- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784777100200
感想・レビュー・書評
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自衛隊の内側から我々に発せられる隊員の苦悩に満ちたメッセージ。ちょっとタイトルと内容はずれているが、どれだけ日本人が防衛に対して低い意識を持っているか、痛感させられる本である。
防衛の拠点となるはずの防衛庁(現在は防衛省だが)が攻撃を受けた場合、警察を呼ぶしかないなど、あまりにお粗末な日本の防衛体制。まさに自衛隊は牙を抜かれた虎である。
革新勢力による、災害救助活動をも含めた自衛隊のすべての活動に対する無理解と妨害などは、読んでいて腹立だしくもある。
これらは、本文中で明言はされていないが、アメリカによる情報支配が確実になされている証左でもある。日本はやはり、事実上アメリカの属国、あるいは被占領国であると改めて思い知らされる。
ただ、著者が自衛官なので無理もないが、本書は自衛隊は善であり、隊員はかわいそうであるという立場が貫かれて書かれているのが気になってしまう。自衛隊の負の部分についても、知ってみたいものである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書の著者は、元陸上自衛隊中部方面総監を務め、阪神淡路大震災では自衛隊の最高指揮官として災害救助活動を指揮した元自衛隊幹部。湾岸戦争のとき、自衛隊に武器を持たせずに派遣しようとする国会に反対し、マスコミに自らの考えを話したことで当時の首相(海部)によって左遷された経歴を持つことでも名高い。そんな著者が、日本の国防を担う自衛隊が抱える矛盾や苦労を明らかにすることで、日本の国防の脆さ、危うさを的確に指摘しています。また、国防に対する政府・政治家の無責任や、国民の希薄な国防意識にも警鐘を鳴らしています。全体的に具体事例が多く、分かりやすい言葉で執筆されており、読みやすい一冊です。