遺伝子学者と脳科学者の往復書簡 いま、子どもたちの遺伝子と脳に何が起きているのか

  • くもん出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774316994

感想・レビュー・書評

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  • 専門家同士の書簡だが、とても読みやすい本だった。
    脳と遺伝子というと、手を加える余地のない領域のように思われるが、意識的に生きる事で常に成長の余地があるという点は明るい気持ちになる。
    現代社会が人間の能力を奪う方向へ傾いているのでは、と警鐘を鳴らされている。時代の流れに抗うことはできないが、個人として思考、行動することの重要さを再認識した。

  • 代々つないでこその人間。
    スイッチ・オンの生き方をせねば。

  •  遺伝子学者の村上和雄さん、脳科学者の川島隆太さん。それぞれのご活躍は知っていたけれど、その二人が交わした往復書簡という設定での内容に興味を引かれて読破。

     私達人間の脳や遺伝子の歴史は38億年にわたって絶滅せずに生き残ってきた、勝ちっぱなしの奇跡の遺伝子である、と村上先生はいいます。
     両親から受け継いだ遺伝子の設計図を自分で書き換えることは出来ないけれども、スイッチをOFFからONに切り替えれば、自分で思っている以上に、限界だと感じていることを超える力を発揮することができるはず。

     これは出産を経験した時に確かに感じた!人間って、日頃は半分ぐらいの力で生きているのかも・・私の中にこんな力があったんだ・・!と感じたけど、あの時私の遺伝子のスイッチは確実にONになっていた!

     ではどうやったらスイッチをONに切り替えられるのか。
    「ポジティブストレスを加える」のだそうな。日本の教育はあれをしろ、これをやれと山のように課題を押し付けるネガティブストレスのタイプがほとんど、子どもたちのスイッチがどんどんOFFに切り替わってしまっているように感じると。

     ・・・子どもたちへの接し方を振り返ってみると、ネガティブストレスをかけまくっているのでは!と母は静かに反省。

     それに対して脳科学者の川島先生は、脳についても限界があると諦めてしまっている人が意外と多いけど、いつまでも鍛えることができるし、失われた脳の機能が戻る可能性があるといいます。
     音読と簡単な計算によって、認知症の維持・改善が見られるの実験結果が出たのです、と。また、脳の活性化には双方向のコミュニケーションが必要であるとも。小学生が帰宅して家族とその日にあったことなどを話している時には、前頭前野がおおいに活性化しているそうです。家族が一緒に暮らし何気ない会話をすることは、脳にとってよい刺激になる。

     ほーなるほど。へーそうなんだ。分かり易い言葉で説明される科学的な内容に大いに納得。
     例えば反抗期だからといって、コミュニケーションを親の側から諦めてしまうことが、せっかく脳が発達する時期に脳を活性化させるチャンスを減らしてしまっているのではないでしょうか、と問われます。
     ・・・反発したり反抗したりする子供に問題があるのではなく、子どもの成長と変化に気付かず、対応を変えることができない大人の側に問題の根があるのではないか、と言われると「・・はい、その通りです」。

     長女の嵐のような反抗期の真っただ中にこの本に出会っていたら、もう少し楽な道を探せたかもしれない・・と思う訳です。嵐を耐え、過ぎ去った今、長女とはこれまでとは違ういい関係を築けたけれど、真っただ中は本当にシンドカッタ・・(苦笑)
     そんな時期に差し掛かった二女の反抗期を、そよ風ぐらいに受け止められるのは、そんな経験があってこそ。
     
     なるほど!と日頃なんとなく感じているほわーんとした感情を、言葉でスッキリと整理していただいた、そんな読後でした。

  • 93

  • あまり印象に残らなかった…(^^;

  • 遺伝子学者の村上和雄氏の「生命の暗号」を読んでいたので、村上和雄氏の本書での内容は既に「生命の暗号」で読んだ内容とほぼ同じだった。
    "こどもたちのために"というところが、2人の科学者の同じ目的意識を感じさせた。こども・教育への警鐘だが、自分にとっても下記のようなことが改めて立証されて分かってよかった。

    ★脳を老化させずにバージョンアップさせる方法
    ・音読と計算
    ・思考する、行動を抑制する、コミュニケーションする、意思決定をする、情動を抑制する、記憶をコントロールする、意識や注意を集中する、注意を分散する

    ・ノーベル賞受賞の利根川氏は、意欲が薄れた大学でしぶしぶ選んだゼミで、後にノーベル賞受賞の研究をすることになった。人間どこに出会いがあるかわからない。
    ・IT社会のテレビ、インターネット、携帯、コンピュータゲームなどからの情報量が多すぎると脳は疲れる. 親や周りからの細かい指示も、脳の働きをさせなくしてしまう。
    テレビゲームに集中している時は受動的で前頭前野は働かない
    ・70兆分の1の確率で人は生まれる
    ・テレビをつけると前頭前野の血流が下がる→刺激があるようで実は刺激がない
    ・エジソンもアインシュタインも学校の成績は悪かった。学校の評価システムが彼らの本当の力を映し出すことができなかったから。
    ・笑いやほほえみが病気の回復を促す
    ・退屈といって愚痴を言うこどもに漫画を買うなどはせずにほっておくと、こどもは自然と遊びを見つける。
    ・反抗期は、脳の成長で受動から能動に変わり自分が納得しないとしない。
    親や周りからが、なお、こどもに指示して受動的でいることを強いているのでは?

  • 遺伝子をonにしろ! 笑いが遺伝子をonにする! と語る遺伝子科学者村上先生と、自発的に考えることや家族の会話が脳の働きをよくするんだ!と語る脳科学者の往復書簡という形態をとったもの。でもまえがきでもあとがきでも、それぞれの先生が書いていらっしゃる通り、専門分野が違うので噛み合っているわけでもなく、テーマとして現代の子どもたちの成長を杞憂し、それぞれの専門分野からの提案を出し合うというもの。どちらの先生のお話も、なるほどごもっともで分かりやすかった。

  • 遺伝子学、脳科学の立場から子どもを持つ親に向けてとてもわかりやすく書かれていて、示唆に富んだ内容でした。

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著者プロフィール

筑波大学名誉教授。米国オレゴン医科大学、京都大学農学部、米国バンダービルト大学医学部等を経て、1978年より筑波大学応用生物化学系教授。同大遺伝子実験センター長、先端学際領域研究センター長等を務め、99年に退官。83年に高血圧の黒幕である酵素「レニン」の遺伝子解読に初めて成功、世界的な注目を集める。90年、マックス・プランク研究賞、96年、日本学士院賞を受賞

「2021年 『コロナの暗号 人間はどこまで生存可能か?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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