生と死を握るミトコンドリアの謎 ~健康と長寿を支配するミクロな器官~ (知りたい! サイエンス)
- 技術評論社 (2012年9月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784774152370
感想・レビュー・書評
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身体には60兆個の細胞×300個、つまり、1.8京個のミトコンドリアが存在する。このミトコンドリアが、酸素を使って糖や脂質をエネルギーに変換するといった働きをしたり、病原菌に侵食された細胞と共に自死する機能アポトーシスにより、免疫機能を果たしている。つまり、人体を健康に、病気せずに元気な状態を保つのはミトコンドリアの仕事だ。
そうした重要な機能を担うから、人体への影響は当然大きい。ミトコンドリアのはたらきが低下すると、細胞の活動が低下し、脳の神経細胞であれば、理解力が低下。心臓の細胞であれば、血液を全身に送ることができなくなる。筋肉の細胞なら疲れやすくなる。
寿命や病気にも影響。ならば、常にミトコンドリアを正常な状態に保ちたい。増やすには、身体に負荷をかける有酸素運動が良いらしい。活性酸素は老化に繋がるだろうと思うが、ミトコンドリアの質が良くなることで、結果的に活性酸素の排出量が減るらしい。ジョギングするなら紫外線は良くないし、激しい運動は良くないのでバランスを考えながら適度に。
元々はプロテオバクテリア(好気性細菌)という原核生物だったミトコンドリア。命の起源を探りながら、健康や寿命といった身近な興味に答えてもくれる素晴らしい一冊であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミトコンドリアは、ATPというエネルギーの源を作るために大事な器官であるという知識しか持っていなかったが、この本を読んで、ミトコンドリアが人間の寿命にかかわっていることや、人間などの生物の中にいるミトコンドリアは、その生物の遺伝子と違う遺伝子を持っていること、ミトコンドリア病という難病があることなど、新たな知識が得られてよかったし、ミトコンドリアがないと我々人間をはじめ動植物はまともな生命活動ができていなかったということで重要性がよくわかった。