不思議の世界へ、はい、ジャンプ! (読書がたのしくなる・世界の文学)

制作 : 伊東真理 
  • くもん出版
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本棚登録 : 21
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774324142

作品紹介・あらすじ

外国文学の名作を、日本の著名な作家・翻訳家の名訳で堪能する「読書が楽しくなる・世界の文学」シリーズの第2期。本巻のテーマは、「不思議」! 日々の忙しい生活から離れて、「不思議」な世界へ行ってみませんか?
●近・現代の海外文学の代表的作家から知られざる作家まで。「短編作品」にしぼって作品を集めました。収録された作品の長さは、「朝の十分間読書」にもぴったりです。
●作家ごとの編纂ではなく、「テーマ」別での編纂。さまざまな作家たちのバラエティー豊かな作品に、読者はふれることができます。
●「ニッポンの文学」シリーズ同様に、テキストは現代仮名遣い、現代送り仮名を採用しています。原文を損なわない範囲で一部の漢字は仮名に改め、漢字には全て、フリガナをつけています。
●本文の下部に脚注、各作品の扉裏に作家解説、巻末に鑑賞文をつけています。また、月報にあたる案内書「+PLUS(プラス)」には、作家に関する情報や豆知識を掲載しています。
●テーマの設定、作品セレクト、および、鑑賞文等の執筆は、読書指導のベテランである現役教師・司書の方々が担当しています。

感想・レビュー・書評

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  • ・近・現代の海外文学の代表的作家の作品を、「短篇作品」の中から精選。テキストは、現代仮名遣い、現代送り仮名を採用。原文を損なわない範囲で、一部の漢字は仮名にあらためる。漢字にはすべて、ふりがなを付す。読みやすさを追求。
    ・本文に脚注をほどこし、各作品扉ウラに、簡略な作家解説を付す。巻末には、各巻のテーマと収録作品を見渡す鑑賞文と、発展読書のための作品ガイド等を収録する。これらは読書の負荷にならぬよう、できるだけ短いページで処理。主として作家に関する情報を、「月報」にあたる案内書「+PLUS(プラス)」に記す。

    「作者が思い描いた世界が手にとるようにイメージできることもあれば、ひとつの言葉や文章に心をうばわれたり、あるいはつまずいたりして、なかなかすいすいとは読み進められないこともある。けれど、それこそが、文学の楽しさなのだ。自分の好きな時に、自分のペースで、気楽に読んでほしい。孤独との闘いの中で、キミはきっと、無限の想像力を手に入れるだろう。」
    (背表紙の言葉。好き)

    外国文学の名作を、日本の著名な作家・翻訳家の名訳で堪能する「読書が楽しくなる・世界の文学」シリーズの第2期。本巻のテーマは、「不思議」! 日々の忙しい生活から離れて、「不思議」な世界へ行ってみませんか?


    収録作品 
    解説:いとうまり(日本国語教育学会、日本子どもの本研究会会員)
    〇●阿螺田(アラデン)と不思議なランプ
    <アラビアン・ナイト>山野虎市 訳
    ・本作は1923年に『金の星』という子供向けの雑誌に紹介されたもの。出典は『アラビアン・ナイト』という物語集。イスラム文化圏から生まれたが、インドやギリシャの物語、中国の経典などから影響を受けている。中世の中東では魔術師が活躍し、占いは生活に密着していた。
    ・本作は大臣の賢い娘シェヘラザードが夜な夜な王に話を聞かせるという語りの形式をとる物語の中の一つ。中身は多種多様であり、個々の作者は無名。
    ・主人公が怠け者で積極的ではないという設定に物足りなさを感じるかもしれないが、これは私たちが、主人公は意志をもって行動するという設定に慣れているからである。イスラム圏で生まれたこの物語では、主人公の幸運には運命が味方していることをしめしている。運命のままに行動する人間であればこその不思議を味わって。

    〇●暗闇まぎれ
    アントン・チェーホフ 上脇進 訳
    ・この物語は「暗闇」の中で始まり、夜中に窓から忍び込む人影を見た妻は妄想にとりつかれ、そして蝋燭をつけることで以外な真実が判明する。
    ・チェーホフ(1860-1904)は帝政ロシア時代の作家、劇作家で、医者。医者としての自然科学の意識が作品に反映されていると語っている。また、チェーホフは小市民の日常的な出来事を通じ、人間の愚かさや卑俗さを描くのが得意。主な作品に『六号室』『かわいい女』、戯曲『かもめ』『三人姉妹』『桜の園』など。
     
    ●白
    ライナー・マリア・リルケ 森鴎外 訳
    ・リルケ(1875-1926)はドイツの詩人、小説家、プラハ生まれ。ヨーロッパをあちこち旅して、家族と離れがちの生活をしつつ、同時代の作家、芸術家と多くの親交を結ぶ。宗教性の強い独自の世界を開拓する。主な作品に、詩集『ドゥノイの悲劇』、小説『マルテの手記』など。生と死、愛についてのの作品が多い。
    ・病気の弟のところへ駆けつけようとしているフィンクは、真っ暗な駅の待合室で見知らぬ女性と会話を交わす。きっかけは、主人公がすったマッチの明かり。

    ◎●鶯と薔薇(うぐいすとばら)
    オスカー・ワイルド 楠山正雄 訳
    ・ワイルド(1854-1900)はイギリスの詩人、小説家。アイルランド生まれ。「世紀末文学」の中心人物。主な昨比に章背う『ドリアン・グレイの肖像』、戯曲『サロメ』『ウィンダミア卿婦人の扇』など。1888年、第一童話集『幸福な王子そのほか』を出版。『鶯と薔薇』はこの中に収められている。
    ・鶯(ナイチンゲール)のさえずりが、咲くはずのない薔薇を開花させ、シンクに染まらせていく・・。誰もが幸せにならない物語であるが、しかし、人間の自分勝手な言い分を聞くと、鶯の一途な思いがかえって印象に残る。知識はあっても鶯の愛を受け取るだけの知恵がなかった学生は、恋に破れるや現実に世を向けて、書物の世界に逃避する。
    感想:だれも救われない、でもあとでいろいろ思い出したり、考えさせられる、そんな話は読んでよかったと思う。おもしろかった。

    ●メールストロムの旋渦(せんか)
    エドガー・アラン・ポー 佐々木直次郎 訳
    ・ポー(1809-1849 ←40歳で亡くなる)
    19世紀アメリカ・ロマン派の作家、詩人。怪奇小説、推理小説、SF小説の分野を開拓。主な作品に『アッシャー家の崩壊』『ウィリアム・ウィルソン』『黒猫』『大烏』など。日本では森鴎外の翻訳を通して紹介され、大岡昇平、坂口安吾などの昭和の作家にも影響を与える。
    ・恐ろしいうずしおに船ごと巻き込まれながらも、その先の世界に行ってみたいと思ってしまう漁師の「怖いものみたさ」「好奇心」。大自然の驚異と、命の危険を感じながらも希望を見出し、その脅威に立ち向かっていく人間の姿。不思議な世界という部隊の上で、主人公たちはそれぞれが懸命に生きている。その姿に読者は安堵したり、励まされたり、有機をもらうことが出来宇r。それこそが、不思議の物語の効力である。

  • 色々な”不思議”っていうか…独特な雰囲気の作品が…

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著者プロフィール

千葉県公立中学校国語科教諭。

「2016年 『不思議の世界へ、はい、ジャンプ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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