メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱

制作 : Ioan Grillo  山本 昭代 
  • 現代企画室
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本棚登録 : 197
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773814040

作品紹介・あらすじ

グローバル化社会の影にひそむ不条理な日常

米国人のあくなき需要を満たすため、米墨国境を越える末端価格300億ドルもの麻薬。幾重にも張りめぐらされた密輸人のネットワーク。警察と癒着したカルテル間の抗争とおびただしい死者。軍隊並みの装備で国家権力に対抗するパラミリタリー。麻薬王たちの豪奢な暮らし。10 代で「殺し屋」となり、たった85ドルで殺人を請け負う少年たち……

メキシコとアメリカの歴史的な関係を背景に、近年のグローバル化と新自由主義の進展のひずみの中で急拡大した「メキシコ麻薬戦争」の内実を、綿密な調査に基づき明らかにするルポルタージュ。米墨国境地帯で麻薬取引と暴力に依存して生きる「ナルコ(麻薬密輸人)」たちに密着し、犯罪者たちの生活や文化、彼らを取り巻く凄惨な暴力の実態を明らかにすると同時に、世界各地で注目されている「麻薬合法化」の議論など、問題解決に向けた方向性も指ししめす。

感想・レビュー・書評

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  • 今メキシコで起こっている麻薬を巡る争いについて、歴史的背景から解決案の紹介まで、大体の概要が説明されてる。ナルココリードとかサンタ・ムエルテとか、文化の話が面白かった。

    • paranoiayuigadokさん
      確かに、麻薬が大衆の文化や信仰にまでつながっていることに、ことの根深さや広がりを感じました。読み応えある本だと思います。
      確かに、麻薬が大衆の文化や信仰にまでつながっていることに、ことの根深さや広がりを感じました。読み応えある本だと思います。
      2015/12/06
  • 日本では、この手の抗争はコロンビアの方が有名でしょうか。
    メキシコはいわゆるカトリックの国ですが、平然と殺人と行方不明が横行していることが解説されます。

    こういう現実はある。

    • paranoiayuigadokさん
      本書を読むと、まだ日本は安全な国なんだと思います。こういう現実をきちんと知り、できれば少しでも改善に役立ちたいものです。
      本書を読むと、まだ日本は安全な国なんだと思います。こういう現実をきちんと知り、できれば少しでも改善に役立ちたいものです。
      2015/12/06
  • メキシコで泥沼の麻薬戦争が続いている。 断片的に耳に入ってはきていたが,一度ちゃんとしたものをと思い読む。人権無視のとんでもない殺戮が行われていることに戦慄。ウクライナやイラクのように報道されないのは,それがもう十年近くも常態化しているからだろうか…。
    カルテル間の抗争,警官やジャーナリストの襲撃,市民の巻き添えなど,死者は毎年一万人を大きく超える。見せしめのための残虐行為もエスカレートする一方で,麻薬とは無関係の身代金目的誘拐も多発。豊富な資金による買収も盛んで,軍や警察を離れて犯罪組織に身を投じる者も少なくない。
    本当に絶望的な状況で,政府による強硬な法執行も奏効する気配がない。解決の道は,もはや薬物の合法化しかないのかも知れない。一大消費地であるアメリカの政策も非犯罪化・合法化に傾いてきているという。

    • paranoiayuigadokさん
      まさに戦慄ですね。軍や警察が本来の役目を果たせなくなってるのも困りもの。何とか少しでも状況を良くしていきたいものです。
      まさに戦慄ですね。軍や警察が本来の役目を果たせなくなってるのも困りもの。何とか少しでも状況を良くしていきたいものです。
      2015/12/06
    • polyhedronさん
      最近読まれたんですね。歴史的背景が大きいんでしょうけど,軍や警察という実力組織の統制が緩いという点が拍車をかけている気がします。テロが騒がれ...
      最近読まれたんですね。歴史的背景が大きいんでしょうけど,軍や警察という実力組織の統制が緩いという点が拍車をかけている気がします。テロが騒がれますが,国際社会の不安定要因の一つとして無視できないですよね。
      2015/12/10
  • 現代メキシコの現実。麻薬とアメリカとマフィアと。悲惨な話だけどもたまたま本になったから悲惨だと実感できるのかも知れない。

  • メキシコの麻薬取引の実態やそれに伴う暴力の問題を明らかにする、ヨアン・グリロによるルポ。
    本書を読むまで、メキシコがここまで作り話みたいな凄惨な事件が続発してる戦慄すべき事態に陥ってるとは知らなかった。危険な取材に取り組んだ著者に敬意を表したい。社会問題において一度もつれた糸をほぐしてくことの難しさを痛感する。麻薬に限らずメキシコで暴力の犠牲となってる人々が救われることを心から願い、アムネスティ主催の2015年12月12日のイベント「¡Viva!スペイン語であなたの言葉をメキシコにプレゼント♪」に参加するつもりだ。

  • 20世紀までは麻薬といえばコロンビアだったが、いまではもうすっかりメキシコだ。




     戦争という言葉に煽りは一切ない。メキシコ軍の次に重装備なのは警察ではなく麻薬カルテルだ。麻薬カルテルの抗争に一般市民が巻き込まれ、市民を守るべき警官も殺され、真実を報道するべきジャーナリストも殺される。




     そもそも警察があてにならない。相当数の警官が麻薬カルテルに買収されている。警察署まるごと買収されていたりもする。カルテルに買収されている州警察と連邦警察が銃撃戦をしたりする。軍までにはさすがにカルテルの手は回っていないようだが、警察出身者や軍出身者がカルテルには大勢いるので、軍隊のような麻薬カルテルもある。




     街中で銃撃戦に遭遇し、警察に通報しても警官は来ない。警官も死にたくないから。市民は自らの身を自分で守るしかない。しかし重武装のカルテルの戦闘員に対抗する術を市民が持っているわけがないから、市民も身の安全のためにカルテルに協力するしかない。協力を拒むものは躊躇なく殺される。銃弾で殺されるのは楽なほうで、見せしめのため拷問のすえに殺されると悲惨だ。抗争により憎悪が増したカルテルの拷問は想像を超えている。


     ドン・ウインズロウの小説『ザ・カルテル』に人間の顔の皮を剥いでサッカーボールに縫い付けて、蹴って遊んでいる描写がある。あまりにひどすぎてフィクションかと思っていたら実話だった。


     確かにここは戦場だ。

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著者プロフィール

2001年より、『タイム』誌、CNN、AP通信、PBS News Hour、『ヒューストン・クロニクル』紙、CBC、『サンディ・テレグラフ』紙など国際メディアに、ラテンアメリカに関する報道を行ってきた。軍事作戦、マフィアによる殺人、コカイン押収などについて報道し、麻薬戦争について2人のメキシコ大統領、3人の司法長官、アメリカ合衆国大使らと議論した。イギリス出身、メキシコシティ在住。本書は彼の最初の著書である。
本書は、オーウェル賞にノミネートされ、ロサンゼルスタイムズ・ブックフェスティバルで最終選考に残り、BBCラジオ4の「今週の本」に選ばれた。

「2014年 『メキシコ麻薬戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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