闇市 (シリーズ紙礫)

制作 : マイク・モラスキー 
  • 皓星社
3.67
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本棚登録 : 64
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774406053

作品紹介・あらすじ

戦後の焼け跡に、非合法の市場「闇市」ができてから70年。
食料、衣類、雑貨、生活に必要なものは何でもあった闇市で、人々はどのような日常を送り、
敗戦後の混乱に満ちた時代を生き抜いたのか?

「闇市」をめぐる、初めてのアンソロジー!!

感想・レビュー・書評

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  • 闇市をテーマにした短編集。蜆 がとても心にずしりときた

  •  違法の場所(イチバ)としての、また違法の経済流通制度(シジョウ)としての闇市を描いた11篇を「経済流通システム」・「新時代の象徴」・「解放区」に分類して収録。収録作品は以下のとおり。

      太宰治「貨幣」
      耕治人「軍事法廷」
      鄭承博「裸の捕虜」
      平林たい子「桜の下にて」
      永井荷風「にぎり飯」
      坂口安吾「日月様」
      野坂昭如「浣腸とマリア」
      織田作之助「訪問客」
      梅崎春生「蜆」
      石川淳「野ざらし」
      中里恒子「蝶々」

     買い手から見た醜悪で異世界のごとき闇市を描いた作品をしばしば目にするが、本書では売り手・商い手として積極的に闇市に関わる人々を半ば肯定的に描いた作品が多かった。また、「裸の捕虜」のように闇市が戦中にも存在していたことを初めて知った。

  • 耕治人・鄭承博・永井荷風・坂口安吾・織田作之助・梅崎春生・石川淳。それ以外読んでない
    名前も知らなかった鄭承博の『裸の捕虜』、次から次へと転がってゆく、スリリング

  • 闇市を題材にしたアンソロジー。太宰治の貨幣、鄭承博の裸の捕虜、坂口安吾の日月様、野坂昭如の浣腸とマリア、織田作之助の訪問客あたりが面白い。特に、裸の捕虜は見るものによっては悲惨な捕虜の強制労働を冬の晴空のようなカラッとした書きぶりで描いていて、著者の深みを感じた。
    野坂昭如は短編集で読んだものの再読だが、焼跡闇市派を自称するだけあり、このアンソロジーで迫力がピカイチ。
    太宰治はよくできている小説。
    坂口安吾はさすが、精神のキワキワな短編、織田作は生きるか死ぬかの金勘定という感じ。
    みなの個性がよく出ており、編者の確かな目を感じた。

  • 必ずしも闇市が主題になっている作品ばかりではないのだが、戦中から戦後にかけてなんらかの形で闇市を関わりながら広がりを見せる作品集。有名作家の作品ばかりで読みごたえがあるが、特に関西が舞台になっているものがしっくりとくる気がする。野坂の作品は秀逸。

  • 太宰や坂口安吾などの闇市についての短編小説集。面白そうだなと思って読んだのですが、闇市だけに、どれも暗かったです。

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著者プロフィール

1956年生まれ。シカゴ大学大学院東アジア言語文明学研究科博士課程修了(Ph.D.)。現在、早稲田大学教授。専攻は日本の戦後文化史、日本近現代文学。
著書に、『戦後日本のジャズ文化』(青土社、サントリー学芸賞受賞)、『ジャズ喫茶論』(筑摩書房)、『日本の居酒屋文化――赤提灯の魅力を探る』(光文社新書)などがある。

「2016年 『日本文化に何をみる?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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