「集合と位相」をなぜ学ぶのか ― 数学の基礎として根づくまでの歴史

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  • 技術評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774196121

感想・レビュー・書評

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  • まず、この本は教科書や参考書ではありません。集合・位相は非常に漠然としており、何故学ぶのか、何が目的なのかが分かりづらい分野です。しかし現代数学が集合論に立脚している以上絶対に避けては通れない分野でもあります。本書では、初期の解析学における問題点(つまり厳密性の問題)から始まり,厳密性と一般性を求めた結果、集合・位相の概念が整備されていったことが数学の歴史を通じて述べられています。これでテストが解けるようになるわけではありませんが、少なくともなぜ勉強しなければならないかがわかるだけでも価値があるような気がします。

    ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB25709595

  • 最終章、その前の章の確率はさらっと記述だったが、それまでは読み応え十分の数学史に沿った学術書。

  • 固くない数学書。タイトルのとおり集合論や位相論の解説書ではない。微積分の成立、フーリエ級数からはじまり、現代の数学が成立する歴史をたどり、その過程で、どのような必要性から集合・位相が生まれてきたのかを説明する。通常の教科書では、最初から抽象的な定義が降ってきて非常にとっつきにくい。しかし、それを歴史に沿って説明されると、成り立ち、必要性、使い方などの理解が深まる。解析学を厳密に定義するために集合論が作られた。しかし、そのカントール自身が実数直線Rと平面R^2の濃度が等しいことを「証明してしまった。そこで対応ではなく距離を定義し、その違いを写像の連続性に見出したのが位相論の成り立ち。その過程で抽象的かつ厳密に定められた集合と位相を用いて、数学が改めて記述・定義されるようになった。

  • 学生リクエスト2018

  • 数学がどのようにして成り立っていったか、当時の学者たちが何を解決しようとして問題に取り組んだのかがわかる。
    得てして開発した本人が思ってもいない方向に活用されることもあることが面白い。

  • 現代の数学がどのように研究されてきたのか、その上で、集合と位相が数学の基礎として確立されたのか、解析学と確率論の紐付けがよくわかった。

  • 集合論・位相空間論が誕生した契機を解説しています。フーリエ級数・積分の歴史的な話を概観し、カントールが集合論を研究し始めるまでの背景を説明しています。そして位相やルベーグ積分の話が展開されます。難しい計算はなく、すらすら読めます。
    集合・位相の最初期の歴史を知れるのがとても良かったです。位相の公理は最後の最後に出てくるので、本当に位相のことを身に付けるには本書以外の何かで練習をする必要はありますが。
    なお、hontoで電子版で買って読みましたが、数式がところどころ変だったのは残念でした。紙版だと大丈夫なのかどうかは確認していません。しかし、それを差っ引いても良い本です。
    位相空間論でつまづいた数学徒や、数学関係者以外の人で教養として高校数学以上のことを知りたい人に合うと思います。

  • 集合と位相は,理系なら一度は触れるであろう基礎科目であるが,微分積分や線形代数に比べると必要性を疑うことが多い分野であると思う。本書では集合と位相を学ぶことのモチベーションとして,諸分野が成立してきた歴史を軸に解説する。副読本としておすすめ。

  • なんだかんだやってない人にとってはうんざりしてしまったけどもなんとか最後まで読んだ。
    理解しようとしなくてもまずは読んでみることは大事かもしれない。。大変だが

  • 数学やってない人や高校生向け。
    ちょっと物足りなかった

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著者プロフィール

愛媛大学理学部特任講師

「2022年 『位相空間のはなし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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