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本 ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784775320235
作品紹介・あらすじ
第41回 日本SF大賞 特別賞を受賞した立原透耶編纂の中華SFアンソロジーがついに発売。
『時のきざはし 現代中華SF傑作選』に続き、掲載作家は『三体』の著者劉慈欣と並び称される、王晋康や韓松、何夕といったベテランをはじめ、梁清散、陳楸帆、宝樹など、中堅・新人の全15人。陸秋槎氏の新作「杞憂」の初邦訳作品をはじめ、20年前にこのコロナ禍を予言したかのような「死神の口づけ」(潭楷)ほか、SFから幻想譚まで豊富な内容で、表題作「宇宙の果ての本屋」(江波)は本好きなら誰もが感動する一編となっている。
感想・レビュー・書評
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手にした時には分厚さに驚いたけれども、読み始めたらどの作品も面白くて面白くて、いつのまにか読み終わってしまった。
「猫嫌いの小松さん」(程婧波)には胸が温まり、「杞憂」(陸秋槎)にはスケールの大きさに圧倒された。
「水星播種」(王晋康)と「人生を盗んだ少女」(昼温)は、読み終えた後もずっと考えてしまう良い作品。
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華文SFが心に残る理由に、シンプルで直接読者に訴える力、同じアジア人としての感性の共鳴が、あるかも。
(もう一つ、文学とキリスト教の影響の少なさ…あくまで個人の感想ですが)
その反面、たった15篇の物語にこれほどの多様性を持ち、好き嫌いが明確になるところは、想像を超える中国14億人の存在なのか。
最もお気に入りは「一九二三年の物語」、そして直後で真逆の「人生を盗んだ少女」
もちろん宝樹「円環少女」も良かったけど、ほかの物語も魅力的で楽しかった。
そして表題作「宇宙の果ての本屋」、なんて悠大な物語だ。
まだまだ華文SFには驚かされる。 -
表題作が最高なアンソロジー
中華SFって言い方好きではない。中国って方が良い。当初読みづらかったが、人物名や土地関係に慣れてくれば読み進めやすくなってきたから、ハードカバー約500ページの本作もかなりサクサク読めた。
巻末の林譲治氏の作品紹介が、素晴らしく簡潔かつ明快で驚いたな。 -
序でそれぞれの作品の紹介があるので、とても入りやすい。初めは分からないのも多いが読んでいると入り込んでいけるのがあるから、中華圏のSFはやめられない。アイデアがいつも新しい。最後になるほどの終わりの方がいいかもしれないが、どれも生きるとは、人生とは、人とは、を提示している深い作品が多かった。
猫嫌いの小松さん、これもSFとは。
全訳者も紹介されている珍しい。 -
買ったは良いがあまりの厚みにしばらく本棚で寝かせてしまいましたが、実際に読み始めるとあっという間に読めてしまいました。
それぞれが短編と言う事もあり、ともすると小手先の設定やアイデアに頼りがちな作品とも思えてくるのですが、それはそれでSFとして正しい姿だと思います。
個人的に一番好きだったお話は「水星播種」です。重要な事があっさりと終わってしまう感じが好きです。
タイトルとなっている「宇宙の果ての本屋」と言う設定も素晴らしかったのですが、こちらはもっと深堀してほしかったです。 -
2020年に出版された『時のきざはし』に続く、最新の中国のSF作品を集めた短篇集。
大作であり傑作の『三体』をはじめ、このところの中国SFの興隆はめざましいものがあるが、まだ日本にあまり紹介されていない作家の作品も含め、前回以上にバラエティに富んだ中華SFの勢いを堪能することができた。欧米のSFとも日本のSFともちょっと違う雰囲気を楽しめた。もっと翻訳されてほしい。
なかでも、顧適『生命のための詩と遠方』、宝樹『円環少女』、陸秋槎『杞憂』、王晋康『水星播種』、王侃瑜『消防士』、万象峰年『時の点灯人』、江波『宇宙の果ての本屋』が面白く、印象に残った。 -
2024/09/01
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●生命のための詩と遠方(顧適):ちょっと藤井太陽っぽいストーリ展開かな。学生時代にコンペAIが深海で成長していたなんてロマンがあるよね~。
●小雨(何夕):青春ストーリーです。
●仏性(韓松):ロボットの方が人間よりも仏に近しい存在になれるのかもしれない。煩悩もないしね。
●円環少女(宝樹):愛する人を救う?ためなら、マッドサイエンティストにもなれるのか。。しかし、やっぱりそれはエゴでしかないのではないか。心の中で思い続けることが救いになると思う。
●杞憂(陸秋槎):中国の兵法にかかわるお話でしょうか。あまりよくわかりませんでした。
●女神のG(陳楸帆):特異体質のエロスに関するお話ですが、ん~、これは何といっていいかわからないですね。
●水星播種(王晋康):新たな生命種の生みの親になり、その成長を見届ける方法が気の遠くなるような方法だが....。コンプレックスからくる強い意志がそれに現実味を与えてくれている。
●消防士(王侃瑜):なんとも切ないお話です。いつかは必要のなくなる機械。機械の体もそうかもしれない。人の心と機械が結びついた存在となったとき、待ち構えている未来は悲痛なものかもしれません。
●猫嫌いの小松さん(程婧波):猫とSFは相性がいいんでしょうかね。しかし人の本心、本性は噂だけで判断しちゃいけません。
●夜明け前の鳥(梁清散):これはちょっとよくわかりませんでした。
●時の点灯人(万象峰年):時間の速度がみんな同じかどうか...は永遠にわからないですよね。
●死神の口づけ(譚楷):細菌兵器で感染が広がるのはやはり悪夢。それが地球外起源なら最悪ですね。細菌兵器を必要悪とする人はいるわけで。いつか取り返しがつかない事態になるのは避けられないかもしれません。
●一九二三年の物語(趙海虹):人の人生を変えるのは些細なできごとなのかもしれない。
●人生を盗んだ少女(昼温):脳を弄るのは、怖いです...。でもそんな未来がきっと来ちゃいますよね。
●宇宙の果ての本屋(江波):果てしない時間と空間の旅を重ねて、そして最後の時を迎える。それまでのゆるぎない信念と行動力。人生を感じました。そして知識を学ぶことの大切さは生きていくために必要な根源に違いありません。いや~この短編はよかった。本屋最高!
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