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本 ・本 (32ページ) / ISBN・EAN: 9784774306537
感想・レビュー・書評
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おとな向けの絵本。
父と娘が自転車にのって走っていく
土手のうえでの別れ
「それじゃな」「…うん」
父はそっと水平線にむかってこぎだした
波紋だけを残して…
何度も季節は巡り、少女は大人になり、彼とこぎだした自転車にこどもたちがのっている。
こどもたちは、巣だち
母のやくめも終えた
人生はあらゆる歓びをもたらしてくれる
ただ いくつも年をかさねた少女のもとに父だけは帰ってこなかった
なにかの気配
駆けだした先は…
とても切ない物語。
多くの文章はないが、絵がすべてを感じさせてくれる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
引き続き、大人向けの絵本を。
2001年アカデミー賞短篇映画アニメーション賞受賞作品の絵本化で、DVDも出ている。
テキストのごく少ない、モノトーンと淡いセピアカラーの絵。
カタカタカタ・・・とフィルムの回る微かな音が聞こえて来そうな静けさ。
和訳は希林さんのご息女・内田也哉子さん。
父と娘が自転車に乗り、河原の土手まで走っていく。
「それじゃあな」「・・・うん」
それが別れの言葉となり、父はボートに乗ってこぎ出していく。以来、帰らない父。
それでも胸の底には父を待つ気持ちがくすぶり続け、娘は大人になり恋を知り、家庭を築き、子育てをし、歳月が過ぎてゆく。
ある日、すっかり老いた娘はあの河原にやって来る・・・
全編通して寂寞感が漂う絵の中に、光と風と時の流れを感じる。
時間が経つごとに、初めは描かれなかった娘の顔が見えるようになり、そこに生きていく小さな意志を感じる。喪失から再生までの物語は、平坦では決してない。
「人生は あらゆる歓びを もたらしてくれる
ただ いくつも 年をかさねた 少女のもとに
父だけは 帰ってこなかった」
そして河原にあった廃船に身を横たえる娘。
ふと身を起こすと娘はかつての少女になり、父と再会するのだ。
これが何を意味するのか、皆さんならすぐにお分かりだろう。
胸にこみ上げる思いの大きさに、言葉も出ない。
言葉や映像にしなくても、誰もが心の底で知っている話だとも言える。
監督自らが 絵本化したこの作品は、生きる悲しみや喜び寂しさ、色々な気持ちを運んでくる。
私の河原はどこにあるのだろう。まだ行くのは早いのだろうか。
それとも、すぐ目の前なのだろうか。-
nejidonさん♪こんにちは。
いつも、いいね!有難う御座います。
本棚のタイトル「ホンの小さな旅」は、いいですね。(⌒-⌒)ニコニ...nejidonさん♪こんにちは。
いつも、いいね!有難う御座います。
本棚のタイトル「ホンの小さな旅」は、いいですね。(⌒-⌒)ニコニコ...
やま2020/04/02 -
やまさん、こんにちは(^^♪
コメントありがとうございます!
こちらこそ、いつも長くて読みにくいレビューにお付き合いいただいて、感謝でい...やまさん、こんにちは(^^♪
コメントありがとうございます!
こちらこそ、いつも長くて読みにくいレビューにお付き合いいただいて、感謝でいっぱいです。
もうすぐ誕生日なので、何か小さな記念になるようなことをしてみたくなりました。
でも本棚名を変えるくらいしか思いつかなくて・笑
ほめていただいて嬉しいです。ありがとうございます!2020/04/02
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〝父と娘が自転車に乗って干潟を走っていく。土手のうえに自転車をとめた二人。「それじゃな」「……うん」。 たったそれだけの短いやりとり。 父は水平線に向かってボートを漕ぎ出した。 岸辺に打ち寄せる小さな波紋だけを残して...「父は帰ってこなかった」 〟時は過ぎ、少女は恋をし、母となり「あらゆる歓び」を得て、やがて老いを迎える・・・だが、幾つ年を重ねても、父への想いは消え去ることはなかった・・・。移ろいゆく人生の哀歓を、詩情あふれる語りかけと繊細で美しい絵が奏でる、静かな余韻を残す癒しの絵本。
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2003年発表。
自転車に乗って
干潟にやって来た父と娘。
短いやりとりの後、
父は水平線に向かってボートを漕ぎ出し、
去ってゆく。
そして父は
二度と帰ってこなかった…。
2001年アメリカ・アカデミー賞の
短編アニメーション賞を受賞した
たった8分のオランダの作品を、
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督自身の手によって絵本化した、
別れから始まる
父と娘の物語。
たまたま書店で手に取り、
その美しくも儚い絵と物語に
激しく惹き付けられました。
淡い水彩画のような
セピアカラーの絵と、
必要最小限の少ない言葉で、
どうしてこんなにも
胸を打つんだろう…(≧∇≦)
すぐに戻ると思っていた父は帰ることなく、
娘はそれからの人生、
父への想いを胸に
何度も自転車で
岸辺を訪れる。
そしてその想いを残したまま
残酷な時は過ぎ去ってゆく。
やがて娘は
老婆になり、
父の年を追い越しても、
ただひたすら父を想い続ける
娘のひた向きさが
本当に切ない(>_<)
最愛の人との別れを
一度でも経験したことのある人なら、
誰もが娘に、
自分自身を
重ねずにはいられないと思います。
人生において
避けることのできない「別れ」と、
人が人を想うことの尊さを、
静かに
そして繊細に描いた、
自分にとって
忘れることの出来ない
作品です。
内田裕也と樹木希林の娘でもあり、
俳優の本木雅弘の奥様でもある
内田也哉子さんの翻訳が
また素晴らしい。
困った時のYouTubeで(笑)
映画版も見れます! -
せつないお話でした。絵もあいまって、せつなさが倍増してしまいました。
この父娘の背景や関係を想像するだけで時間が過ぎてしまいました。
二人が会えてよかったけれど…
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彼岸に渡った父を胸に生き、そして邂逅する。
心に染み入る時の流れ。
アニメーションのような描写。
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娘、人は成長していくわね
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再会の場面より最後に空き地に横たわる場面が素敵。より温もりを感じる。
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少女と父,父が帰ってこなくなって,成長し結婚し子供もできて,,とモノクロの印象的な絵で物語は進む.でも心の隅に父の喪失感がずっと漂っていて,全体に物悲しい雰囲気が漂っている.心惹かれる絵本である.