根っからの文系のためのシンプル数学発想術

著者 :
  • 技術評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774160603

作品紹介・あらすじ

自称文系のあなたには、数学の素質があります!文章の読み書きが得意なら、誰だって数学はできるようになるのです。数学に苦手意識があり、つい「自分は文系で…」と口ごもってしまう方もこれで大丈夫。数学発想術がむりなく身につく、永野先生の特別レッスン。

感想・レビュー・書評

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  • そういうことだったのかー!と思わせられる箇所がたくさん。

    まず、数学嫌いの根本原因。
    ①数学ができないのは……数学を算数と同じように勉強してしまうから
    ②公式や解法を覚えようとすればするほど、数学はできなくなっていきます。そして数学がつまらなくなり、数学が嫌いになります。
    高2の娘さんをいわゆる進学校に通わせいてる同僚の方にこれを読んでもらいました。「ホントにその通りなのよ!!再テスト再テストばっかりなのに、たいして点数も伸びてなくて」とのこと。うーん。本県の数学教育、まだまだ「覚えさせる」が目標になっている模様。改善の余地がありそう。

    次に、国語力(というか、言葉の力?読む力?)との関係について。
    ③苦手だった数学を短時間で克服する生徒さんに共通していることがあります。それは国語力に優れていることです。
    ④小さいお子さんには何年か先の算数や数学の計算練習を闇雲にすることよりも、たくさんの本を読み……総合的な「国語力」を磨かれることを強くお薦めします。
    早期の英語教育に懐疑的な専門家の方々も、口を揃えて同じことをおっしゃっている。やっぱり、言語形成期にあたる10歳までは、母語を大切にしてあげることが何より大切だと再確認。

    最後に、生きてくために数学なんだな、ということについて。
    ⑤必要なのは「ヒラメキ」によって人より早く解答にたどり着く力ではなく、どんなに困難な問題であっても、一歩一歩論理的に解答に近づいていくことのできる力です。
    ⑥まだ人生経験が浅く、語彙力にも乏しい学生が論理力を身につけるためには、やはり数学を学ぶことが一番手っ取り早い
    確かに!
    現代社会の諸問題に取り組む上では、分からないことに耐えて考える力(ネガティヴケイパビリティ)が大事、というのは、内田先生も鷲田先生も平田オリザ先生もおっしゃっているし、こないだの朝日新聞で津田大介さんも同じことを指摘されていた。
    相手と自分の立場や価値観は、そもそも重ならない。で、そっから逃げずに対話や議論を「続ける」いがいに、民主主義を維持してく手立てはない。バイデン大統領も就任演説で「意見が合わなくてもいい。それが民主主義だ。」って言ってた。

    フィーリングの合う人に飛びついて、内輪で盛り上がる思考回路から一番遠いところに民主主義はある。民主主義は、フィーリングが合いっこない人の前から逃げずに、常に自分にとっての「普通」や「当たり前」を疑い続ける手続きそのもの。であれば、逃げずに手順を追って最適解を探り続ける胆力を、中高生が数学を通して鍛える意義は非常に大きい。
    問題は、数学を教える立場にある先生方で、そこにウェイトを置いている方がさほど多くはなさそうだ、ということか。
    少なくとも、私の知り合いの範囲では。

    というわけで、私のできることとしては、数学大事ですよね、こんな力が鍛えられるし、期待されてるらしいですよ、と小さな声で(相手の方の怒りを買わないように、否定や批判だと受け取られないように)お伝えしていくことかな。あとは、自分の仕事にも本書を生かしていくこと(will-skillマトリクスはすぐ使えそう)。
    そして、数学無理、っていう口癖を直そう。数列と行列、証明問題は好きだったんだし。3次函数(正式にはこの字を使うらしい。「函」は箱。箱に数字を入れると、結果が出力されるから「函数」!わかりやすい!AIがなぜに函数なのかがようやく腑に落ちた。やっぱり、常用漢字はいかんな)と確率統計(いまだにさーっぱりわからない。具体例なら、わかる。理屈が全く入ってこないから、応用がきかない。だから旦那にオセロで一回も勝ったことがない。麻雀は、勝てる)以外は並だったんだし。

    あと、高校数学の数Ⅲ数Cを全員にやらせるか問題。数学の本来の目的からいったら、やらせるべきなんだろうなぁ。「受験のための効率学習」を捨てられるんなら、だけど。確か、一部の私立ではそうしてるはず。白百合とか(仙台白百合出身の先輩が言っていた。今もそうなのかな?)。日本の高校教育は、受験指導の名の下に、これまで教養を犠牲にしてきた側面が少なからずある。大学側もそれを懸念して色々と入試改革を実施してきてはいるが、根本的なところは変えられていない。「分からないことから逃げずに考え続ける力」を、短時間にたくさんの問題を処理する能力でどうにかできちゃうテストで計測するのは、やっぱり難しいよなぁ。じゃあ、総合選抜一本で、ってなったら現場はパンクするし、家庭の経済力が今まで以上に合否を左右してしまうのは目に見えている。

    さて、どうするか。

    ……そうか。
    こういう問題から逃げずに考える力が、数学力なのね。
    納得。

  •  算数と数学は違うといわれてもそうピンとはこない。
     しかし歴然と考える思考回路は違うのはよくわかる。

     この両方の間の橋渡しをうまくできる人間が頭が良いと考えても良いのではなかろうか。

     これをいとも簡単に通り過ぎる人もなかなか渡れない人もいる。この空間を埋めることのできる何かのツールがあれば人は新しい道を開拓できるのではないかと思う。

     この本はそれに近いところまで来ているのだが自分としては今一歩何かが足りない。その何かが特に重要な要素なのかとも考える。





    ビックデータ  平均値 中央値 標準偏差 相関係数 P値

  • 評論文の解釈を数学的に解明したり、算数と数学の違いを具体的に示したり音楽のスコアの読み方までも数学的だと証明したりで実に楽しく『数学』にふれあえました。

    中でも「おもひでぽろぽろ」のタエ子ちゃんの分数の計算のくだりが興味そそられました。
    あぁ、こうやって数学を好きになっていたら私の人生違う方向に・・・とも。
    苦手で分らないけれど数学って好きです。美しいですね。あとがきのGoogleの求人広告には感動さえ覚えました。私には到底無理ですけどね。

  • 背理法は便利で強力、ゆえに怪しい使い方もできる
    あたかも二元論からの背理法→絶対唯一の正解っぽい
    世の中には選択肢が二つしかないことなどほとんどない

    内容的に期待したものとはずれていたが、数学と国語が同じちからを使うこと、数学的な整理のしかたで物の見え方捉え方が変わってくること、説得するときは言い換えと因果を用いること、さらに最初に書いた部分などはこれからの仕事においてかなり役に立つだろうと思われる。

  • 開始:2023/3/24
    終了:2023/3/26

    感想
    数学的センス。日常に転がっていて意識できない。観察眼を磨くことで眠っていたものに気がつく。偶然では無く必然的な冴えた意見。

  • 「国語力は数学力の源泉、読み書き得意なら数学もできる」と言う著者が、なるべく数式を使わずに数学的に発想する方法7パターンを紹介する本。

    面白かったところは、算数/数学の違いを説明するところです。中学から「数学」に変わる意味が分かるような気がします。
    ・算数 … 既知の問題を素早く正確に解く、生活に密着した教科
    ・数学 … 未知の問題を解くための力を養う教科

    ただ、私の読書目的とややズレるところもあったので、流し読みしました。
    毎度、目的ありきで本を選ぶのって難しいなあと思いますが、まあなんでも読んだらいいじゃないのと思って読んでます。

    ちょっと気になったのは、例えが著者の趣味全開すぎてついてけないところ。
    (例)
    ・発想術 パターン1で「ワインを分類するのにどんな基準を用いたら良いでしょう?」というクイズがありますが……「正解はxxです。なぜなら味に関する情報が増えるからです!情報を整理するときは、隠れた性質を炙り出す整理方法をしましょう」と説明されても、ワインの知識に乏しくピンとこなくて困りました。

    ・発想術 パターン7でひたすら楽譜の読み方(和音と和音記号)が解説されまして、読み物としては面白いですが、もっとこう他に説明の仕方あるだろうという気持ちになります。

    そんなこんなで、横道に逸れたり説明がピンとこなかったりで、もう少し推敲して構成を練って欲しい気持ちになります。
    数式を使わずに説明しようと頑張るあまり、抽象化しすぎちゃったかなと思います。数学を学ぶのは論理力を育むためと、「問題解決」や「論理力」まで抽象化してしまうと、働いてる人なら(数学に回り道せずに)問題解決や論理力を学べる本あるわけで……数学をビジネスに応用する本とかも……。
    もっと数学に根ざした内容でも良かったのではないかなと思いました。

  • AIvs教科書を読めない子どもたちでも言われてる事が同じく書いてあり、共通した事象が発見でき嬉しかった。

    知らないうちに数学的思考を日常生活でも使用していることがわかった。

    この著者の方に中学、高校時代に数学を習ってみたかったと思いました。

  • 現代文の参考書に内容的には近しいと感じる部分も多々あった。第3章の数学的発想術については、実生活で役に立てられそうだという印象を受けた。読み手にそれなりの国語力を要求する本だと思う。

  • 数学

  • 数学的=論理的に考えるということを、日常生活とても分かりやすく教えてくれる本。

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著者プロフィール

1974年、東京都生まれ。永野数学塾塾長。東京大学理学部地球惑星物理学科卒業。同大大学院宇宙科学研究所(現JAXA)中退後、ウィーン国立音楽大学(指揮科)への留学。副指揮を務めた二期会公演が文化庁芸術祭大賞を受賞。わかりやすく熱のこもった指導ぶりがメディアでも紹介され、話題を呼んでいる。著書に『とてつもない数学』(ダイヤモンド社)、『ふたたびの高校数学』(すばる舎)、『教養としての「数学Ⅰ・A」』(NHK出版新書)など。

「2023年 『大人のための「中学受験算数」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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