- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784776400356
作品紹介・あらすじ
寄宿舎と授業塔を往復する、単調だけど静かな生活。だがニコルは気づいてしまった。「ここは何かがおかしい、わたしはニコルではない…」"地球のマント"に隠された、修道院学校の忌まわしい秘密とは?そしてニコルは、そこから無事に脱出し、記憶をとりもどせるのか?不思議な猫に助けられ、謎の絵に導かれる、ミステリアス・ファンタジー。第5回・ちゅうでん児童文学賞大賞受賞。
感想・レビュー・書評
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灰色の背景に、「ニコルの塔」と題された物語、見事に引き(惹き)込まれました。寄宿舎と授業塔を往復するだけの単調で静かな日々、地球のマントに刺繍する12人の乙女たち。それはまるで籠の中の小鳥のよう。そんな閉じられた世界が開かれた時が、この物語の本当の入り口であり、始まりなのです。物語の真実、そこから広がる新たな世界。どこか寂しくしんと静かなこみねさんのイラストと小森さんのファンタジーによって読み手の想像もさらに広がります。バロの3枚の絵から創り出されたファンタジー。たまらなく好き。幸せな読書時間でした。
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いわゆる、世界的にベストセラーになっている
名作を除いて、ここ最近読んだ児童文学の中で
断トツよかった。
こういう作品読めるとうれしいなあ。
作者のあとがきによると
この作品はたった3枚の絵から
ヒントを得て、書いたそうです。
実際にその絵をwebで探して見てみたんだけど
なるほどね~とその発想力に
感動しました。
おもしろかった!! -
バロの絵をモチーフに描かれる、幻想的な世界に引き込まれました。とても好きな世界です。所々出てくる哲学的な思想にハッとさせられます。現実世界なのか異世界なのかわからなくなるような抒情的な描写にもうっとりしました。
修道院の手仕事、魔女のような院長先生、地球のマント、猫…。
わくわくするようなモチーフが織り込まれて、次々と絵画を見るように物語が展開されます。
「.年月はいろいろなものを奪っていくけれど、けっしてうばいとれないものもある」
と話した院長先生の言葉に深みを感じました。
「塔」という閉鎖された空間は、人の心の内側のようなミステリアスな存在で、タイトルに惹かれて読んでみたいと思いました。子どもの頃に感じたようなわくわく感を決して裏切らない、美しい幻想世界の旅でした。
#夏の読書感想文 -
寄宿舎と授業塔を往復する、単調だけど静かな生活。だがニコルは気づいてしまった。「ここは何かがおかしい、わたしはニコルではない…」"地球のマント"に隠された、修道院学校の忌まわしい秘密とは?そしてニコルは、そこから無事に脱出し、記憶をとりもどせるのか?不思議な猫に助けられ、謎の絵に導かれる、ミステリアス・ファンタジー。第5回・ちゅうでん児童文学賞大賞受賞。
『あなたもブックトーク』京都ブックトークの会にて紹介:
「日々寄宿舎と学校の行き来をしているだけの少年ニコル。しかしニコルはそんな毎日に漠然とした違和感を感じるようになります。なんとかして脱出しようとしたおきに不思議な猫が現れ・・。実は記憶を消されていたニコルいったいなぜ?謎解きを軸に進むストーリー。」
(『中学生のための読解力を伸ばす魔法の本棚』中島克治選書) -
幻想的かつシュールなファンタジー。
バロの絵を見たくなった。シダ猫の絵をググった。
レメディオス・バロ・ウランガ -
図書館本。
YouTubeでラジオドラマNHK青春アドベンチャー「ニコルの塔」を聞き、地球のマントに刺繍されたものが本物になるという設定に惹かれ原作を確認。刺繍の針路指定図も興味深かった。あとがきに、レメディオス・バロの『塔へ向かう』『地球のマントに刺繍して』『逃亡』の自伝的三部作からひとつの物語を思い立ったとあり、絵も確認。実に私好みの絵で、なるほどこの三部作の通りの話だと納得した。地球のマントや聖レメディオ修道院、猫のサルヴァドールなどのネーミングをはじめ、レメディオス・バロやシュールレアリズムへのオマージュ満載な話なのであった。 -
著者の作品『さくら、ひかる。』があまりにもよかった。涙を流しながら読んだことを覚えてる。それに比べれば、少々パンチが足りない、現実世界の描写が蛇足に思えるのが残念。
けれども、この著者の作品には、切なくて不思議な世界観がある。好きだ。 -
女子修道院学校、ミルク色の霧の街、刺繍の授業、高い塔、地下室、お城…靄がかかった不思議な世界の物語。
寄宿舎と授業をする塔を往復する毎日をすごすニコルは、特別授業で「地球のマント」という変わった布に刺繍をするようになる。どうやら地球のマントにした刺繍は、息を吹きかけると本物になるようで…?というお話。レメディオス・バロの絵に着想を得てかかれたファンタジー。おもしろかった。物語を通してずっと流れてる、霧のようなうす暗いしずかな雰囲気がいい。最後にそれがパキッとはれる展開は、意外なようで納得できるもの。