- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784776795889
作品紹介・あらすじ
懐かしの地"大陸"へ戻ったボリスは、運命に導かれるかのように、忘れられた伝説の魔法王国「カナポリ」に足を踏み入れる。その地でボリスは、己の命の意味に気づき始める-。伝説の剣ウインタラーとともに戦う過酷な旅に、ついに終止符が打たれる、感動の最終巻。伝説の剣に導かれし滅びと再生の神聖ファンタジー。
感想・レビュー・書評
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まずはボリスが本来の自分自身を取り戻せたことを嬉しく思います。これからが本当の始まりといった感じのラストも爽やかでした。しかし、追っ手の存在やイェーフネンの怪物化、ジンネマン家の因縁、ヘクトルとの意味ありげな「必ず3回助ける」約束など、ここまで盛り上げてくれた布石の数々を全力でほっ放った感が否めないことも事実。着地点としては綺麗なのですが、期待していたようなシーンが見られず、え?そういう展開で処理しちゃうんだ……みたいな肩すかしは残りました。
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ついに「冬の剣」最終巻。
結局、単行本版の誤字脱字は一切修正されないままでした(ここ重要)
大陸へ戻ったボリスは、穏やかな暮らしを手に入れるかと思ったが……。
懐かしい人々との再会も経つつ、最終的に生まれ故郷へと戻ることになります。
ナヤトレイやルシアン、ランジエといった面々との再会は特に嬉しいですよね(笑)
特にルシアンは、ボリスとは正反対の明るく無邪気な性格なので、彼の面倒をボリスがみるという場面が面白かったです。暗い話の中にも、光が差し込む一瞬があるみたいで。
ウィンタラーを自分のものにするために長い葛藤をしなければならなかったり、ジンネマン家の因縁である化物と対峙するわけですが、そのあたりはちょっと無理やりというか、理屈じゃない!みたいなところがあって、少し辟易しましたが……。
最後にイソレットと約束を交わしたり、ルシアンと年頃の少年のようにはしゃいだりする場面では、今までとはまた違ったボリスの成長を垣間見れたようで嬉しかったです。あと、ヘクトルの義理堅さ。
ネニャフルの学園入学が、デモニックにも繋がっていくのですよね。楽しくもドラマ盛りだくさんの学園生活が目に浮かぶようで、ボリスにはぜひとも、今までの分を取り戻すくらい年頃の子供たちとはしゃいでほしいです。ボリスがまだ16歳だと気づいて最後にちょっと愕然としました。あれだけの苦難を味わってようやく16歳ですよ! -
ルーンの子供たち冬の剣 新書版の完結です。
兄との別れからはじまった主人公の物語に決着がつきます。
ウィンタラーを持つものとして、生を送るものとして、自分の歩んできた過去を後悔し悩み、そして未来のために決断を下すボリスの姿が描かれています。
ボリスとイェーフネン、ダフネンとナウプリオン、それぞれの役回りがこれまでと逆の立場で回ってくるのも、彼の成長を読み取れるいいシーンでした。
全巻読み終えてみると、物語としてのカタルシスを注ぎ込んだだけの本ではなく、主人公ボリス・ジンネマン一個人の成長記として誠実さをもって書かれた作品という印象を受けました。
訳本でこれだけ楽しめて素晴らしかったのですが、成長記として完結された印象が強く、人によっては最後にもうひとつほど山場がほしかったという方もいるかもしれません。
最終的には、すべての軛が断ち切られ自由を手にした主人公が見れるので、読了感は悪くなく。
登場人物それぞれに華があり、続きがまだまだ見たくなる良い作品です。