建具職人の千太郎 (くもんの児童文学)

著者 :
  • くもん出版
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774316505

感想・レビュー・書評

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  • R4.2.25 読了。

     江戸時代に建具屋に丁稚奉公に出された千太郎が親方や職人さん達から、建具の作り方や人との接し方などを学んでいくお話。徐々に距離が縮まる若棟梁と千太郎のやり取りが印象的。昔の職人さん達はこうして技術を伝えていったのだなあ。後半で千太郎が寺子屋で、先生から千太郎の仕事場も学びの場として寺子屋と同じだからと励まされているところも素敵な関係だなと思わされました。
     また、私は組子を見たことがあったが、詳しくは知りませんでした。これを機に栃木県鹿沼市の「木のふるさと伝統工芸館」も訪れて組子について学んでみたいですね。

    • しずくさん
      随分古い話です。子どもが小さい頃に、あるグループで岩崎京子さんを当地に呼んだ覚えがあります。とても優しいおばあちゃまのような雰囲気の方で「け...
      随分古い話です。子どもが小さい頃に、あるグループで岩崎京子さんを当地に呼んだ覚えがあります。とても優しいおばあちゃまのような雰囲気の方で「けいたのボタン」の絵本にサインして戴きました。現在も本棚に大事にしまってあります。幾つになられたかなと今検索してみてびっくり! 間違いなければ御年100歳になられてました。
      組子って組子細工ともいわれてるみたいですが寄木細工とは随分違うのでしょうね? 箱根を旅行した時に土産店で緻密な寄木細工に魅せられました。
      2022/08/13
  • 建具職人の千太郎
    「建具屋」とは、大工の建てた家に、戸障子や、入り口の輝度をこしらえてはめ込んだり、欄間や屏風を造る職人のこと。
    江戸時代の後期、10歳になった農家の娘のおこうは建具屋の「建喜」に奉公に上がる。家は貧しく口減らしのようなものだった。
    1年後、おこうの弟で7歳の千太郎も奉公に上がってきた。まだ稚く大人しい千太郎には家のことなど何もできない。そんな千太郎をおこうは親代わりのように厳しく叱ったり優しく守ったりする。

    千太郎は一番年下だが、近い年頃の奉公人たちと触れ合ったり、先輩職人の仕事を見たりしてゆくうちに、建具職人の仕事内容や心得を覚え、自分も立派な職人になりたいと思うようになってゆくのだった。

    ===
    児童向け時代小説。
    江戸時代の家造りについての説明や、建具職人の仕事、当時の親子や男女の力関係(親は子供を売ることもあるし、女の子は言うこと聞いてりゃいい、というような)など庶民の風俗や生活様式など、わかりやすく説明がされています。

    年長者が若輩者に仕事を教えるやりかたは、いつもそばにいさせて「見て覚えろ」というのが主流で、説明は殆どないのだが、その分年長者は教える相手がどこまでできるか、どこまで教えて行けるかを見極めている。
    おこうも千太郎も、捨て子のように奉公に出されたのだけれど、良いお手本や同年代の友達との交流を通し、まだ幼い自分を認めてくれる年長者のやり方を見て自分に取り入れて、世の中に出てゆくための準備を行っている。
    人間の社会というものは、人が人に伝えて伝えて成り立っているのだと思える。

  • 千太郎が成長していく物語

  • 高学年から。
    課題図書。

  • 初めて“だぼ”を使って机を作ったのは三年前。
    接続部がきれいでこんな方法があるんだと感心しました。
    その“だぼ”接続法にたくさん種類があるなんて知らなかったなあ。
    “地獄”法はむずそう。

  • 江戸時代後期の建具屋を舞台に、奉公に出された7歳の男の子が奮闘する物語です。

    奮闘といっても、ヒーローといった風情ではなく、お姉さんや建具屋の先輩たちとの交流を通じて、少しずつ成長する姿が描かれています。
    人情味あふれる職人さんの姿は、現実社会で自分もこうありたいと感じる職場の先輩のお手本だと思います。

    【福岡教育大学】 ペンネーム: 粉もん研究会会員

  • でっち奉公で、小さい頃から働くことは、すばらしいことです。
    子供には、注釈はいりません。

    見たまま、聞いたままから、何を汲み取ることができるかが、
    その子供の成長そのものだからではないでしょうか。

    建具職人のところへ奉公にあがった子供。
    職人の側に小さいころからいることの大事さ。

    現代の教育で、手取り、足取りでは,子供が成長しないことを諭しているのでしょう。

    どんなことでも、本書を読んで感じたことがあれば、
    それがその子の成長なのだと思いました。

    注釈は大人の自己満足なのでしょう。

    (この文章も注釈になっているかもしれません。ごめんなさい。)

  • 図書館の課題図書のコーナーで見つけました。江戸時代の奉公暮らしや、建具の世界に興味がそそられ、手にとりました。柔らかく丁寧な描写で書かれていて、好感がもてました。子どもの読者への深い配慮や愛情を感じました。

  • 江戸時代の終わり頃、
    わずか7歳で建具屋に奉公にだされた千太郎。

    最初はまったく気が乗らなかった千太郎ですが、
    おなじ建具屋に先に奉公にきていた姉のおこうに見守られ、
    職人の先輩や仲間とじっくりと付き合ううちに・・・


    建具屋の中でも、「組子」を得意とする建喜の作業や、
    職人たちの日常や人となりをかいまみれるだけでも、好奇心満足。

    千太郎にはモデルがいるそうですが、
    長い長い物語のほんの一部をぽこっと取り出したような、
    短い物語で長い時間を描いても無理がなく
    説得力のある語り口が、新鮮でした。

    下働きに数年、かんながけに一年。
    人を育てる、人と付き合う、時間のかけ方の、
    その鷹揚さがうらやましいね。

  • 職人さんの話を子ども向けのお話で読んでみた。お姉ちゃんは10歳で、千太郎は7歳で奉公に出るなんて今とはまったく異なる江戸時代です。厳しさあり、情けあり、小学生はどんな思いでこの本を読むのかな?夢想ではあるけれど、もし次に生まれてきた時には自分は職人的な道に進んで生きてみたいと思う。

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著者プロフィール

1922年東京都生まれ。短編「さぎ」で日本児童文学者協会新人賞を受賞。『鯉のいる村』(新日本出版社)で野間児童文芸賞、芸術選奨文部大臣賞、『花咲か』(偕成社、その後石風社)で日本児童文学者協会賞を受賞。
主な作品に『かさこじぞう』『ききみみずきん』(以上ポプラ社)、『十二支のはじまり』(教育画劇)、『けいたのボタン』(にっけん教育出版社)、『赤いくつ』(女子パウロ会)、『一九四一黄色い蝶』(くもん出版)、『街道茶屋百年ばなし・熊の茶屋』『街道茶屋百年ばなし・子育てまんじゅう』『街道茶屋百年ばなし・元治元年のサーカス』(以上三部作、石風社)『久留米がすりのうた』(石風社)など多数ある。

「2009年 『花咲か 江戸の植木職人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岩崎京子の作品

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