思い出をレスキューせよ!: “記憶をつなぐ”被災地の紙本・書籍保存修復士

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  • Amazon.co.jp ・本 (111ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774322346

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  • (2014.03.10読了)(2014.03.07購入)
    副題「“記憶をつなぐ”被災地の紙本・書籍保存修復士」
    【東日本大震災】
    近所に住んでいる金野聡子さんの活動を記録した本ということなので、かみさんが近所のよしみでといいながら購入してきたので、読んでみました。
    近所の噂では、イギリスに留学して、図書館に勤めているとか言うことでした。東日本大震災の後は、津波の被害にあった古文書の修復とか、写真の洗浄とかをボランティアでやっているとか。
    話が断片的なので、よくわからなかったのですが、この本を読んでよくわかりました。
    漫画の絵を描くこととイギルスへのあこがれをもって育った。高校を卒業後、専門学校に進みポスターなどのグラフィックデザインを勉強した。専門学校を卒業後、就職し、広告用のポスターを作る仕事についた。会社でまとまった休みが取れるとアメリカ、オーストラリア、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、と五大陸すべてにわたる海外旅行に出かけた。
    30代半ばになって、イギリスに行って英語を勉強してみようと決心し、会社を辞めた。
    イギリスでホームステイをしながら語学研修を受けた後、せっかくだから、美術の勉強をしてみようと、ロンドンのサウスワーク短大に入学。短大卒業が近くなっての先生との面接の際、『絵画の修復』をやりたいと伝えたところ、キャンバウェル大学の「紙本修復部」をすすめられました。先生が聞き違えたらしいのですが、「絵画修復」が「紙本修復」に変ってしまいました。「紙本」の「紙」とは、図画、手紙、作文、賞状など、絵や文字が書きこまれた「紙」のことです。「本」とは、「書籍」のことです。(10頁)
    「紙本」の保存修復を学ぶついでに、製本についても夜間大学の製本講座に通いました。
    紙本修復を学ぶ中で、古書を保存する修理用の紙として、和紙が使われていることを知りました。和紙は、紙の中でも酸化しにくいというすぐれた特長をもっています。
    卒業後、大船渡に帰り、古書の治療の仕事をしながら、臨時職員として図書館で働きました。痛んでいる本が結構あったので、学んできた知識・技術を生かして、岩手県内の市町村で、「図書館本治療講座」の講師を頼まれました。また、本の基本構造を知ってもらうために、「製本講座」も開きました。
    そうした中で、東日本大震災に見舞われました。金野さんの自宅までは、津波は到達しなかったのですが、親戚の方は、津波で家を流されたりしたようです。
    その親戚や知人から、被災した写真や賞状、仏壇の位牌などがもちこまれ、何とか修復できないかと、依頼されました。
    被災地には、同じような写真や資料があるはずなので、何とかしてあげないといけないけど、一人ではどうにもなりません。市役所やボランティアセンターに相談に行きましたが、人命優先ということで、なかなか話を聞いてもらえませんでした。
    くじけず、何度もお願いした結果、社会福祉協議会の人が、金野さんのお宅にやってきて、写真洗浄のプロジェクトが、立ち上がりました。
    とはいえ、写真洗浄の経験はありませんので、専門家や知人の支援をあおぎながら、すすめました。
    「大船渡市社会福祉協議会によれば、2013年11月8日の時点で、洗浄がすんだ写真は四十四万六千七百九十枚となりました。そのうち、返却された写真は四十万七百十一枚。返却率は、ほぼ九十パーセントに達しています。」(72頁)
    旧家に保存されていて、被災した古文書についても、専門家や知人の力を借りて、沢山救うことができました。文化財の指定を受けているものは、役所が救済してくれるけど、個人の所蔵で、文化財の指定がなければ、役所等は、動いてくれません。
    金野さんは、「本が好きなんでしょうね」とよく言われるけど「本に書かれていることより、本の構造や紙が好きなんです」と言っています。

    津波で家を流された僕の姉は、震災直後にあったとき、思い出も何もかもなくなってしまった、言っていました。地震保険で、高台に家を再建した後、訪ねた時には、拾った人が届けてくれたという、写真やはがきなどを見せてもらいました。震災直後は、人命救助優先ですが、助かった人たちが再起するには、写真などの、生きてきた証の品が必要です。
    その活動の記録です。お勧めです。

    【目次】
    プロローグ
    第一章 大船渡の海を見て、世界へ
    第二章 大船渡にもどってからの日々
    第三章 東日本大震災
    第四章 思い出の品をレスキューせよ!
    第五章 写真の記憶をつなぐ
    第六章 おかえりプロジェクト
    第七章 紙本が受けつぐ命
    第八章 流された魚籃観音
    エピローグ 神の魅力と命
    (2014年3月11日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    写真、本、手紙や書き物、賞状…、長い時間を生きのびてきた紙には、人々の記憶まで残されている。東日本大震災の被災地や、全国のボランティア団体などで進められた、被災した写真を救う「写真洗浄」。

  • 思い出を救う―写真修復の方法:日本経済新聞
    http://www.nikkei.com/article/DGXZZO32992550X20C11A7000000/

    くもん出版のPR
    「「紙本・書籍保存修復士」の金野聡子さん。津波で被害を受けた写真の洗浄などを紹介し、紙に残された記憶や記録の大切さを伝えます。」
    Paper Deep
    http://paperdeep.exblog.jp/

  • 彼女の紙に込められた思いを守ろうとする姿に感動しました。

  • この本の主人公の金野さんは、全く悪くないが、書き手が下手でがっかり。日本語も怪しいし、金野さんの語りも不自然だし。
    写真や賞状はプライバシーが関係するので難しいとは思うが、汚れた紙本と、きれいに修復されたものとを比べられなければ、どれだけ貴重な仕事をしているかがわからない。
    被写体やその家族に許可をとって載せるべきだった。
    子ども向けの本なんだから。
    被災地の窮状を何とかしなければと立ちあがった人たちは多く、こうして紹介されることはいいことだが、(本文でもほんのちょっと触れられているものの)一時のボランティアで終わるのではなく、続けていくにはどうしたらいいのかもっと考えさせる内容にしないと、「いい話だったね」で終わってしまう。
    これより井上きみどりのマンガ『わたしたちの震災物語』の方がずっといい。
    震災をテーマにする以上、どう復興につなげていくかという視点がなければ意味がないと思う。

  •  大船渡市。紙本保存修復士の金野さん。被災した写真を洗浄するプロジェクト。

  • 紙本・書籍保存修復士として、東日本大震災で見つかった写真や書籍を「治療する」金野聡子さんのことが書かれた本。

    読書感想文にも。

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思い出をレスキューせよ!: “記憶をつなぐ”被災地の紙本・書籍保存修復士はこんな本です

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