超訳 人間失格 人はどう生きればいいのか

著者 :
  • アスコム
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784776211044

作品紹介・あらすじ

本書では、齋藤孝先生が『人間失格』の世界を「超訳解説」していきます。

超訳解説とは、太宰治や主人公の葉蔵の心情を読み解き、小説には書かれていない部分を想像しやすいように補完していくことです。

太宰や葉蔵が抱える世間への恐れ、生きるうえでの「ぎこちなさ」。
SNSの普及によって、新たな世間、「ニュー世間」ともいうようなものが形成された現代は、この感覚を誰もがリアルに共有できるはず。
その普遍性をクリアにし、いまを生きるヒントにする。
それが「超訳」であり、この本の目的です。

「超訳解説」は自分の内面を探る最高のガイド

本書では、小説「人間失格」を8つのブロックに分けて「超訳解説」します。
たとえば次のように。

・「恥の多い人生を送って来ました。」に秘められた意味
有名なこの一文について、齋藤先生は、「恥」こそが日本人の心情をひも解くキーワードだといいます。恥を知ることは、品性を持っていることであり、道徳心の表れである。多くの人は、恥を知り、世間とのズレを埋めるために何かしらの仮面をつけている。そこで大切なのは、「自分は何の仮面を被っているのだろう」と意識することです。

・居丈高に正論を語る人たちへの対処
葉蔵の周りには、葉蔵の嘘をとがめ、正論を述べる人たちがいます。正直者の皮を被り、責め立てることで自分の立場を強くするような人たち。それらを、有名人のスキャンダルを叩く現代の人たちになぞらえ、主体性や軸を持つことの大切さと方法を伝えます。

・なぜ簡単に死を選ぶのか
葉蔵は、ツネ子という女と、大した理由もなく、鎌倉の海で心中未遂をおこします。この感覚を生と死の「地続き感」とし、「YOASOBI」や「ヨルシカ」などの夜系アーティストに若者たちが心酔する現代の状況と合わせて、ひも解いて行きます。

こうして、世間を恐れて偽りの自分を演じる葉蔵の心を探るうちに、「自分のことが書かれている」と思えてくるでしょう。そんな「共感的読書」体験は、自分の内面を探る最高のガイドにもなります。

齋藤先生から、葉蔵によく似たあなたへ

各ブロックの最後に、「葉蔵とよく似たあなたへ」として、齋藤先生からの手紙を用意しました。
そこには、葉蔵と同じ苦しみを抱える「あなた」への、生き方のヒントが書かれています。

本書を読めば、『人間失格』のストーリーと意味を理解し、自分ごとに置き換え、解決策までも得ることができる。これが「超訳」の力です!

感想・レビュー・書評

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  • 太宰治の「人間失格」を解説しています。
    なぜ今「人間失格」なのか。

    それは、この作品で扱われている「生き
    づらさ」の問題が現代にも通じるテーマ
    であるからと齋藤氏は言います。

    「人間失格」の主人公は世間というもの
    が分からず、他人の目が怖いと感じます。

    外見では道化役を演じ、明るく振舞って
    いても、心の中では不安だらけなのです。

    SNS全盛の現代でも、一つ間違えると
    世間から攻撃を浴びてしまうことがあり
    ます。

    世間は怖いのです。

    コロナ禍においても、近所で感染者でた
    時は犯人捜しのようにその人を特定しよ
    うとした地域もあったらしいです。

    人間が、世間が一番怖いのです。
    そんな今の時代にこそ「人間失格」の
    主人公が恐るべき世間と対峙して、どう
    自分の内面を掘り下げたのかは、まさし
    く現代社会に生きる我々にとって見習う
    べき点があります。

    ラストの「幸福も不幸もない」「ただ一
    切は過ぎていく」という有名な主人公の
    悟りにも似た境地に救われる一冊ですね。
    「人間失格」という作品は。

  • 「世間とは個人」
    「ただ一切は過ぎていく」
    文体が苦手で原作自体しっかり読んだことがなかったかも。
    こういうガイドがあるとわかりやすいね。

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著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。著書に、『だれでも書ける最高の読書感想文』『三色ボールペンで読む日本語』『呼吸入門』(以上、角川文庫)、『語彙力こそが教養である』『上機嫌の作法』『三色ボールペン情報活用術』(以上、角川新書)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)『『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)など多数。

「2021年 『すごいほめ言葉 相手との距離がぐっと縮まる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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