ボブという名のストリート・キャット

制作 : ジェームズ・ボーエン 
  • 辰巳出版
4.11
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本棚登録 : 435
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784777812691

作品紹介・あらすじ

ロンドンでプロのミュージシャンを志したものの様々な困難に遭い路上生活者となった青年ジェームズ。人生に目的も目標も持てないままいつまでもヘロイン中毒から抜けだせずにいた。そんな彼の前に突然現れた、一匹の野良猫ボブ。ホームレスの青年と野良猫の友情物語。

感想・レビュー・書評

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  • とても素敵な本だった。
    ホームレスで麻薬中毒という人生のどん底にいた青年ジェームズが、一匹の野良猫に出会ってからの物語(実話)。

    一匹狼だったジェームズにとって、猫と生活を共にすると決意したことによって生まれた責任感と幸福感が、自分に自信を持たせ、人生を立て直す大きな転換となった。この辺の転換と心の動きが、私の家にも猫がいるだけに、とてもよくわかる。それくらい猫には不思議な力と魅力があるということ。

    これはイギリスの本だけど、一度社会からドロップアウトしてしまうと、そこから立て直すのは難しい…というのは日本でも本当に同じことだと思う。イギリスでは政府がホームレスを支援する義務があるらしいけれど、果たして日本では??その辺の制度も少し気になった。

  • 表紙のボブが可愛すぎ!ずっと飾っておきたいくらい。
    本当に可愛くて、誰でもファンになっちゃうのはわかるな~

    映画が公開されると知ってさっそく読んでみた。
    ジェームズとボブは本当に羨ましいくらい出会うべくして出会った1人と1匹。
    いろんな困難が日々待ちうけてるけど、お互い信頼しあってるから、何も怖いものはないって感じ。
    あっ、でも2回ボブは怖い目にあって逃げ出しちゃうんだけど、必ず見つかる。それが凄い。ロンドンという都会で。

    映画では本当にボブが自分を演じてる?らしいけど、このまま元気で長生きしてほしいな~

  • 君は僕の宝物

    たった一人の友達

    出会って最初はこう思ったんだ
    君みたいなやつは知らないね
    僕にとってはどうでもいいのさ

    けれどさ―何故か放っておけなかったんだ

    傷ついた君を
    誰かを待ち続ける君を


    君は僕の宝物

    君は僕を待ってくれるたった一人の家族

    一緒に過ごすうちに途中から思ったんだ
    傷ついた君は―とても誰かに似ているということに
    誰かを待つ君は―とても誰かに似ているということに

    そうして―僕は気づいたんだ

    君は僕自身だってね
    君を大事にすることは―僕自身を大切にすることだってね


    君は僕の宝物

    僕は君と似た者同士

    君を大事にして初めて僕は自分を大事にすることを知ったよ
    どうか傍にいて
    もう君なしでは生きていけないよ

    だから僕は願うよ

    これからもずっと一緒に生きていこう
    君をこれからもずっと大事にしたいんだ

    君は僕の宝物

    初めて出会えた自分自身

    君は僕の宝物

    ずっと大切にしたい宝物

  • 去年2回も「ビッグイシュー日本版」の表紙を飾ったボブとボーエンとの「実話」をやっと読むことができた。

    映画も観た。内容もこの本とほとんど同じ(←原作なのだから当たり前)ではあるが、エピソードの強弱は、かなり違う。何よりも、ボーエンの心情と周りの社会環境は、映画では描ききれないことがかなり書かれている。映画を観て興味を抱いたならば、是非本書を紐解くことをお勧めしたい。

    びっくりしたのは、ボーエンは小さい頃から猫と一緒に育って来たようで、最初から猫の知識と付き合い方を熟知していたことである。だからこそ、ボブはボーエンを信頼したのだろう。

    イギリスのホームレス政策や薬物依存患者更生プログラムの具体策は、もっと日本が参考にしていい。

    2007年に2人が出会った時には、ボブは一才未満だった。ならば、現在は12歳になろうとしていると見た方がいいのだろう。昨年日本にやって来た時の写真や記事を見る限りでは、まだまだ元気なようだ。しかし、いつかは居なくなる時がある。ボブは不妊手術を受けているから子孫は居ない。ボーエンはその時にはどうするのだろう。

    映画「ボブという名の猫」を観た岡山のビッグイシュー販売者さんはこう言った。
    「最初からずっと涙が止まらなかった。彼らはたまたま出会ったんだけど、それを大切にしてセカンドチャンスを活かした。私も、ネコというのではなく、セカンドチャンスを生かしたい」ざっくり言うと、そんな感想でした。本を読めば更にいろいろ思うのではないか、と思い一応「図書館で」手に入れることをオススメしておいた。

  • 図書館で本書を見かけ、あ、テレビの番組で取り上げていたな~と何気なく手にした。

    事の発端は、このボブと名付けられた猫と一緒に、ホームレス救済の雑誌販売の仕事をしている姿を、ネットに投稿されたことのようだ。

    ミュージシャンになる夢が破れ、ホームレスとなり薬物中毒になってしまった著者。
    薬物依存の更生プログラムを受けながら、路上演奏などをして細々と日銭を稼ぐ日々だったのが、けがをした野良猫ボブを救い面倒を見るようになったことから次第に人々の注目を集め、知らぬ間に有名になってしまうという、まるで現代のおとぎ話のような顛末に、人々が興味を掻き立てられたというのがはじまりだったのだろう。

    だが、これだけ彼とボブが注目され、全世界で映像が観られ、さらには本まで出版され世界中で翻訳されるほど人々の心を掴んだのは、それだけが理由ではないだろう。

    ボブを救い精いっぱい深い愛情を注ぐことで、著者は自分以外の誰かに責任を持つことを覚え、自分自身の生きざまを正面から見つめ直し、困難に立ち向かい地に足をつけて生きていく支えを見つける。
    猫を救ったことが彼自身をも救った、人生をやり直すことができたという希望に、人々が心打たれたのは間違いない。
    誰にだってセカンドチャンスは巡ってくる、その気になれば、いつだってどこからだってやり直せる、そんな勇気を与えてくれる。

    ボブはとても可愛らしくとても賢い。そして著者も道を踏み外してしまったこともあったが、その人柄は率直で飾らない優しい青年。
    一人と一匹の幸せな日々が、ずっと続きますように。

  • 猫好きで猫が出てくる物語を探すうちこの作品と出会いました。
    薬物中毒や路上ミュージシャンといった日本では数少ない境遇ではありますが、主人公の苦悩は手に取るように伝わってきました。
    日本でも駅前など路上演奏をしている方を見かけてもまじまじと見た事はなかったのですが、ああ成る程、側に気のいい猫が居たらきっと自分もつい立ち止まってしまうなあと思いました。
    自堕落で諦め掛けていた人生を衰弱したボブと出会うことで、命を預かる責任感やボブの身体を治す為に沢山考え行動し様々な人と出会い、
    小さな日常の積み重ねが彼に大きな変化を与えて、今迄如何しても乗り越えられなかった薬物を絶つ努力さえもし始める。
    たった1匹の猫を救うことが彼自身を救う力になっていくストーリーは読み手を喜ばしい気持ちにさせてくれるものでした。

  • 猫好きにはとても面白い本かなと思いますが少しちょっと物語と言うよりかは、読みづらかったかも。猫との接し方はやっぱりお国柄が違うんですかね。ちょっと勉強になりました。ボブをテーマにした他の作品で読み比べてみようかなって思いました。

  • もう何年も前に読んだ原書「A Street Cat Named Bob」を翻訳版でおさらい。

    薬物に溺れ、社会から疎外されたようにその日暮らしをしていたジェームス。そんな彼のもとにどこからともなく現れ、彼を支え導く存在となったボブ。二人の出会いは本当に運命だったのだと思う。

    ロンドンでの路上生活の過酷さは読んでいて悲しくなるけれど、ボブと出会ってから人々との関りを少しずつ築いていくジェームスの姿には元気をもらえた。嫌な人ももちろんいるけど、それ以上に気にかけてくれたり、支えてくれる人は世の中にたくさんいる。でもそれはボブだけの力ではなく、ジェームズ自身の努力があったからこそだと思う。

    ボブと出会う前から、薬物更生プログラムを始めてドラッグを断とうとしていたし、もともと真面目で責任感もある人だったからこそ、ボブが遣わされたのかなとより感じた。運命だなぁ。

    ボブ本人が出演している映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」&「ボブという名の猫2 幸せのギフト」もお勧め。

  • 物語としても楽しめるけど、猫との暮らしの細々とした喜びや注意する点も知れてよかった。

    異国感を創造できるロンドンの街や人の描写で、旅気分も味わえるような。

    役者あとがきにもあるように、飼育に関するイギリスと日本の違いも猫好きには面白い。

    会話が、吹替の海外ドラマ風というか
    翻訳した日本語です!という雰囲気なので、少し読みづらいかも。

  • <目次>


    <内容>
    イギリスの麻薬中毒のストリート生活者(ただしイギリスは福祉行政が進んでいて、その彼もアパートに住むことができる)とノラ猫ボブの再生のノンフィクション。彼らにとっては大きな事件が次々と起こる(一般から見るとさほどでもないがてん)。それを乗り越えて、著者は中毒を乗り越え、華族と和解し、生活が成り立つようになっていく。ボブからすると保護してもらい、幸せな日々を送れるようになる。そうした更生の物語だ。しかし、ネコは「この人なら大丈夫」という勘はどこにあるのだろう。うちの近所の半ノラは、なかなかなついてくれないのだが…

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