サイフォンの科学史―350年間の間違いの歴史と認識

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  • 仮説社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773502381

作品紹介・あらすじ

液体をいったん高い所に上げて,低い所に移すための曲管。それがサイフォン。古代から使われていた技術で,今でも石油ポンプや排水管などに利用されている。
 サイフォンがなぜ動くのかは,350 年前から「大気圧が原因」と言われてきた。しかし,その原因は大気圧ではなかった!
 サイフォンをめぐる間違いの歴史を科学史的に解明。さらにサイフォンの原理を教える授業書を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 灯油ポンプやコーヒーサイフォンなどに用いられている『サイフォンの原理』。その歴史は古く、2000年以上も人類が使い続けてきた。そんな身近なサイフォンだが、その作動原理については「大気圧によって水が動く」という誤った説明が350年間も普及していた。著者はサイフォンの新しい説明<鎖モデル>を紹介するとともに、過去の文献を紐解き、大気圧説の起源はどこか、どのように広まったか、なぜ誤った説が広まったかを解き明かした。その過程は推理小説のようでスリルがある。原理は誤っていながらも広く利用されてきたサイフォンは、「技術が科学」に先行した例としても面白い。その応用も、タンタロスのコップ、囲みサイフォン、自動式サイフォン、管なしサイフォンなど興味深いものばかりである。
    また著者はサイフォンの事例から我々が学べることとして、以下の4点を挙げる。

    ①論理的に考えたことは正しいという保証はない
    ②実験をくり返していくことでしか、本当のことはわからない
    ③実験の背後にどういう仮説を持っているのかが決定的だ
    ④本当のことを明らかにするには、いろんな考え方をする人が必要だ

  •  「サイフォンは大気圧で動いているのではなかった!!」
     理科に強いと思っている人ほど「真空ではサイフォンは動かない」と思っているのではないでしょうか。
     本書は,一高校教師が,サイフォン研究の歴史を原書でたどりながら,解明していった「サイフォンの研究科学史」です。
     著者が調査していった順に論が展開されているため,とても臨場感のある読み心地のいい文章になっています。これも,アマチュア研究家だからこそできた「文章展開」なのかも知れません。
     サイフォンの歴史を見ると「論理的に考えたからといって正しいとは言えない」ことがよくわかります。
     本書の後半半分は,仮説実験授業の授業書になっています。サイフォンを「水分子の鎖」で見ていく,とてもたのしい授業ができるようです。

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著者プロフィール

「みんなの脳ミソが喜ぶたのしい〈笑顔の流れ〉を作りたい!」をミッションとするNPO法人楽知ん研究所代表理事。仮説実験授業研究会会員。

「2013年 『サイフォンの科学史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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