見切り千両 (ウィザードノベルズ 4)

著者 :
  • パンローリング
3.00
  • (1)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 15
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784775920046

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『見切り千両』。相場格言のなかでも屈指の名言とされるこの言葉ですが、この小説は主人公、丸井辰彦が自分の全てを奪った人間に対する復讐相場小説です。ただ、それだけに収まらぬ、スケールの大きさを感じました。

    この本も結構面白かったです。内容はというと、相場を舞台にした復讐小説なんですが、幼いころに相場師として名をはせた父親が急死して、身を寄せた叔父や祖父までもが古垣金之助という男に破産させられて自殺の憂き目に遭うというところからこの小説は始まっています。すべてを失った主人公の丸井辰彦が旧制中学時代に合百(株のノミ屋)の必勝法を編み出し、そこで稼いだ金をを更に相場にぶち込んで巨額の財産を作る姿。

    そして、古垣金之助に淫猥なことを強要された果てに自殺に追い込まれる叔父の子供の姉と弟。それを知った丸井辰彦が彼に対して行った復讐の手段が読んでいて
    『なるほどねぇ。こういうやり方もあるんだなぁ』
    と思わずにはいられませんでした。そして、この作品の全編を貫く『見切り千両』という相場格言にのっとった行動哲学が胸のすく読後感を僕に残してくれました。

    昔の相場がどういうものかを知りたい方はぜひ読んでいただきたいのですが、純粋に読み物としても楽しめるはずですよ。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

梶山 季之(かじやま・としゆき):1930-1975年。小説家、ジャーナリスト。現在のソウルに生まれる。広島高等師範学校(現・広島大学)卒業。53年上京、国語教師、喫茶店経営などを経ながら、「新思潮」の同人となり作品を発表。58年より「週刊明星」のトップ記事を担当。59年「週刊文春」の創刊に参画。71年月刊「噂」を創刊。作家としては62年「黒の試走車」を発表後、話題作を続々刊行する。75年取材先の香港で客死。産業スパイ小説、経済小説、時代小説、風俗小説など数多くの著作を発表した。ちくま文庫では『せどり男爵数奇譚』がロングセラーになっている。

「2024年 『犯罪日誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

梶山季之の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×