最終講義-生き延びるための六講 (生きる技術!叢書)

著者 :
  • 技術評論社
4.10
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本棚登録 : 793
レビュー : 116
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774147093

作品紹介・あらすじ

人間はどのように欲望を覚えるのか、どうやって絶望するのか、どうやってそこから立ち直り、どうやって愛し合うのか…。2011年1月22日、神戸女学院大学で行なわれ、多くの人々に感銘を与えた「最終講義」を含む、著者初の講演集。超少子化・超高齢化時代を迎えて日本の進むべき道は?学びのスイッチを入れるカギはどこにある?窮地に追いつめられた状況から生き延びる知恵とは?…いまを生きるための切実な課題に答える。

感想・レビュー・書評

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  • 「存在しないもの」からのシグナルを聴きとる。「教育に等価交換はいらない」とてもいい話です。基本は一人で語っている講義録ではありますが、そこに「相方が降りてくる」瞬間を読むと面白いよ、という著者の論。異論を立てる、いろいろな考えがある。矛盾もいっぱい。だからこそ革新や成長が起こる、ということを幅広く受けとめたい。

  • 「上機嫌でいる」にこやかに微笑んでいる状態が現実をオープンマインドでありのままに受け容れる状態であり、自分の限界を超えたパフォーマンスを引き出すことができること。

    自己利益を動機にしていては、自分の能力はある程度以上は上がらない。自分以外の「何か」を背負うことによって、自分の能力の限界を突破することだって可能になる。

    無意識に心に掛っていた自分だけでは言葉にならなかったもの、聴きたかった言葉を聴けたような気がする。

  • 初内田樹さん。
    イメージしていたより、ニュートラルで感情的な押し付けがなく、読みやすかった。『知的高揚感』を味わった。内容に関して、自説を述べられるような教養を持てたらいいな。

    特に教育については、あまり興味がなく考えたこともなかった。教育がビジネス領域として見られることを危惧する氏の説にはなるほどと思った。

    ~メモ~
    ・ヴォーリズ建築の魅力
      →→教育のための仕掛けが施された建築。(神戸女学院)
    ・北方領土問題が解決すると困るのはアメリカだけ。
      →→現状維持をするためにアメリカは必死で日本国内の世論形成を行っている。
    ・倍音的文体 →→太宰治
    ・断片的な情報から全体的なストーリーを紡ぐ知性

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ニュートラルで感情的な押し付けがなく」
      ナルホド!
      内田センセの本は手当たり次第に読んでますが、身に馴染んでるせいか、そんな風には考えなか...
      「ニュートラルで感情的な押し付けがなく」
      ナルホド!
      内田センセの本は手当たり次第に読んでますが、身に馴染んでるせいか、そんな風には考えなかったです。
      2012/09/18
    • こっこっこさん
      勝手にイメージで、この年代の方で少し左翼的な思想だと、もっと余計な感情がまじった文章になるんじゃないかと思ってたんです。
      でも読みやすくて、...
      勝手にイメージで、この年代の方で少し左翼的な思想だと、もっと余計な感情がまじった文章になるんじゃないかと思ってたんです。
      でも読みやすくて、面白かったです(^_^)
      講演録だから受け入れやすかったのかもしれません。
      2012/09/22
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「講演録だから受け入れやすかった」
      そうかも、、、
      話の流れに沿って手を入れてるから、読み易いみたいですよ。この話は「辺境ラジオ」が一冊に纏...
      「講演録だから受け入れやすかった」
      そうかも、、、
      話の流れに沿って手を入れてるから、読み易いみたいですよ。この話は「辺境ラジオ」が一冊に纏まった時に言われていました(全てに当て嵌まるかどうかは不明ですが)。
      2012/09/25
  • 表題の内田先生の「最終講義」など6つの講演を集めたもの。コロキアルでとても読みやすい。もともと最終講義は直接お聞きしたが、その後、あの震災があった。もいちど読み直して、それもこみにして感慨深く読んだ。まさに「志ん生の火焔太鼓」で、何度でも聞ける。本当、事象も時間も超えて普遍的な声ってすごいなあ。すでにブログや既存の著書で聞いた話がほとんど(ユダヤ学会の講演内容は僕には初ネタだったが、、)だけど、何度も聞いて(倍音的に?)理解が深まっていくような気がする。

    恥ずかしながら、ちょこっと僕も登場します。

  • 学ぶこと、学びを導くことの意味に得心がいき、自身の学びへの意欲がかきたてられた。もっと若い時に読めれば、もっと良かったと思うけれど、今だから分かるのかもしれないし。

  • 2年ほど前にさらっと読んだ時はあまりわからなかったが、卒業研究のヒントになるものがあればと再読したら、なんと面白いことか!あっという間に読んでしまった。
    教育の部分、神戸女学院の建物の話は特に面白かった。
    2013.11.16

  • 内田樹氏の本はやはりおもしろい。「こんな何冊も本を書いている人なのに、オレと同じ感じ方しているな」なんて思わせるところが魅力なのかもしれない。
    人前で話をしていて、次に何を話すかを忘れてしまうことはよくあります。でもそれをうまく繋げたとき、自分でも思いがけない発想やおもしろい話が生まれるなんて体験は結構あります。こんな経験を内田氏もしているらしい。でも、自分に内面化されていなす知識が何もないところから生まれてくる魔法のようなことはないわけで、そこにはそれまでに積み重ねてきた経験や学習があるはずだ。これは内田氏の教育論にも通じる。教育は何か分からないものを何で学ぶのか分からないままに学ばせるものだという。受ける者が、その価値を分かってやるかやらないかを選ぶのでは、市場原理上にある商品と変わらない。しかし、教育はその場では何のためにやるのか、何の価値があるのかは分からない。それでいいのだという。でも、何かかが内面化されある時、表出する(しないかもしれないけど・・・)。それで良いんじゃないかと思わせてくれました。人生、何のためにやるのか分かっているものばかりじゃない、というかほとんど分からない。
    「教育の本質はお節介である」「利便性や効率では学びは発動しない」。その通りだと思います。市場原理を教育に持ち込んだことが教育の衰退の一つの大きな原因だということは、考えてみれば自明のことであるが誰も気づかないふりをしている。それなのに教育がうまくいかないことの犯人捜しには熱心である。何が起こるのも一つのことが原因で、それさえ取り除けば全て解決するなんていう単純なことは皆無に近い。だけと、わかりやすいことを言って何かを攻撃する人が人気を取ったりする。とても危険な方向へ向かっていると思う人はどのくらいいるのだろう。
    一度、講演をお聴きしたいものです。 

  • 教育とは何かが、分かったような気がしました。
    他の講義も大変 面白かったと思う。

  • 色々と考えさせられる話が多かったですが、特にビジネスと教育についての考え方の部分は共感しました。伝えたい人が教え、教わりたい人が自分の意思で教わる、という当たり前といえば当たり前のことですが、ビジネス化された現代において見失われている部分を再確認することができました。読んでいる途中で、大学生の時に行った教育実習で見た学生の情熱を思い出し、人生のどこかでもう一度教育に携わって、自分が得てきた知識や経験を未来を背負う子供たちに伝えたいという衝動に駆られました。

  • これから行われるであろう「よきこと」を信じて
    知的イノベーションにおいて死活的に重要なこと
    「存在しないもの」からのシグナルを聴き取る
    「わけのわからない現象」に夢中になれるか
    危機的局面であるほど上機嫌であれ
    -> 上機嫌の作法
    アカデミック・ハイの感覚
    最後の拠り所になるのは「知性の身体性」
    使えるものは全部使う
    ->ありもんを使う、[間]に合わせる
    自分の知性の性能を向上させることを
    純粋に技術的な視点から考察する人はほとんどいない。

    自分の知性が最高の状態にないことに、空腹や眠気や
    渇きと同じような激しい欠落感を覚える人間だけが
    知性を高いレベルに維持できる。

    先駆的直感に導かれて
    「情理を尽くして語る」という学問的マナー

    断片から全体像を描く知的能力の必要性

    倍音は宗教儀礼の核心部分
    倍音声明
    「う」「お」「あ」「え」「い」の5音
    「ん」のハミング音
    -> 天真五相
    選ばれないことのリスクを引き受ける
    教育の本質はおせっかいである
    利便性や効能では学びは発動しない
    教育の効果は数値化できない
    意味や有用性はあとになってから実感するもの
    学びには「謎」や「暗がり」が必要だ
    「矛盾に耐えて生きる」ことで成熟する
    親族の基本構造にあるもの
    とにかく「異論を立てる」ことが大事
    果たされなかった攘夷の戦い
    ->日米安保、第一次羽田闘争

    自然科学はユダヤ研究に近い。自分が研究していることを
    突き詰めてゆくと、その先に世界のすべての現象が説明できるような統一原理が発見できるのではないか、と。
    そういう法外な夢をもって研究している人が自然科学の
    最先端にはときどきいます。
    日本ユダヤ学会の研究者たちを見ていると、何か
    それに近いものを僕は感じるんです。

    目標がはるか上にあるがゆえの穏やかさ

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著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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