ひと箱のマッチ A Box of Matches

  • 近代文藝社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773378672

感想・レビュー・書評

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  • 33本あるマッチを1本ずつすって、1本につき1話の短い話が詰め込まれている。
    字数も少ないのでとても読みやすい話ですが、哲学的な話なのですぐには理解できませんでした。
    ただ、話の最初は必ず「グッドモーニング」で始まるので切り替えがしやすかったです。

  • アメリカのとある町に住む中年男が、日も明けきらない早朝に起きだし、さまざまなことに思いを馳せる物語。
    ちょっとミステリアスな装丁に魅かれ、読み始めました。

    各章は、「グッドモーニング。朝の4時〇〇分」で始まります。
    あえて電灯をつけず、暗闇のなか手探りで暖炉に火を入れ、苦労しながらコーヒーを淹れる。
    そして、心に去来する出来事や思いをゆっくり玩味し、振り返る。

    ただそれだけ。
    「何なんだ、これは?」というのが読み始めた時の感想でした。

    重大な事件が起こるわけでもなく、淡々と身辺が語られ終わる。そしてまた「グッドモーニング。朝の4時△△分」で次の章が始まる。
    この不思議な繰り返しがだんだんリズムになってきます。章が進むにつれ男の素顔が浮かび上がってきます。
    妻と2人の子どもがいる。猫とアヒルを飼っている。医学書の校正の仕事。夢から戻ってくる方法。庭木の落ち葉、暖炉にくべる丸太割り…

    誰に邪魔されることなく、わずかな光や香りに感覚を研ぎ澄まし、ゆったり流れる時間に身を置く。
    ここには間違いなく心のぜいたくがあります。

    と、ここまで書いて、似たような感覚を思い出しました。

    『孤独のグルメ』です。
    輸入雑貨商の井之頭五郎(こちらも絵に描いたような中年男)がふらり入った店で食事し、独白する。
    ただそれだけ。
    おいしい料理に出あえたとき、五郎は心の中でつぶやきます。「最高の贅沢じゃないか」

    主人公が自分の人生を省みる場面。
    ▼数か月まえ、ワシントンからボストンまで寝台列車にのったとき、朝目覚めてカーテンを開けて窓の外を見ると、ニューヨークシティの駅に到着していた。そこではっと気づいたのだ。私は非常に重要な商業中心地を、道一本見ることなく通り過ぎているのだ、そして私の人生にも同じようなことが起こっているのだ、と。

    人生の豊かさは意外と身近にあるものなんだ。
    主人公と同じ世代の身にとって、少し心が軽くなる一冊でした。

  • 原点回帰なミクロ小説。
    中二階ほど変態的なまでにずぶずぶと沈み込むような感じはないけど、この人の感覚がとても好き。

  • 「グッドモーニング」からはじまるマッチ箱のような短編集。
    可もなく不可もなく…かな?

  • 政治に夢中になっていたニコルソン・ベイカーが、やっと元の世界に帰ってきた、と期待の作品でしたが、訳文は、ベイカーさんが気の毒になるレベル。造本はかわいい。

  • どんな展開になるのか、とっても気になります!

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    「33本のマッチが織り成す炉端の哲学とイマジネーションの小宇宙! 」

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著者プロフィール

1957年ニューヨーク州生まれ。イーストマン音楽学校、ハヴァフォード大学で学ぶ。1988年、『中二階』でデビュー。他の邦訳に『室温』、『もしもし』、『フェルマータ』『ノリーのおわらない物語』(以上白水社刊、岸本佐知子訳)がある。本書の執筆時(32歳)にはまだ駆け出しの若手作家だった。

「2018年 『U & I』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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