- Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
- / ISBN・EAN: 9784774318851
感想・レビュー・書評
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「私は、オランダのアムステルダム市、
プリンセンフラハト263番地の裏庭に
植えられた、一本のマロニエの木…。」
語り手は、樹齢150年以上になるマロニエの木で、"隠れ家"にやってきたアンネ・フランクの生活の様子を話し聞かせてくれます。
わたしたちのマロニエの木は、
上から下まで全身が花ざかり。
葉っぱもみごとにしげっていて、
去年よりもずっときれいです。
アンネは「雪に閉ざされる寒い冬のあとには、命のはじける春がかならずやってくる」と信じ、生きる希望を捨てませんでした。
マロニエの白い可憐な花に見入りながら次のページを開くと、空からは砲弾の雨、アンネたちの元には武装警官が現れて、メッセージ性の強い絵に身のすくむ思いがしました。
アンネたちが連れ去られた日を年老いたマロニエの木はどんな思いで見つめていたのでしょうか。苗木が日本に送られていたことを知り会いに行きたくなりました。命を繋いだ苗木のように、この絵本が沢山の人の手に届いてほしいと思います。
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タイトルから大体想像できるんだけど、やっぱり切ないね。
アンネが望んでいた「野蛮な争いのない静かで平和な世界」に今なってるの?って聞かれた感じ。
自信をもってイエスと答えられないな・・・。 -
アンネの日記とはまた違って、第二次世界大戦の人種差別を痛く感じさせられた絵本でした。多くの人に読んでもらいたい絵本です。
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オランダのアムステルダム、プリンセンフラハト263番地にたたずむ一本のマロニエの木。長い年月を生き、今はもう朽ち果てようとしているこの木は、かつてこの場所で起こったことを語ろうとしていた。この場所に生きていた「アンネ」という少女が生きていたことを…。
『アンネの日記』を元に、アンネという少女について、彼女の短い人生とその人物像、そして彼女に起こった悲劇を語る作品。ただし、語るのは人間ではなく、アンネが住んでいた場所にかつて佇んでいた「マロニエの木」。実際に、このプリンセンフラハト263番地にはマロニエの木がありました。この木が、自分自身が朽ちる前に、アンネのことを語るというのです。
この作品は、マロニエの視点から語られ(アンネの日記を引用され)ることによって、アンネが閉鎖的な生活の中でも希望を抱き生きていたことが、より瑞々しく描かれています。マロニエが冬を経てまた春に芽吹くように、自分たちの生活にもやがて春が来ると。しかし、その瑞々しさは、結末を知っている読み手には、いっそう悲しみを感じさせます。生きる希望を奪われる悲しみ。その悲しみを表すかのように、絵はセピア調で描かれ、寂寥感に満ちています。
そして、この作品にはもうひとつ、「マロニエが今感じている悲しみ」も描かれています。それは、読んでみて皆さんが感じてください。 -
感動する。情景が浮かぶ。詩のようで話がきれい。片面に文、絵。