求める子なんですが、なんであんなトラブってもあのバーに行くのさ。とかなんか思ってしまいます。

  • 全体的に落ち着いた雰囲気。主人公2人が穏やかなのでゆったり静かに読めた。
    嵯上さんがいつの間にか恋愛モードになっていたので戸惑ったけど、橋本くんと末永く幸せにやってほしい。
    北嶋は憎たらしいけど憎み切れないキャラで相変わらず。
    牧田さんは海のように広い心の持ち主で毎回感心しちゃうw

  • 静かで優しい二人のしっとりとしたストーリーだったわけなんですが、いかんせんアレがキョーレツすぎんのよ、全てにおいてあのカップルが!!主役差し置いて光りまくってましたがなwwww 
    月カップルは本当に月のような二人なんだな・・・。でもふんわり幸せなので、それでよし。だって…あんなきっついカップル2つもあったらBL世界が崩壊するってば!wwww

  • ★3.0。表題作カプにはイマイチ萌えず。誤解を解こうとしない受にもちょっとイライラ…。淡々と時間だけ過ぎて、いつ二人の恋愛スイッチ入るんだろ?と思ってたら、恋愛感情を自覚する過程が飛ばされて、最後にさらっとくっついたという印象。結局終盤まで恋愛にすら発展してないような、曖昧で薄ぼんやりした感じでした。とにかく北嶋、北嶋、北嶋(笑)あんなに愛らしいキャラだっただろうか?北嶋が面白かったです。牧田のSっぷりが素敵。

  • シリーズものと知らないまま読んじゃった。かわい先生は本当に丁寧な文書を書かれるなぁ…。決して派手ではなく、淡々と進んでいくお話が好き。

  • 実は、かわいさんのクロスノベルシリーズの「透過性恋愛装置」の方、積読本状態でまだ読んでないんです。先にこっちを読んじゃった!!うひゃひゃっ。

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