死人街道

制作 : 牧原勝志(『幻想と怪奇』編集室) 
  • 新紀元社
3.09
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本棚登録 : 58
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784775318836

作品紹介・あらすじ

「幻想と怪奇」叢書第二弾はエドガー賞受賞作家作品

『ボトムズ』(2001 年)、『ダークライン』(2003 年)など日本で
もベストセラーを送り続ける鬼才が本領を発揮した西部怪奇
小説=ウィアード・ウェスト。
 二挺拳銃の牧師ジェバダイア・メーサーが、布教の旅の
あいだにゾンビや吸血鬼、異次元の怪物どもと闘う。
 ゾンビと戦い先住民の呪いを解く長篇Dead in the West
に加え、「凶兆の空」ほか四短編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 2021年6月新紀元社刊。幻想と怪奇叢書シリーズ2作目。牧師の旅は果てしなく果てしなく続く、死屍の町、死人街道 、亡霊ホテル、凶兆の空、人喰い坑道、の6つの連作。凄腕のガンマンでもあり聖職者でもある男の活躍が面白い。魔界西部劇というフレーズにわくわくして手に取りましたが、凄まじい戦いばかりで食傷気味に。早撃ち等、記憶に残るシーンがいくつもありましたが、どれも同じようなお話でした。ボトムズでエドガー賞を取った作家さんですが、こういうお話も書いてらしたんですね。

  • ランズデールの描く、異界ウェスタン。西部劇とホラーの融合。確か菊池秀行もこんなん書いてたよな。

    マカロニウェスタンっぽさとB級ホラーっぽさの融合。ジャンクとジャンクを合わせてエエ感じにマッチングさせている。こういうニコイチ作業は意外と技術がいるもので、2つのファンの期待が高まっていくだけに、失敗すると目も当てられない駄作になりかねないし、評判も最悪になりかねないのだが、この作品は上手いこと御している。

    ジャンクの良いところを押し出しすぎず消しすぎずしっかり制御できてるところが良いんだろうなぁ。主人公の内面をしっかり描いたり、ラスボスが出てきて政治的なメッセージを言い出したり、そういう色気を出さないのが良い。

    ゾンビや吸血鬼が出てきて貧乏でだらしない人々を襲い、ちょっと世をはかなんだ神父ガンマンがそういう悪いのを血と膿と硝煙をまき散らして追っ払う。単純明快なのが非常に良い。

  • 巻頭で著者も語っているが、本書収録の中編「死屍の町」は映画にしても面白くなりそうだ(フランスのプロデューサーが映画化権を持っているらしい。しかし製作されてはいない)。
    短編「死人街道」「亡霊ホテル」「凶兆の空」「人喰い坑道」もどれも面白く読んだが、個人的には表題作が最も感じが良かった。
    このシリーズの肝は、主人公の牧師ジェビダイア・メーサーの神に対する辛辣な評価だと思う。神との適切な距離感みたいなものが学べる。

  • 強烈なエンターテイメント。魔導書がぞろぞろ列記されるのはちょいとサービス過剰だろう。

  • エグい。
    腰の二丁拳銃で、邪悪なる者や蠢く死者をあの世にもう一度還らせる牧師。
    呪いと愛と欲望の血みどろなエクソシスト西部劇。

  • 神を疑い、イエスに悪態をつきながらも邪な存在を滅ぼすことを己の使命として旅を続ける、二丁拳銃を駆使する凄腕のガンマン牧師、ジェビダイア・メーサーの活躍を描いた中短篇集。5篇収録。

    ≪魔界西部劇(ウィアード・ウエスト)≫と銘打たれていた通り、19世紀後期のアメリカ西部―ただし魑魅魍魎が跳梁跋扈する世界だが―を舞台に描かれる。行間から血腥さに腐臭、硝煙の臭い、果ては砂塵や干し草が舞う乾いた埃っぽさまでも漂ってくるようにすら感じ、顔を顰めたくなる。もちろん、それらも含めて面白くてたまらないのだけれども。

    本書の冒頭から約半分、200㌻弱を占める中編「死屍の町」が、メーサー牧師初登場の作品でこれは80年代末、モダン・ホラー隆盛の頃に書かれた作品。他の4篇はそれから約20年後に執筆されたもので、作中での牧師自身の設定も「死屍の町」では20代後半であったのに対し、他は執筆期と同様に年を経た雰囲気となっている。「死屍~」での神や信仰への疑念、過去の悔恨、己の役割への使命感と諦観に揺らぐ青年牧師の姿は、今世紀になって次々作られたアメコミヒーローのリブート映画や、本邦の平成仮面ライダー等で描かれる「悩み迷うヒーロー」の姿を先取りしていたように思えて興味深い。

    それに対して表題作以外での“大人な”メーサー牧師は、神を疑い畏れることには若い頃と変わりないが、それでも邪悪な存在を滅する使命を己に課して貫こうとするプロフェッショナル……どことなくだが、初期必殺シリーズのようなダークヒーローの雰囲気が漂う。もちろんどれも短篇のため牧師の内面描写に行数をそこまで割いていない―ということもあるのだろうけれど。

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著者プロフィール

 米国の作家。ホラー、SF、ミステリなど幅広いジャンルで作品を執筆。MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞最優秀長篇賞受賞作『ボトムズ』(早川書房)をはじめ、英国幻想文学大賞など数々の文学賞を受賞。中でも、HWA(ホラー作家協会)が主催するブラム・ストーカー賞は、8度も受賞している。

「2021年 『死人街道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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