電子書籍の作り方 EPUB、中間ファイル作成からマルチプラットフォーム配信まで (PCポケットカルチャー)
- 技術評論社 (2011年1月1日発売)


- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784774145051
感想・レビュー・書評
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この本は、シロウトさん相手の本ではないですね。電子出版を事業としてやっていくに当たって、作業の手順をどう組んでいくか、何処で効率化していくかと言ったことが、前半の主題でした。… とまあ、一シロウトとしてはその様に読んだのですが。
後半は、実際にePubの電子書籍を作ってみる実践編ですが、かなり細かい点まで詳しく書いていると言った印象でした。… あくまで印象ですが。
電子書籍のフォーマット、ディバイス、ストアの組み合わせが複雑なことになっているのは、なかなか頭の痛い問題のようです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【電子書籍フォーマットの変遷】
1969年の「GML」から始まり、SGML(1986)、HTML、OEBPS1.0(1999)、XHTML1.1(2001)、EPUB2.0(2007)という一本の流れとして見ることができる。
ちなみにEPUB2.0(2007)は名称変更する前の標準化団体「Open eBook Forum」が策定していた「OEBPS」の後継規格。
【電子書籍フォーマットの種類】
海外のフォーマット
・EPUB
海外のフォーマット(独自規格)
・AZW
・Mobi
グローバルフォーマット
・PDF
国産フォーマット
・.book
・XMDF
【EpubCheck】 http://code.google.com/p/epubcheck/
Epubcheckでエラーが出た場合、修正しなければならないが、Indesignでは対応できないため、書き出されたEPUBファイルを修正しなければならない。拡張子を「.zip」に変更して、ファイルをダブルクリックし、中にあるXHTMLファイルを取り出して直接変更することになる。
【素材ファイルを使ってDreamweaverで編集する】
InDesign CS3~CS5に搭載されているEPUBエクスポーター(EPUBファイルに書き出す機能)は、テキストだけの文芸書などに適している。
InDesignから書き出したEPUBファイルの修正作業は、XHTMLとCSSを編集する作業。この工程については、Webオーサリングツールを使用したほうが効率化される。編集作業には、業界標準オーサリングツールAdobe Dreamweaverが良い。
【Adobe DreamweaverCS5とSigilについて】
Dreamweaverは、電子出版のアプリケーションソフトではないので、InDesignのようにEPUBファイルに書き出す機能が搭載されていない。
そこで、「Sigil」というオープンソースのオーサリングソフトを使用する。
*Dreamweaver用の「EPUB書き出し」が開発されればSigilは必要なくなる。
【●】
個人が出版するセルフパブリッシングの分野では、ライセンス料などが一切かからないEPUBが有利。仕様がオープンになっているため、メジャーなアプリケーションソフトにEPUB書き出しの機能が搭載されたり、ブログ感覚で作成できるブラウザベースの編集ツールなどもさらに増えるだろう。
【電子書籍に適用されるDRMのバイナリ化/交換用のフォーマット】
電子書籍には、
・素材データのフォーマット
・ソースファイルのフォーマット(人間が読み、編集するための)
・バイナリフォーマット(機械が読み、高速処理するための)
がある。
EPUBの場合は、バイナリフォーマットについて定義されていないので、配布される最終ファイルも人間が読み、編集することができる。
【電子書籍ワークフローの肝はアセットマネジメント】
InDesignの電子書籍フォーマットの書き出しは「PDF」と「EPUB」のみですから、Mobiや.bookなどのフォーマットには、組版データから抽出した素材ファイルが必要になる。EPUBに関しても、修正作業の規模によっては、素材からソースファイルを編集していく流れのほうが効率的な場合もある。つまり、素材ファイルを電子書籍における「アセット」として管理していくことが重要になってくる。
【●】
EPUBファイルを検証するツール「FlightCrew」 http://code.google.com/p/flightcrew/ -
主にePubの編集方法に的を絞った解説書。非常に実用的で、かなり参考になる。ただしInDesign・DreamWeaverによる編集を前提としているので、それらのツールで紙媒体の編集やWebサイトのデザインをした経験がある人向きかもしれない。InDesign→DW→Sigil のフローを用いているが、これ以外のやり方もある。『電子書籍で生き残る技術』(オーム社)も参考のこと。
著者プロフィール
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