闇の河 THE SECRET RIVER (オーストラリア現代文学傑作選第4巻)

  • 現代企画室
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本棚登録 : 22
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773815191

作品紹介・あらすじ

新たな生を希求して「未開」の入植地に移り住んだ一家と、その地で永く生を営んできた先住民との邂逅。
建国神話の奥に潜む闇を上質な小説に仕立てあげた、オーストラリア文学史上屈指の国民的ベストセラー。

ときは19世紀初頭、ロンドンでの貧窮生活と生命の危機をくぐり抜け、ウィリアムとサラのソーンヒル夫妻は植民初期のシドニーにたどり着く。舟運の仕事についたウィリアムは、やがてシドニーから隔たった入植地に希望を見出し一家で移り住むが、無人の未開地と思われたそこは、先住民が伝統的な暮らしや祭祀を営む場所だった……。
異文化との出会いと衝突、そして和解に至る道のりで、「記憶」はいかに物語られるのか。多文化にひらかれた新たなアイデンティティを模索するオーストラリア社会に、深い衝撃をもたらした現代の古典。

感想・レビュー・書評

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  • アボリジニアートの美術展で購入した本。
    先住民と開拓民の間には暗い歴史があり、オーストラリアも例外ではない。狩猟採集の生活スタイルで暮らしてきたアボリジニはことごとく駆逐された。
    この本はある開拓民の家族と先住民の出会い、その互いのコミュニティの衝突を生々しく描く。開拓者として成功するタイプがどういう人かもわかり面白い。

  • 図書館の本 読了

    内容(「BOOK」データベースより)
    ときは19世紀初頭、ロンドンでの貧窮生活と生命の危機をくぐり抜け、ウィリアムとサラのソーンヒル夫妻は植民初期のシドニーにたどり着く。舟運の仕事についたウィリアムは、やがてシドニーから隔たった入植地に希望を見出し一家で移り住むが、無人の未開地と思われたそこは、先住民が伝統的な暮らしや祭祀を営む場所だった…。異文化との出会いと衝突、そして和解に至る道のりで、「記憶」はいかに物語られるのか。多文化にひらかれた新たなアイデンティティを模索するオーストラリア社会に、深い衝撃をもたらした現代の古典。

    ジャンルを「外国の小説」に入れていいのかと思う小説。
    史実に基づいた、と言ってしまえばそれまでなんでしょうがそれでは収まらない物語。
    アメリカももっともっとすごくひどいことになっていたんだろう。
    続編があるのであればぜひ読んでみたい。でもこれ読むにも時間かかったからなぁ。いつになるやら。

    The secret river by Kate Grenville

  • 先の東京文芸フェスティバルのイベントをきっかけに購入した本。私自身はオーストラリアにも、移民の物語にも興味があったわけではなかったのだが、偶然参加した作家を迎えてのトークイベントの内容がすばらしく、この厚い本を読もうと決意した次第。
    『闇の河』(原題はSecret River)という題名は「地獄の黙示録」の原作となった『闇の奥』(コンラッド)を意識してとのこと…と聞き、無知蒙昧の私は「暗そう・難しそう」尻込みしつつページを開き…あっという間にこの世界に引き込まれたのであった。
    生活のための軽犯罪からオーストラリアという未開の流刑地に送り込まれた主人公が、そこでそれなりの暮らしを立てて落ち着いたかと思うと「土地の所有」という、動物としての本能とでもいうべき欲に突き動かされ、シドニーを後にして密林に幼子も含む家族とともに入り「開拓」を進めるが、そこには当然ながら先住民がいた。言葉も習慣も全く異なる彼らの邂逅は、現代であれば宇宙人とのそれに近いものがあるのではないだろうか。
    大河ドラマ的に成功を収めつつ闇を抱えるに至った一人の男の人生として読むこともできるし、日本人にはなかなか知られないオーストラリアの歴史の書、異文化の出逢いと衝突を深くえぐった作品としても読める。
    だが、文章は平易でたいへん読みやすく(日本語訳もとてもいい)、物語性が高くページターナーな作品でもあるのが素晴らしい。オーストラリアではベストセラーとなり、テレビドラマ化もされたというのもうなずける。
    主人公の妻、サラは、インガルス一家の「かあさん」のように、明るさと機転で夫を支える理想の妻であり母である。だがしかし、「ホーム」に帰ることを夢見るサラもまた、最後には闇をのみこむこととなる。
    本作は続編もあるとのことで、ぜひ読んでみたい。

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著者プロフィール

作家。1950年、オーストラリア、シドニーに生まれる。シドニー大学で芸術学を学び、大学卒業後、ドキュメンタリー映画の編集の仕事に従事。20歳代後半でイギリスにわたり、編集者・フリージャーナリストとして数年を過ごす。その後アメリカのコロラド大学で作家としての勉強を始め、クリエイティブ・ライティングの学位(MFA)を取得。その後オーストラリアに戻って現在に至る。
 主な作品は、Bearded Ladies(1984年)、Lilian’s Story (1986年)(ヴォーゲル・オーストラリア文学賞受賞)、Dreamhouse(1987年)、Joan Makes History (1989年)、The Idea of Perfection(1999年)(オレンジ賞受賞)、Dark Places(1994年)(ヴィクトリア州文学賞受賞)、The Secret River(2005年)(『闇の河』 一谷 智子 訳 現代企画室 2015年)など。
 


「2018年 『香りブームに異議あり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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