- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784773086508
作品紹介・あらすじ
「自転車、売ってますか?」「-ありません」世間知らずの御曹司・英が一念発起して始めたアルバイトは、憧れのコンビニ。慣れない仕事に四苦八苦する英に、店長の志賀は厳しくも呆れず指導してくれた。その上、毎日コンビニ弁当の英を心配し手料理をふるまってくれた。店長のようになりたい。と尊敬する英だが、ある日、兄弟喧嘩の勢いで志賀にキスをしてしまったことから、彼への気持ちが「恋」だと気づく。しかし、あれほど親身になってくれた志賀が、自分を避けるようになってしまい!?世間知らずなおぼっちゃまの初恋模様。
感想・レビュー・書評
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浅見センセといえば、王道シリアス路線がぱっと頭に思い浮かぶのですが、これはほのぼのラブコメディ。楽しかったです。
ものすごく浮世離れした箱入りお坊ちゃんの英は、ごく普通の生活を送りたいと切望して、一人暮らしとアルバイトをはじめます。
選んだのはちっちゃなアパートとコンビニの仕事。慣れないことが連続のコンビニで、根気よく英に一から仕事を教えてくれたのは店長の志賀。
とにかく箱入り息子で深窓の令息だった英の無知っぷりがかわいいんです。執事までいて、家には専属シェフがいるような暮らしぶりだったので、当然家事能力はゼロ!ふつうだったら、何の疑問も抱かずどっぷり楽チンな生活に浸ってしまうところなのに、英はそこから自立しようとする頑張り屋さんです。お坊ちゃまにありがちな、我がままっぷりは微塵もなし。
一生懸命仕事を覚えようとする姿に、志賀も読者も好感を覚えます。
英は、特別扱いせずに接してくれ、あれこれ教えてくれ、面倒を見てくれる志賀にどんどん惹かれていきます。
志賀に料理の手ほどきを受け、ごちそうになったお礼に、外国流にハグして家族とするように「愛しています」と言って、引かれてしまうなど、とんちんかんなことをやらかしてしまう英。
もっとヘンなのは、英の兄弟です。二人とも英に対して言動も行動もブラコン丸出しで、もしもセンセのシリアス作品に登場していたなら絶対危ないキャラとなっていたはず!
お兄ちゃんも弟も、セレブでカッコよさそうなのにやっぱり常識とはズレていて、残念なキャラなんですよね~
お騒がせなお兄ちゃんと弟が、ストーリーを引っかきまわしてくれて、話が多いに盛り上がっていますw
彼らの登場で、英の素直でかわいいところがいっそう引き立っていました。
何となくパッとしなかった上に、歯切れの悪い態度を見せていた店長の志賀。寸止めとは一体…??
男同士ということで、英から好意を寄せられても尻込みしていたのかなと誤解してしまいました。
そのあたりは、志賀視点の「アツアツ出来上がりました。」で、詳しく描かれていてすごく笑わせてもらいました。いかにも、真面目で不器用で、でもヤリタイことはヤリタイというかんじで、ふつうなところに安心しました。
天然お坊ちゃん視点でずっと話が進められていたので、志賀視点というのは公平を期するためにも見逃すことができない、かなりの重要ポイントですww