戦略爆撃の思想―ゲルニカ・重慶・広島

著者 :
  • 凱風社
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レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (636ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773630091

作品紹介・あらすじ

コソボで、イラクで、今も多くの市民に犠牲を強いる「空からのテロル」はいかに生まれ、どのように体系化されてきたのか!?2006年までの最新資史料に基づく「決定版」。「9・11」やイラク戦争までを注記・補筆の対象にして、殺す相手を視認しない空からの殺戮の非人間性を告発。戦闘詳報、弾着図(日本側)や爆撃被害研究(中国側)など新旧資料多数。用語解説を加え、再読の読者にも、また、新たな読者にも読みやすく、理解しやすいよう工夫。

感想・レビュー・書評

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  •  世界的にみて、都市爆撃は本来軍事施設に向けられるものであったが、その一つの転回点となったのが、日本軍による、抗日首都重慶に対するしつような無差別爆撃であった。今日その悲惨さは、アメリカの日本への爆撃や広島、長崎への原爆投下の陰に隠れてしまっている感があるが、実は、日本はアメリカに対し、模範を示してしまったのである。そしてそれは今日の戦争にまで続いていることを著者は指摘する。もちろん、そこにドイツに対しては軍事目標以外の爆撃もしなかったし、原爆も落とさなかったというアメリカのアジア人蔑視があるにしてもである。
     本書は、重慶から広島につながる無差別爆撃の系譜を豊富な資料によって跡づけただけでなく、爆撃下の重慶にあって、明るくそれを跳ね返そうとする一般大衆、エスペランティスト長谷川テル、蒋介石、周恩来、怒りに燃えながら文学活動をした郭沫若、老舎、茅盾、エドガワ・スノー、スメドレーたちの声、活動を活写する。本書が記録読み物としてだけでなく、読み物としてもすぐれたものになっているのは、筆者が軍事史研究家でもありとともにジャーナリストでもあるからだろう。

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プロフィール

1938年、福岡県戸畑市に生まれる。1961年、長崎放送に入社、おもに佐世保米軍基地を担当。1971年フリーとなり、ミクロネシア、グアムを取材。現在、軍事ジャーナリスト。 ※2013年2月現在【主要著書】『自衛隊 変容のゆくえ』岩波新書、2007年。『フクシマと沖縄「国策の被害者」生み出す構造を問う』高文研、2012年。

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