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- Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
- / ISBN・EAN: 9784776804307
感想・レビュー・書評
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高野公彦の第12歌集、著者67歳の時に発行された。次第に老いていく日々を淡々と、少しの哀しみを込めて詠む。「地下鉄で乙女に席を譲られて樹雨浴びたるごとく惑ひぬ」「春ひがん風まだ寒し彼岸にて割烹着着て居たまふや母」「寂しいは不幸と違ふ 白梅がわが心処の寂しさ照らす」「ほのぐらき神社の森を抜け出でて蝶一つ飛ぶ 少し老いて飛ぶ」「年々に死欲あはし路地うらのあしびの白き花のいとしき」「ゆつくりと薬師三尊の前を過ぎ人の足音みな死へ向ふ」「寒き川遡りて鮭はなつかしき水に逢ひ過去に逢ひて死ぬ」「まああんた六十四にもなつたんか 深く悲しむこゑ 母のこゑ」「鉄線よ 僕が死んだら亡き母をおもふ人間がまたひとり減る」
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