「派生開発」を成功させるプロセス改善の技術と極意

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  • 技術評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774132495

感想・レビュー・書評

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  • 世界中で,システム設計の現場では、「新規開発」より、「派生開発」としての動いているシステムの変更や機能追加が多い。
    その点に着目した著者の経験が凝縮されている。

    派生開発の場合に何が課題になるかの仕立てをうまくしている。
    仕様をどうやって明確にしていくかについての知見が豊富にある。

    仕立て(tailoring)をしているだけでなく,清水吉男さんのよいところは,現場にあわせた着付け(fitting)もできることだ。

    決めたことを,決めた通りにやるだけなら,能力のある技術者はいらないかもしれない。
    どういう制約条件のもとで決めたことか,条件が変わったらどうするかを考える能力があるかどうかが課題だろう。

    数少ない日本の相談業務(コンサルティング)を頼みたくなる方だ。
    一度,清水さんの話をお聞きになられた方なら感じられたと思う。

    相手を引きつける力
    相手に頼む力
    相手の話を聴く力
    がある。

    自分の経験を大事にする技術者としての感性を持ったまま,
    経営的な課題に取り組もうとする姿勢がある。

    著者の書かれたことを勉強するだけでなく,
    著者そのものを勉強することをお勧めしたい。

  • 前から入手してあったが、ついに読了。読んだだけですぐに成功すると思わず、粘り強くこの本に戻って、XDDPを手に入れたいと思う。

  • 改善や改修に特化した開発プロセス方法が記載されている。ソフトウェアの話として書かれているが、機械や電気系の人にも役立つと思う。特に、組み込み系をやられている方は、殆どの場合、既存製品のモディファイが開発となると思われるので、参考として手にとってはいかがだろうか?

    XDDPと呼ばれる筆者が考えた方法論が書かれている。背景まで丁寧に書かれているので、手っ取り早くノウハウを得たい人にはやや冗長に映るだろう。基本的に本手法の肝は、要求からの漏れチェックのための視覚化と要求からの変更内容を導く思考過程の可視化だと思った。よって、その場限りのコード改修と異なり、レビューがしやすくなる上、設計者の従来機種への理解が深まるというメリットが有るように思う。

    本手法が新規設計が少ない組み込み業界の開発プロセス標準の一つとなり、多くの設計者が報われるようになることを望みたい。

  • ソフトウェアエンジニアリングの教科書には「新規開発をどう上手くやるか」について書いてありますが、私たちが日々格闘している「派生開発」については「保守」としてひとくくりにされ、十分な記述がありません。

    もちろん、新規開発のノウハウが役立つ部分もあるのですが、筆者の清水吉男は「派生開発の現場では、時間に追われバグを見つけ次第直すという間違ったプロセス」にメスを入れています。
    つまり、派生開発においては、
     o 変更要求仕様書
     o トレーサビリティ・マップ
     o 変更設計書
    を作るプロセスを提案しています。これらは、実践的で非常に役立つノウハウと思います。口語調で話が整理されていないためちょっと読みにくい点がちょっと残念です。

  • 新しい手法は大人数だとなかなか受け入れてもらえないのが悩みどころ。

  • ・良書。久しぶりに自分でも試してみようと思ったソフトウェア開発プロセスの本。
    ・個人の思い込みや勘違いを防止する為に、レビュー(他者の視点=組織力)を重視する所は、ワインバーグのエゴレス方式に近い。 ≪参考≫ジェラルド・M.ワインバーグ(著)「プログラミングの心理学―または、ハイテクノロジーの人間学」
    ・設計に時間を掛ける事で、事前にバグを防ぎ、その結果、プログラム修正の時間は減らせるという考えは、デマルコの思想に近い。 ≪参考≫トム・デマルコ (著)「デッドライン―ソフト開発を成功に導く101の法則 」

    ・XDDPの成果物は下記の通り。レビュー時に他者の気付きがされ易いように工夫されている。
      変更要求仕様         …(What ) どのような振る舞いを変更するか?
      トレーサビリティ・マトリクス …(Where) どのモジュールを変更するか?
      変更設計書          …(How ) 変更方法について記述する

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